魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

悪い奴ほどよく眠る★★★★☆

2008年03月14日 | Weblog
【概要】
土地開発公団副総裁・岩淵(森雅之)の娘・佳子(香川京子)と秘書の西(三船敏郎)との結婚披露宴の席で、公団課長補佐が警察に連行され、そこから公団と建設会社との不正が明るみになろうとするが、その証人たちは次々と命を断たれてしまう。そんな折り、西はあるひとつの計画を実行に移そうとしていた…。
Amazon.co.jpより抜粋

【感想】
黒澤明が本格的に描いた現代劇社会派サスペンスの傑作。
現代でこそ、この手の物語は刑事ドラマでも語りつくされた感があって、ざっとストーリーを見ただけではさほど珍しくないと思ってしまう人もいると思います。
思いますが、この映画は150分という長尺でありながら見る者をどんどん引き込む要素を持っています。
冒頭の正体不明の差出人からのケーキのただならない雰囲気から、主人公が次々と復讐を実行していく件も、その主人公の正体がばれてしまう件もテンポよく描いていると思います。
収賄事件の関係人物が、最初は悪人面で画面に登場していたのが、脅されてだんだん弱っていくさまも、おかしさと恐怖が奇妙に同居していて面白いです。
決して後味がいい映画ではありませんが、黒澤明作品やその他の東宝映画の作品の俳優人を見慣れているせいか、そんなに重たい気分にはならなかったな。
田中邦衛や児玉清もチョイ役で出ています。
三船敏郎は今回復讐に燃える若き(?)秘書役ですが、体格がいいので眼鏡で誤魔化そうとしている感があります。ちょっと違和感がありますが、そこは演技でカバー。
でも香川京子と夫婦役なんて、政略結婚を真っ先に疑ってしまします。
三橋達也はけっこう複雑で難しい役所です。
森雅之の悪役ぶりも素晴らしいですが、志村喬の悪~い、少しエッチな台詞に笑ってしまったりなんかして。
副総裁の最後の台詞も皮肉たっぷりで、映画の最後に再び「悪い奴ほどよく眠る」のタイトルが登場するのもいい演出です。
画面には登場しない悪がまだまだいるのです。

監督 黒澤明
脚本 小国英雄、久坂栄二郎、菊島隆三、橋本忍、黒澤明
音楽 佐藤勝

西幸一 三船敏郎
板倉  加藤武
岩淵  森雅之
岩淵辰夫 三橋達也
岩淵佳子 香川京子
守山  志村喬
白井  西村晃
和田  藤原釜足
野中検事 笠智衆
刑事  藤田進
事務官 土屋嘉男
殺し屋 田中邦衛

1960年度東宝作品・黒澤プロ第一回作品(モノクロ・シネスコ)


本日「バンテージポイント」見てきました!面白かった~!
大統領暗殺事件の、8人の目撃者をそれぞれ違う視点で追ったスリリングなアクション映画でした。90分という短尺に抑えたのが成功のもとだと思います。余計な場面が一切無く、楽しめました。
これって、基本コンセプトは「羅生門」ですね。ひとつの事柄に対して、人それぞれ違った見方をするという構成は何か引き付けられるものがあるんでしょうね。

さて、話題を大分そらして、テレビ朝日・東映系の刑事ドラマ「相棒season6」も遂に来週は最終回。
相棒は世界観が幅広くて奥深い。量産されている刑事ドラマとは明らかに違う質の良さが魅力です。映画も絶対見に行きますよ~。

「相棒-劇場版-」

履歴です↓

蜘蛛巣城
江分利満氏の優雅な生活
大江山酒天童子
日本沈没

妖星ゴラス
斬る
待ち伏せ
殺人狂時代
太平洋奇跡の作戦キスカ
赤毛
戦国野郎

ブルークリスマス
大盗賊(東宝)
座頭市と用心棒
ガス人間第一号
電送人間
美女と液体人間
赤ひげ
世界大戦争
椿三十郎
用心棒
モスラ(1961年度版)
新幹線大爆破
隠し砦の三悪人
日本のいちばん長い日
☆はじめに☆

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