OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ザ・フゥーを好きになる

2009-07-20 08:57:13 | The Who

キッヅ・ア・オーライト / ザ・フゥー (Brunwick / テイチク)

1960年代から今も活動を続けるザ・フーの諸作の中でも、伝説のひとつとなっているレコードが本日ご紹介の日本盤シングルです。

まずバンド名が「The Who」を律儀に日本語発音した「ザ・フゥー」ですからねぇ~!

また曲目の表記も原題「The Kids Are Alright」を「キッヅ・ア・オーライト」にしているところにも、苦笑を禁じ得ません。

これは当時の我が国の洋楽事情が、如何に情報不足と歪曲に満ちていたかの証明でもあるんでしょうが、ザ・フーに関して言えば、リアルタイムで正式にデビューした時から既に、契約の諸問題でレコードの配給が混乱していた事実も、確かにありました。

そのあたりの経緯については今回、あえて逃げを打っておきますが、とにかく1965年1月にイギリスでザ・フーがデビューし、忽ち大ブレイクした後、我が国で彼等のレコードが発売されたのは昭和41(1966)年秋頃だったとされていますから、せっかくのブリティッシュビートやエレキの大ブームがありながら、ここまで人気バンドの登場が遅れてしまったのは、後々まで日本での過小評価に繋がった事と無関係ではないと思います。

さて、サイケおやじがザ・フーを初めて聴いたのは昭和42(1967)年の春休み、ラジオから流れた永遠の熱血ロック「My Generation」が最初でした。それは説明するまでもなくモノラル放送だったわけですが、それにしても団子状で襲いかかって来るとしか表現出来ないロックバンドの迫力、その中で暴れるドラムスと要所でキメのリフやブレイクのソロを披露するエレキベースの恐ろしさ! さらに意図的に吃音を使った歌い方や乱れ気味のリズムギターという、その何もかもが当時のロックやポップスの常識を外れていたように、少年時代のサイケおやじは吃驚仰天!

特にベースの物凄さには最初、これはギターだろう!? と思う他はないほどでした。

そこで小遣いを貰うと速攻で足はレコード屋へ向かったのですが、なんと「My Generation」はシングル盤が出ておらず、LPのみの収録……。あぁ、ここでもまた、お金が無いことの辛さ、現実の厳しさを身をもって知るわけですが、その時、お店のお姉様が、これも素敵よ♪♪~♪ なんて聴かせてくれたのが、本日ご紹介のシングル盤でした。

特にB面の「The Kids Are Alright」は、完全に初期ビートルズの味わいがモロにコピーされたような名作メロディが胸キュンの素晴らしさ! しかもハートウォームなコーラスと軽めのギターとは対照的に暴れまくるドラムスと地底怪獣のように蠢くベースが強烈な印象でしたから、サイケおやじは忽ちお買い上げ♪♪~♪

ちなみにA面の「A Legal Matter」も、軽快なビートと如何にもエレキなギターのイントロが印象的という、ちょっとストーンズ風の曲と演奏になっていますが、個人的にはB面ばっかり聴いていましたですね。

それと印象的だったのが、ジャケットに写るメンバー達の鼻が全員、大きいんですねぇ~。

まあ、それはそれとして、当時のバンドはロジャー・ダルトリー(vo)、ピート・タウンゼンド(g)、ジョン・エントウィッスル(b)、キース・ムーム(ds) で、作られるレコードは凝っていながら、あくまでも4人でステージ再現が可能な演奏を第一義にしていたようです。つまりそれだけ、メンバー各人の技量とバンドとしての纏まりが最高だったんですねぇ~♪

そして海外ではザ・フーの圧巻のライブステージが大きな評判を呼んでいたわけですが、我が国で少なくとも私が衝撃を受けたのは、当時の若者向けテレビワイドショウとして朝の7時20分から土日を除く毎日(!)放送されていた「ヤング・セブン・ツー・オー」で、そこでは例のモンタレー・ポップ・フェスティバルで狂乱のステージを展開したザ・フーの熱演と楽器破壊のパフォーマンスがっ!!!

これも強烈でしたねぇ~。

もちろん、と同時にジミヘンの凄すぎる演奏も知ることになるのですが、それは別の機会に譲ります。

こうしてザ・フーが好きになった私は彼等のレコードを集めようとしたのですが、なんと当時はその発売状況が芳しくなく、売れ行きが悪いからレコード屋でも新譜を即座に店頭入荷させないというような感じでした……。

もちろんLPは買えないし、出ているアルバルにしても、ほとんどが疑似ステレオで音質が悪かったのも、マイナスだったように思います。

ということで、今でも大好きなザ・フーの諸作を私が実質的に楽しめるようになったのは、1970年代に入ってからでした。それでも、このシングル曲を含むデビュー期の歌と演奏については発売状況が決して良いとは言えず、それゆえにサイケおやじは尚更に愛着の強い1枚となったわけです。

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