OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ディクソン、グリーン、そしてパットン♪

2007-11-28 16:47:22 | Weblog

この時期の雪国にしては暖かい快晴♪

そこでバイクで仕事場へ行き、帰りはガソリン満タンにする予定です。またしても値上がり確実だし、タンクに空きがあると冬場はサビが心配ということです。まあ、それにしても帰りは寒さが身にしみそう……。

といことで、本日は急に聴きたくなった、この人のアルバムを――

Along Came John / “Big” John Patton (Blue Note)

オルガン奏者の第一人者と言えばジミー・スミスと決まっていますが、ブルーノートではもうひとり、良い仕事をしたのがジョン・パットンでしょう。

特にグラント・グリーン&ベン・ディクソンと組んだリズム隊は、毒々しいまでのグルーヴを発散させ、1962~1964年あたりのブルーノートを、ある意味で代表しています。例えばルー・ドナルドソン(as) の傑作盤「ナチュラルソウル」での粘っこくて痛快な雰囲気は、このリズム隊の活躍が大きなポイントだったと思います。

そして、このアルバムは、その3人組をメインに2本のテナーサックスが彩を添えた真っ黒な仕上がりで、もちろん根底にはR&Bの熱い奔流が流れています。

録音は1963年4月5日、メンバーはジョン・パットン(org)、グラント・グリーン(g)、ベン・ディクソン(ds)、フレッド・ジャクソン(ts)、ハロルド・ヴィック(ts) という、実はグラント・グリーン以外は全員がニューオリンズ系R&B歌手=ロイド・プライスのバックバンドメンバーでしたから、暗黙の了解による意志の疎通も見事で、モダンジャズとは一味違う黒いグルーヴがお約束♪ コテコテのズンドコビートが楽しい限りです――

A-1 The Silver Meter
 いきなり「Petter Gunn」みたいなリズムパターンとホーンの響き、そしてズンドコのビートがたまりませんねぇ~~♪ 粘っこいリフを作り出すギターとオルガン、タンバリンみたいな打楽器のスパイスも琴線に触れまくりです。
 テナーサックスのアドリブはフレッド・ジャクソンでしょうか? 凝ったフレーズを排除してストレートな黒っぽさを表現していますが、続くグラント・グリーンのギターが、これまた強烈です。あの、執拗に同じフレーズを繰り返す「針飛びフレーズ」が、これでもかと楽しめるんですねぇ♪
 またジョン・パットンのオルガンも粘っこくて分かり易い展開が、これまた最高! ベースパターンの毒々しさも特筆すべきでしょう。あぁ、このイナタイ雰囲気!
 最終パートで痺れるような感覚のテナーサックスが出るところは、ニューオリンズ系R&Bの真髄を再現しているのでした。

A-2 I'll Never Be Free
 あぁ、これはスローな歌物R&Bの世界です。というか2本のテナーサックスがつけるハーモニーからして、黒人コーラスグループの雰囲気になっているんですねぇ~♪
 ジョン・パットンのオルガンは泣きのメロディ展開を大切にした優れものですし、ここぞっ、で盛り上げていくベン・ディクソンのドラミングにもグッと惹きつけられます。
 グビグビっときてヒェ~~~~、と泣いていくソウルオルガンの醍醐味が、ここにあります。

A-3 Spiffy Diffy
 これまたグイノリのシャッフルビートがイナタイです! それをバックにしたグラント・グリーンのギターが、オトボケのテーマメロディからソウルフルなアドリブに入っていくところも、ジワジワっと泣けてきます。「間」の取り方が絶品!
 もちろんジョン・パットンのオルガンは「お約束」をきっちりと聞かせてくれますし、ベン・ディクソン&グラント・グリーンとのコラボレーションも素晴らしいかぎりです。
 テナーサックスのアドリブはハロルド・ヴィックでしょうか? 途中からフレッド・ジャクソンに代わっているようにも感じますが、そんなことはどーでもいい! というのが、この演奏の印象で、つまりバンド全体のグルーヴを素直に楽しんで正解じゃないでしょうか。

B-1 A Long Came John
 これまた楽しすぎるゴスペル&カントリーな演奏です。なにしろめベン・ディクソンのドラミングがシンプルでディープ、さらにオルガンのベースパターンがオトボケのドンチャン節ですから♪
 そしてグラント・グリーンのアドリブが魅力いっぱいのバカノリです! 全くゴキゲンですねぇ~~~♪
 そしてテナーサックスのアドリブはフレッド・ジャクソンでしょうか、シブイ泣きじゃくりが憎めません。
 肝心のジョン・パットンは、自作ということもあって、曲のツボを押えた快演ですが、とにかく粘っこいリズムパターンを出し続けるところが、たまりません。

B-2 Gee Gee
 ちょっと「Birks Works」そっくりなテーマメロディにベン・ディクソンのゴスペルドラムがジャスとミートした演奏で、早いテンポの4ビートがシャッフル系になっていくあたりが、侮れません。
 ジョン・パットンのオルガンもヒーヒーと泣きまくりですし、テナーサックスのアドリブは先発がフレッド・ジャクソンでしょうか? シブイ泣きが実に良い雰囲気ですが、二番手のハロルド・ヴィックはソフトな音色に音符過多なフレーズという、不思議系なスタイルが魅力です。
 そしてグラント・グリーンが、これまた絶好調! スピートがついた「針飛びフレーズ」に加えて絶妙のチョーキング、アタックの強いピッキング、さらにブルース魂が溢れるアドリブ構成が流石だと思います。
 またジョン・パットンを要にしたリズム隊の纏まりも天下一品! これでノレなければ、楽しくありませんよ。

B-3 Pig Foots
 またまたニューオリンズ系R&B丸出しの演奏♪ 作者のベン・ディクソンが自然体で敲きまくるズンドコビートが、まず最高です。ちなみに「A-1」と「A-3」も、このドラマーが書いた曲なんですねぇ~♪ ほんと、素敵です。
 もちろんジョン・パットンのオルガンもグビグビと蠢くベースパターンとブルースでしか和めないアドリブの真髄を披露しています。
 テナーサックスのアドリブは先発がハロルド・ヴィック、二番手がフレッド・ジャクソンかと思いますが、両人ともジョン・コルトレーン風のフレーズを入れた熱演ながら、やはり後者はR&Bテナーサックスの隠し技をかなり披露していますので、これは聴いてのお楽しみ♪
 ところで、ここにグラント・グリーンは居るの?

ということで、なんと正統派の4ビートがほとんど出ない演奏ばかり! これもリアルなブルーノートだと思います。

ですから1970年代までのジャズ喫茶では完全無視状態……。ジャズマスコミでも取上げられることは、ほとんど無かったと思われますので、オリジナルのモノラル盤だって、今となっては愕くほどの安値で買えました。

現在はCD化もされていますから、2人のテナーサックス奏者の個性も、ずっと分かりやすいかもしれませんが、まずはバンド全体のグルーヴ、そしてリズム隊のネバネバして弾けるノリを体感して欲しいと思います。

虜になったら逆戻りは出来ませんよ♪

コメント
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