あなたから一番遠いブログ

自分が生きている世界に違和感を感じている。誰にも言えない本音を、世界の片隅になすりつけるように書きつけよう。

なぜ竹田恒泰氏がテレビに出続けられるのか

2013年11月14日 18時55分52秒 | Weblog
 華原朋美に「告白」したという話題で一躍「人気者」になってしまった明治天皇の孫で学者の竹田恒泰氏だが。
 このところ本当に毎日のようにテレビのバラエティ番組で顔を見る。しかしぼくにはそのことにとても違和感を感じる。マルチ商法に荷担したとかブラックな噂もあるが、それよりも例の差別発言事件があったからだ。

 「例の差別発言事件」というのは先月、10月3日に読売テレビで放送された「たかじんのそこまで言って委員会」での発言のことだ。ぼくは見ていない。そもそも関東では放送されていない。
 その日の放送は、現代の日本で最も愚劣な差別排外団体である「在日特権を許さない市民の会(在特会)」をテーマに取り上げ、竹田氏はその中で「在特会が活動したおかげで在日の特権の問題が明らかになった。例えば、通名というのがあって、日本人の名前に変えることによって、犯罪歴や金融関係の経歴を全部消すことができ、また新たな犯罪ができる」と発言したそうだ。

 これはもちろん事実誤認である。そのことは後に読売テレビも認め、「一部不正確で誤解を生む表現があった」、「日本名に変えることで経歴が消えることはないと承知していたが、言葉足らずだった」と謝罪している。
 だいたい通名使用の歴史を考えたら、これは全くおかしな話だと分かりそうなものだが、慶応大学の教官をしている学者がこんな非常識なことを言うとなると、これは意図的な民族的侮蔑を含んでいると考えざるを得ない。
 本当に在日朝鮮・韓国人の通名使用について今の人たちは何も知らないのか? なんだか目眩がしそうだ。わかっているのか、いないのか、それとも知らないふりをしているのか、本当のことが分からなくなってくる。
 在日の人たちは本名を名乗ると差別されるから、必然的に通名を名乗っているのである。しかもその始まりをたどれば、日本が植民地支配した朝鮮において、朝鮮語と朝鮮人名の使用を禁止し、日本語と日本人名を使うことを強要したところに行き着くのである。彼らに通名を使うことを強要したのは日本人の側なのだ。戦後を通じて闘われてきたのは、だからむしろ本名(朝鮮・韓国名)使用を認めさせる運動だった。

 竹田氏は当然ながら激しい批判を受けた。しかし謝罪することなく反対に「私は在日特権について事実を述べただけのこと。まして在日を差別する発言はしていない。私はこれまで『在日は日本の宝』といい続けてきた」などと開き直っている。だから事実じゃないんだってば!
 なぜこんな態度を取る竹田氏が、その問題を起こしたテレビというメディアに軽々と出続けられるのか、テレビ局にも視聴者にも強い違和感を感じざるを得ない。
 これはつまり竹田氏が自分の言い分は正しく自粛する必要はないと主張しているということであり、またその主張をテレビ局や視聴者が支持しているということに他ならない。

 考えてみよう。たとえばこれが「天皇は日本国民ではない。いくら犯罪を犯しても裁かれないからやり放題だ」などという発言だったら、テレビはその発言者を使うだろうか。使うわけがない。しかしなぜ使わないのか。恐いからだ。それはいったい何が恐いのか?
 そうやって考えていくと、要するにこの問題はメディアが誰の方を向いているのか、誰の言いなりになっているのかが見えてくるだろう。

 ぼくは問題発言をした人をメディアから追い出し、問題を無かったことにする風潮は間違いだと思う。しかし、間違った発言をした者を「差別」して、ある人は追放し、ある人は不問に付すという不公平は許せない。
 ましてや民族差別問題は最も重要な人権問題である。こうした間違った発言が事実上肯定されていったら、いくら裁判所がヘイトクライムを有罪にしても、社会から差別集団はなくならない。メディアとメディアの享受者にもう一度モラルを問いたい。


参考リンク

在特会めぐる竹田氏発言で謝罪 読売テレビ「不正確」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131103-00000023-asahi-soci


差別はネットの娯楽なのか(16)
http://getnews.jp/archives/442445


在特会広報部が「在日特権リストはすべてデマ」と表明
http://matome.naver.jp/odai/2138389938746953101


在特会が「在日特権リストはすべてデマ」と認める
http://kdxn.tumblr.com/post/66592476078