OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ミニスカにぬいぐるみの麻丘めぐみ

2012-12-23 15:28:47 | 歌謡曲

白い部屋 / 麻丘めぐみ (日本ビクター)

1970年代前半の女の子アイドルに必須の印象が「ミニスカ」と「ぬいぐるみ」であったことは、先日ご紹介した五十嵐じゅん些か倒錯的なイメージの増幅にも役だっていた現実(?)と併せて、今に伝わる良い時代の象徴でもありました。

ですから彼女達のレコードジャケットやグラビア&ピンナップには、それが使われて当然の免罪符であり、逆に言えば、似合わなければアイドルでは無い!?

後世には、そうした研究結果さえ認められるような気がするほどです。

しかし、そうしたイメージに頼り過ぎると、レコードならば肝心の楽曲を歌う本人の存在感がちょいとばかり薄らぐ感もあり、当時の典型的なアイドルシンガーであった麻丘めぐみが昭和49(1974)に出した掲載のシングル盤、およびA面収録曲「白い部屋」の浮き上がったような仕上がりには、思わず???な気分が滲むサイケおやじであります。

ご存じのとおり、麻丘めぐみは子役からスタートし、昭和47(1972)年に歌手デビューするや、忽ちトップスタアに昇りつめたわけですが、当時の彼女は未だ16歳であった事から、アイドル歌手低年齢化の先駆けでもありました。

つまり歌謡ポップスにも堂々の子供向けというジャンルが彼女の登場により成立したわけで、もちろん子供と言っても、それはローティーン=小中学生の恋愛憧れ症候群を主題にし、レコード購買層も重ねての狙いがあったのでしょう。

まあ、その良し悪しは判断基準の曖昧さゆえに、今回は書きませんが、とにかく麻丘めぐみには、それを可能とする芸能的力量が確かに備わっていたと思います。

そしてデビュー曲「めばえ」から「悲しみよこんにちは」「わたしの彼は左きき」等々のヒット曲を順調に重ねてきた頃に出したのが、この「白い部屋」だったんですが……。

結論から言うと、それまでの彼女のレコードの中では、久々に大ヒットとは言えない売れ行きでありながら、作詞:千家和也&作曲:筒美京平の手による楽曲の充実度は今日でも古びていない永劫性が感じられるのですから、世の中は儘なりません。

特に筒美京平の書いたメロディの素晴らしさは、例によって流行の洋楽、ここではフレンチポップスのミッシェル・ポルナレフが十八番の「悲しみのロマンス」あたりを巧みに変換した職人芸であり、同時にフィリーソウル風味のアップテンポな仕上げを施すという確信犯ですよっ、これはっ!

う~ん、思惑ほどウケなかったのは、流石の筒美御大も先を読み過ぎたんでしょうか?

実に勿体無いというか、バチアタリ寸前のフライングに、後追いでこれを楽しまれる昭和歌謡曲の新しいファンは幸せを感じるかもしれませんねぇ~~。

ということで、ジャケットに登場している麻丘めぐみがアイドルど真ん中の「ニスカ」と「ぬいぐるみ」のイメージならば、中身の歌はちょいと背伸びした最先端歌謡ポップスであったという事実!

これは子供から大人にファン層を拡大する試みであったのかもしれませんし、当然ながら、最初っからのファンも年齢を高くしていくのですから、必然性があるはずです。

ところがアイドルという存在は、何時までも最初のイメージを大切にしなければならない宿命を背負っているのですから、後は何も申しません。

個人的にはそれほど夢中ではない麻丘めぐみではありますが、このシングル盤はリアルタイムでがっちりゲットしていたというサイケおやじの行動に免じて、本日はよろしくお願い申し上げます。

コメント (4)
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