OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

秋の夜長のブルー・スター

2017-09-23 20:36:40 | Ventures
Blue Star / The Ventures (Dolton / 東芝)

秋も深まった今宵、ど~にも聴きたくなるのが本日掲載のシングル盤A面曲「Blue Star」です。

演じているベンチャーズは説明不要、エレキインストの大御所バンドにして、我が国にエレキブームをもたらし、それがそのまんまGSブーム、牽いては今日に至る日本のロックに大きな、そして無視出来ない影響を与えた功績は、まさに歴史!

それはエレキインストが決してイケイケの演奏ばかりではなく、もちろんこれはベンチャーズだけではありませんが、哀愁や甘さを湛えたスローな曲調においても、ロックだからこそ表現可能だった名演があったからで、殊更ベンチャーズにおいては、それが後に所謂「ベンチャーズ歌謡」と呼ばれるポップス系歌謡曲に発展継承されていった事を鑑みれば、この「Blue Star」の人気が格別なのも頷けるところと思います。

なにしろ原曲はビクター・ヤングが書いたスタンダードなメロディと云われていますが、やはりベンチャーズが演じたバージョンのロマンチックにしてスペーシーな表現の素晴らしさは他に類似するバンドのカバーよりも個人的には圧倒的に好き♪♪~♪

例えばシャドウズの演じる同曲の味わいの薄さは、ベンチャーズのバージョンを聴いていればこその感想かもしれませんが、それはそれとして、1964年に出したアルバム「ウォーク・ドント・ラン Vol.2」に初出した時からの完成度は圧巻で、これが翌年春になって我が国でも「ウォーク・ドント・ラン '64」の邦題で発売された時から既に、この「Blue Star」は人気を集めていたところで、ついに1966年秋にシングル曲として出されてみれば、これがなんとっ!

女性コーラス入りのシングルバージョンだったんですから、たまりません♪♪~♪

ちなみに書き遅れてしまいましたが、演奏の本質的な魅力であるロマンチックなギターは、スライド風のパートと低音弦によるロックっぽさの融合だと感じるわけですが、このスライド風のパートは最初に聴いた時、てっきりノーキー・エドワーズの新技(?)かと思っていましたし、高校入学以来、エレキを弾いてはバカ大将を目指していたサイケおやじにしても、コピーに勤しむ時にはスライドでやろうとして苦しんだ前科があるのものの、実際はスティールギター奏者として有名なセッションプレイヤーのスヌーキー・ピートがレコーディングに参加していたという真相を知ってみれば、ベンチャーズのサウンド作りの頭の柔らかさには敬服するばかりです。

前述したシャドウズのバージョンには、失礼ながら、このあたりが不足したストレートな演奏になっているのが、個人的には物足りなかったのでしょう。

ところが、この「Blue Star」には、スライドやスティールギターに頼らずとも、素晴らしい仕上がりを聴かせるロマンチックな名演が確かにあって、それは寺内タケシとバニーズが昭和44(1969)年頃に出したバージョンでありまして、そこでは寺内御大がエレキギターの音量ボリュームを上げ下げするという所謂バイオリン奏法によって、これまた素晴らしき天才の証明を堪能させてくれますよ♪♪~♪

このレコードについては、何れご紹介させていただく所存です。

ということで、秋の夜長にはロマンチックなエレキインストで浮世の憂さを忘れるのも悪くありません。

個人的には公私の別なく、最近は心の重荷になっている懸案が多数あるもんですから、尚更です。

心に秘めた思いの……、せつなさよ。
コメント (1)
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