ザウルスの法則

真実は、受け容れられる者にはすがすがしい。
しかし、受け容れられない者には不快である。
ザウルスの法則

デタラメ動画 「この地球に山や森は存在しない」(前篇)のトリック  

2017-05-13 14:56:22 | 宗教、オカルト

デタラメ動画 『この地球に山や森は存在しない』 (前篇) のトリック 

わたしの動画(「北極スターゲート:海底考古学16」 https://youtu.be/W02R7kkiq0Y )の視聴者から薦められて見て、驚いた。見え透いたトリックでまんまと騙されている人間が世界中にたくさんいるようなので放置できないと思った。

この動画をすでに観てしまったひとは、すぐに以下の記事と、「後編:診断書」 を読んで、“デトックス” していただきたい。

 この動画の前篇と後編にわたって、ここまで分析して、そのウソを暴いている記事は他にはないだろう。この動画を観たひとには必読の記事である。

この記事では 「前篇」 に限定して、どういったトリックか使われているかを明らかにしよう。後編も必ず併せて “服用” していただきたい。

 

『この地球に山や森は存在しない』 前篇

 <最重要の主張>

「デビルズタワーは巨木の切り株である」 と主張している。

なるほど。しかし、それを本当に言いたいのだったら、

「そのように見えるから」 というだけではダメだろう。違うだろうか? 

しかし、ここで出されてくる根拠が、デビルズタワーの 柱状節理の六角柱の断面と、植物の亜麻の茎の断面に見られる六角形 とが共通しているという主張である。つまり、六角形の柱状節理は、デビルズタワーが植物であった証拠であると言うのだ。 ふーん。

ちなみに、この柱状節理という奇妙な現象は、いくら不思議に見えようとも、地質学的、岩石学的には、ちゃんと科学的、合理的に説明されているものである。日本のあちこちにもある。ウィキペディア以外にも説明はいくらでもネット上で見つかる。まともな科学者でこれを 「石化した樹木」 だと言う者は一人としていない。

 

その前に、自然界における六角形の他の例が挙げられる。ミツバチの巣や雪の結晶に見られる六角形なのだが、六角形のイメージを視聴者に強く植え付けるためらしい。

しかし、冷静に考えれば、植物以外にも六角形は自然界に普遍的に見られることを示しているわけである。

ということは、「六角形だから “植物起源” である」 とは限らないということではないか? 

つまり、六角形は植物に限らず、ミツバチが巣を作るときであろうが、雪が結晶化するときであろうが、溶岩が冷却する時であろうが、発生する現象なのである。

なので、六角形の石柱があるからと言っても、必ずしも植物起源だとは言えないことになる。 あなたにはこの論理が理解できるだろうか?

デビルズタワーに六角形があるからといっても、デビルズタワーが蜂の巣起源だとは言えないのと同じである。

 デビルズタワーのような柱状節理は、世界中に見られる “地学的、火山学的起源” の現象に過ぎないというのが、ふつうの科学者の見方であることをお忘れなく。

 

 

とにかく、映される亜麻の断面図の中央部分が、たくさんの 六角形 を示している と視聴者は説明される。

 

そして、なぜか、その亜麻の周りが剥けて真ん中だけが残って、デビルズタワーになったのだと、付け加えられる。

 

 

なるほど。しかし、亜麻という植物は、調べてみると “木” ではなく、“草” であることがわかる。 “草本” である。

  以下の写真のように、亜麻は可愛い花を咲かせる草花なのである。

 

 

動画では、断面図だけしか出さないので、話の流れから視聴者は、当然この断面図は “木” の断面図だと思ってしまう。当然だろう。何しろ 「木の切り株」 の話なのである!

この動画の作者は “亜麻” (flax) の “断面図だけ” しか見せず、それがどういう植物であるかを示す写真をなぜか見せようとしないのだ。まるで “草の茎の断面” を、“木の断面” であると思い込ませるためであるかのようだ。

デビルズタワーの柱状節理の六角柱を何とか木の組織に関連付けるために、六角形が見えるこの亜麻の断面図を見つけてきたのではなかろうか。必死に探し出したのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 とにかく、亜麻は “木” ではない! この “草と木の違い” は大きい。木の成長と比べて、草の成長は大きさ的にも年月的にも非常に限られている。

 

 

 

読者のみなさん、正直に答えて欲しい。あなたには、草花” が成長して、巨大化して、いつか“デビルズタワー” になるのを想像できるだろうか?

どうだろうか?正直に答えて欲しい。

 

 

 

 

 

“草” であるなら、どんなに成長してから切っても、“切り株” にはならないと思われるが、いかがであろうか?

 

 

 

 

 また、この亜麻の周りが剥けて真ん中だけが残って、デビルズタワーになったという説明もかなり無理があろう。というのは、草本の場合、茎を垂直に支えているのは外皮であって、中の組織は希薄かつ脆弱で、構造上ほとんど茎の直立には寄与していない。草本の場合は、茎はほとんどチューブである。中を水分が昇っていくのである。外皮が全体を支えているのである。

  

つまり、中はほとんど中空である。断面図を再度ごらんいただきたい。植物組織の密度が中心部分では非常に希薄である。そして断面に六角形が見えるのは、この部分だけなのである。 

そもそも、どうして茎の外皮が剥けたことにしなくてはならないのか?そうなる必然性があるのか?

 

単に “六角形” が存在するのが、亜麻の断面の中央の白っぽい部分だけだからである。そして、デビルズタワーの外面は六角柱で覆われているので、茎の断面で言えば、外側が無くなって、六角形部分が露出してくれないと困るという苦しい事情がどうもあるようだ。

 

苦しい事情という、そのわけは、

1) ここでは、すでに木ではなく、断面としては草花なのである。 右のイラストのように可憐な草花である。 

2) そして、仮にこの草花がどんなに “巨大化” しても、その草の茎の植物組織のほとんどは外皮であり、中央部分はスカスカの垂直の仕切りなので、石化してから万一外側が崩れても、実質的にほとんど水分だけだった内部のほうは、石化もしておらず、大きな空洞があるだけのはずだ。

 

この可憐な草花が、デビルズタワーになったというのは、一つのジャガイモがエアーズロックになったと言うようなものである。

 

 

 

 

 

 

冷静に考えて欲しい。ここにはいくつかトリックがあるのではないか?

“切り株” だと言いながら、断面を説明するのに、“樹木の断面図” を使わず、なんと “草の茎の断面図” にすり替えてはいないだろうか?

 

 

亜麻の断面図の中央部分が、六角形 を示している と視聴者は説明されたが、これすらも相当にあやしい。実際、亜麻の断面図の画像を検索すると、以下のように 断面は “多角形”」 との記述が普通で、“六角形” としているものは見当たらない。

 

 

 

 

 

 六角形もあるだろうが、実際は “三角形” “四角形” “五角形” “七角形” “八角形” もあるではないか。柱状節理のような規則的で反復的な “六角形” とはほど遠いではないか!

 

 

    

 

  

 

 

要するに、“六角形” とするのは、強引なこじつけである。 “多角形” にすぎないのである。 それも  “不規則な多数の多角形” である。“規則的で反復的な六角形” ではない。

 

 デタラメ動画の作者: マネス氏

 

ふつうの樹木の断面には六角形はまったく見られないので、デビルズタワーが “植物起源” であることの “証明” には全然使えないと、この動画作者のマネス氏は考えたに違いない。

そこで、樹木の代わりに、黙って “草花の断面” を使い、多角形なのに無理やり六角形が共通しているように思わせ、デビルズタワーが過去において “植物” だったと信じ込ませようとしているのである。

さすがに最初から 「草花がデビルズタワーになった!」 とまではとても主張できないと思ったので、こっそりと手品のように “断面図” だけ “草花” にすり替えたのである。しかし、その断面図が示しているのも多角形にすぎないのだ。

  たしかに草花がデビルズタワーになるとしたら、ふつうの樹木はいったい何になってしまうことやら。

 

 

 ちなみに、木の断面とはこういうものである。

 

 

 

 

 

 

 デビルズタワーが “木の切り株” だというのならば、“草の茎” ではなくて、堂々と “樹木の断面” を示すべきではないか?

 しかし実際は、“六角形” という非常にわかりやすいイメージをふんだんに使って、デビルズタワーが “植物起源” であるかのように思わせようとしたのである。

このマネスというロシア人は、こんなトリックで何百万人という人間を騙しているのである。

 

デビルズタワーの柱状節理は、世界の至る所に見られる “地学的、火山学的起源” の現象に過ぎない。これが科学的現実である。いくらつまらない説明でも、現実は現実である。

つまり、仮にこの動画の作者が喉から手が出るほど欲しかったような、六角形がびっしりの断面をした樹木が存在したとしても、だからといってデビルズタワーが“植物起源” であることが証明されるということには全然ならないのである。

あいかわらず、デビルズタワーの六角柱の柱状節理は地質学的、火山学的な理論で十分に説明できているので、まともな科学者は“植物起源”説 などには洟も引っかけないのである。科学者が常に正しいとは限らないが、この件に関してはまったく正しいと言える。

 

岩石学的にみた “植物起源”説 の非科学性

そもそも柱状節理の岩石成分は、火山学的起源からして、玄武岩が主である。一方、この動画作者のおとぎ話の巨大樹木が石化した場合の成分は、必然的にケイ素が主となるはずである。

石化した樹木ならケイ素が主となるはず。  しかし、柱状節理の岩石にはケイ素が非常に少ない。

 

さらに、トドメとして言えば、柱状節理の岩石成分中、最も少ない成分が “ケイ素” なのである。つまり、岩石学的に言っても、“植物起源”説 はまったくの “おとぎ話”、 ”ホラ話” ということである。

 

参考: 柱状節理の形成原理

 

右の図でも、下の図でも “溶岩” からできたとしている。

「“柱状節理” は “植物起源” だ」 と言ったり、思ったりしているのは、単に自分の無知に気づいていないだけなのである。

“柱状節理” をネットで調べれば、小学生にもわかることである。

 

 

“柱状節理” は決してめずらしいものではなく、世界中に見られる。火山国の日本は特に多いのである。

 

  

<警 告>

「木の切り株に似ていること」 は 「木の切り株であること」 ではない。それを無理やり “イコール” にして、おとぎ話の世界に引きずり込むのは、見え透いた “トリック” である。 類似=同一のトリック” 、もしくは “アナロジーのトリック”  という。

 

「似ていれば同じ」 という “幼稚な理屈” を受け入れるのは “幼稚な人間” だけである。

このトリックにハマることは、冷静な科学的判断の放棄に等しい。言いかえれば、オカルト説への屈服であり、客観的で自由な思考の放棄である。

このおとぎ話 「この地球に山や森は存在しない」 の世界に引きずり込まれたナイーブな “おとな” がすでに世界中に百万人以上いる。

いい大人が、こんな “おとぎ話” を真に受けることは、“オカルト説” を受け入れることである。 “オカルト説” とは “科学的裏付けのない無責任なホラ話” のことである。精神の健康に非常に有害である。

 デタラメ動画の作者: “イカサマ野郎” のマネス氏

 

どこの国でも、冷静な判断力を持っている人間はごく少数である。ほとんどの人間は、大人でも “おとぎ話” に持って行かれ、本人の自覚のないまま、怪しげな宗教や思想に染脳されてしまう 

自由な思考(精神の健康)を保つためには、根拠のない無責任な “ホラ話”  に対して “警戒” しなくてはならない。“警戒” を怠っている者は、本人も気づかないうちに必ずそうした有害な考え方に染まり、さらにそれを周りの人間にも広めていくことになる。たとえば、このおとぎ話の 「この地球に山や森は存在しない」 を人に薦めるようになるのだ。「これ、面白いよ」 などと言って・・・。ほらほら、あなたのことだよ。

 ぜひザウルスの記事で “デトックス”(脱染脳) していただきたい。

 

追記2017.08.26.  批判、反論は大歓迎であるが、ちゃんとした日本語でお願いしたい。日本語もおぼつかない無脳層のたわごとに付き合うほどこちらはヒマではない。

 

ここまで読んできても納得しない人間は、逃げずに 以下の記事を読む必要があるだろう。 

インチキ動画 「この地球に山や森は存在しない」 (後篇) の診断書   に続く

 

 

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239 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
替え玉愛子も~ (滝山善一)
2017-05-14 00:49:51
ザウルス様、お世話になります。
ならば、騙されている方々の判断では、「 替え玉愛子は、愛子内親王殿下に似ている」 ( 似ているのは =同じ人物、だからに違いない )、と判断する訳ですか。
 宮内庁はそう発表しているけども、ホントかなあ???などと、疑問を持たない訳ですね。同様に、宮内庁の発表して来たことは、正しいことなのだから、皆皆疑問を持たずに信じなさいっていうのも、馬鹿阿呆な考え方でしょう。そうは思いませんか??
滝山 さま (ザウルス)
2017-05-14 01:33:12
宮内庁や皇室が記事や動画で 「愛子様本人説」 とか、「愛子様替え玉説」 を公表していますか?国民がそれを見たり、読んだりしていますか?

状況がまったく違うのではありませんか?
そうですね (滝山善一)
2017-05-14 01:56:30
ザウルス様、すみません。
ご指摘を感謝いたします。私も低脳層の一人である事が判明しました。以後は発言を慎むことにします。
素晴らしいです、 (カットクリエイター)
2017-05-14 17:12:15
考え方が古すぎて笑えます。
自分では最高のスペックと思っているが
実は取り残されてる事を受け入れられない
典型です。まず科学とやらが間違いだらけですからね。ママのオッパイなめ続けてた方が安全だしね!お疲れであります。
カットクリエイター (ザウルス)
2017-05-14 17:49:39
「科学とやらが間違いだらけですからね」  
なるほど。それでは、「間違いだらけ」 なら1つだけでも指摘してみて下さい。それもできなければ、ただのイチャモンでしょう。
ごめんなさい。 (カットクリエイター)
2017-05-14 18:26:07
信念曲げずに
猿から人間に進化したと
死ぬまで言い続けて
我々を死ぬまで笑わせ続けて下さい。
よろしくお願い申し上げます。
カットクリエイター さま (ザウルス)
2017-05-14 18:43:13
けっきょくまともな反論はできないようですね。
あなたはおそらく、問題のこの動画に感動した1人なのでしょう。周りの人間にも推奨してきたのかもしれませんね。
そして、この記事をみて、自分がおとぎ話を真に受けていたことに気づいたのでしょう。しかし、脱染脳(デトックス)の苦しいプロセスに直面して、このわたしに当たり散らしているのです。
「考え方が古すぎて笑えます」 とのことですが、おそらくご自分はこの怪しげな動画で “新しい考え” を得た気になっていたのでしょう。
「実は取り残されてる事を受け入れられない典型です。」   とのことですが、ご自分は 時代の先端を行っているつもりなのでしょうね。その根拠が問題の怪しげな動画だとしたら、たしかにあなたのケースは相当に “重症” です。
しかし、デトックス(脱染脳)は可能です。気づいていない人が無数にいる中で、少なくともあなたは気づいたのです。
やっぱ笑える。 (カットクリエイター)
2017-05-14 19:03:16
頑張れエリート
カットクリエイター さま (ザウルス)
2017-05-14 19:08:57
「やっぱ笑える。」   とのことですが、
あなたの引きつった笑いが目に浮かびます。

わたしがこの記事に誤りがあれば指摘して下さいと言っても、けっきょく何も指摘できませんでしたね。

わたしはいつでも他者からの批判に対してオープンな姿勢でいます。いつでも批判して下さい。
この動画について (てこにゃん)
2017-05-14 21:17:18
ザウルスさんのおっしゃてる科学的に見て正しい(気がします)。

ですが、わたしが初めてこの動画を見たとき思ったのは、これは動画の内容とはまったく別のメッセージが込められているのでは?ということでした。

例えば、今わたし達が生きてる現実で起きている事象が、誰かによって作り出されてる。または、目に見えることでさえ、何者かによってそう見えるように洗脳されている、というような。

ですので、この動画を見たまま、デビルズタワーが植物起源なわけがない、というのはごもっともなのですが、そんな単純な話でもないように感じてしまいます。

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