魅惑の日本映画

日本がこれまでに生み出した数々の名作、傑作、(珍作?)の映画を紹介していきます。

大江山酒天童子★★★★

2008年03月01日 | Weblog


【概要】
平安末期、源頼光(市川雷蔵)は関白寵愛の渚の前(山本富士子)を護られたが、彼女には物の怪が憑いていた。そこで頼光は忠誠な部下四天王とともに、首領である大江山酒天童子(長谷川一夫)を討つ決心をした。
DVDパッケージより抜粋

【感想】
私はAmazon.co.jpをよく利用していて、そこにもコメントを書かせてもらっているんですが、このDVDのページを見たときに、たった一人しかコメントを寄せていないのにびっくりしました。思わずこれはいかんと思って書き込みをしてしまった次第です。

市川雷蔵、長谷川一夫ら大映の二大スターに加え、勝新太郎、本郷功次郎、山本富士子という豪華な顔ぶれの本作品。大映時代劇を代表する作品と思っていたら、意外に知られていないようですね。
アマゾンの方にも書きましたが、鬼を退治する物語の周辺に、妖怪変化が主人公達を襲うというプロットは、話の筋こそ違えども、どこか「陰陽師」を彷彿とさせます。今はCGが発達して、特殊技術を生かしたファンタジー時代劇ともいうべき作品が出てきましたが、この「大江山酒天童子」はそれらの時代劇の先駆的な位置づけにあると思います。

しかし現代のファンタジー時代劇と決定的に一線を引かせる要因は、歌舞伎などの様式をふんだんに取り入れた格調の高さでしょう。
私はこの話の元になる大江山の鬼退治の伝説に関しては詳しくないですが、いくつか種類があるようです。

興味深かったのは、東映の時代劇で中村錦之助と東千代介が出演している「羅生門の妖気」とこの「大江山」に全く同じ台詞が登場することです。

四天王渡辺綱が美女に変身した鬼に遭遇するシーンで綱は「はて、あでやかな。」と言います。全く同じ台詞と言うことは、どこかに根拠となる文献が存在するのでしょう。
蛇足ですが、「羅生門の妖気」と「大江山酒天童子」を比べると、スケールの大きさ、テンポなどでは「大江山」の方に軍配があがります。

特撮と時代劇という組み合わせは京都に撮影所を持っていた大映がやはり良い物を残しています。この経験がのちに、「大魔神」、「妖怪シリーズ」へと引き継がれていくのでしょう。

監督 田中徳三
脚本 八尋不二
原作 川口松太郎 「大江山酒店童子記」
音楽 斎藤一郎

酒天童子 長谷川一夫
源頼光 市川雷蔵
渡辺綱 勝新太郎
坂田金時 本郷功次郎
大和守一正 中村鴈治郎
菊王丸 中村豊
袴垂保輔 田崎潤
土蜘蛛甚内 沢村宗之助
藤原道長 小沢栄太郎
こつま 中村玉緒
茨木童子 左幸子
渚の前 山本富士子

1960年度大映作品(カラー・シネスコ)

更新なかなか出来なくて遂に三月に入ってしまいましたね。ま、ゆっくりとやっていきたいと思います。

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