最近、国立国会図書館デジタルコレクションで、『音霊の話』(友清磐山:著、天行居:1946年刊)という本を見つけました。興味深い題名だったので読んでみたところ、これは「音霊(おとたま)の法」という健康法を紹介した本でした。
「音霊の法」とは、静かに一定の音を聴いて気を鎮(しず)める神道の行法で、音は、滝の音、小川のせせらぎ、雨の音、浪の音など何でもよいそうです。
これが世間に知られるようになったのは、著者の師である佐曾利清(さそりきよし)翁が、時計の音を聴くという方法で、明治20年代以後において幾千人という人々の病苦を実際に救ったからだそうです。
やり方は簡単で、時計は普通の置時計(秒針の音が聞こえるもの)を使い、座った状態でこの音を聴くだけです。
座法は自由ですが、背中が曲がって腹が引っ込むような姿勢はよくないそうです。背筋をまっすぐにして座り、自然と下腹部に元気が充満するような姿勢、気持ちが必要なのだそうです。また、首が前に傾かないよう顔をまっすぐに立てることも大切だそうです。
なお、手は下腹部に置くのがよいようですが、『神機鈎玄』(友清歓真:撰、天行居:1922年刊)という本に詳しいやり方が書いてあるのでご紹介しましょう。
それによると、両手は腹にあてるのですが、その際、男性は左手の親指をヘソの穴にあて、他の四指を自然のままその下部に置き、右手の親指の先端が左手の親指と人差し指の股にあたるように右手を重ねるのがよいそうです。そして、女性は左手と右手を逆にするのだそうです。
「音霊の法」の修業に適した時間帯は、食後2時間後くらいがよく、1回あたり30~40分程度を1日3回くらい修業するのが望ましいそうですが、忙しい人は1日1回でもよいそうです。私の場合は、夜寝る前にやっていたら朝早く目が覚めるようになってしまったので、今は早朝に1回やっています。
普通の人は、時計の音を聴きながら静座していると、雑念妄想が次から次へと去来するものですが、それでも一向に差し支えないそうです。雑念妄想のあるがままに音を聴いていればよく、病気を治そうと思う必要もないそうです。
佐曾利翁は、「思え思え何でも思え、思うことがなけりゃこしらえてでも思えという気構えが秘密だ」と常に語っていたそうです。
また、この修業によって特別に悪臭のある糞便が出たり、あるいは大小便の量に異常が起こる場合もあるそうですが、心配する必要はなく、そのうち平常に戻るそうです。
「音霊の法」の効果としては、これを修業することにより、誰でもすぐに心の「安定」が得られ、自律神経やホルモンが調節され、心臓の機能が正調になり白血球の作用が盛んになって身体の調子がよくなってくるそうです。
私も、この本を読んでから、「音霊の法」を毎日30分以上実践しているのですが、何か身体に元気が満ちてくる感じがします。また、これは以前ご紹介した「正心調息法 」よりも簡単なので、長続きするのではないかと思います。ぜひ、この手法を活用して健康を手に入れていただけたらと思います。
音霊法を調べていましたら、こちらの
サイトにご縁がありました。
大変詳しくてありがたいです。
人間医学社の大浦孝秋氏のことも別記事で書かれておられ嬉しく思いました。
ありがとうございます。