おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書116「憲法ってこういうものだったのか!」(姜尚中・寺脇研)ユビキタ・スタジオ

2010-08-25 20:36:25 | つぶやき
 異色の対談というべきか。片や在日として積極的に発言をしながら、特に「愛国の作法」をものしたことで賛否両論、左右双方から批判されている人。片や文部官僚として「ゆとり教育」を推進し、今や左右双方から袋だたき状態にあるお方。
 この二人が「日本国憲法」について語り合うというスタイル。左派系の運動論を批判しながら、返す刀で自公、特に小泉政権の新自由主義政治(それに続く安倍、福田政治)を批判する。
 出版されたのが、2年前。民主党による政権交代が起きる前。それでいて、今読むと、期せずして政権交代の重要性を説いているのが、「先見の明」あり。しかし、今の民主党政権の状況をお二人はどう捉えるか。
 さて、この対談。公共「性」あるいは「公益」。それを支える個人のあり方、という視点から憲法の条文を分析、評価する。
 姜さん。在日コリアンとして地域社会で生活する中で、在日の問題を日本国籍を得るかどうかという問題に矮小化すべきではない、との考え方になったこと。さらに、在日外国人への参政権付与についても、否定的な見解。
 寺脇さん。文科省の役人、広島県教育長などの経験をもとに、官僚の立場は公共の福祉を実現することであり、ひいては官僚主導型の国づくりを強調する。
 お二人とも、直接民主主義的な発想を批判、民主的な手続きを云々することよりも、官僚による秩序づけられた自由主義経済と選挙代議制に支えられた政治の具現化を提唱する。
 その国づくりの根幹をなしているのが、憲法第9条であり、さらにそれと表裏一体の憲法第1条だと。そのため、第9条など、時々の政権の解釈で揺れ動いてはならない、とそう意味で、ぶれることのないような条文に改めるべきだ、と。
 また、日本の政治体制は、共和制ではなく、立憲君主制であり、そこに憲法の基本があることを強調し、「文化」「政治」「社会」の要としての天皇制を支持する。
 第1条(象徴天皇)と第9条(戦争放棄)とがセットというのは、戦後的なトラッド(伝統)で、そこから国民の福祉を実現するための政治のありようを考えなくてはならない、とする。この視点(第1条と9条の本質的な連関性)は、大変興味深いものがある。
 特に、民主主義(体制)に関連して、最近のマスコミ主導の世論、それこそが民主主義だと言わんばかりの、政治や経済などへの感情的(扇情的)な介入は、極力退けなければならないと主張する。
 憲法擁護・厳密な法解釈という立場では、お二人は、誰よりも保守派なのだろう。そして、憲法に掲げられた「理想」を実現しようという意識・意欲、そこから出て来る当時の自公政権批判、政治をとりまく情勢批判においては、誰よりも革新派なのだろう。
   

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