がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

風邪と脳膜炎

2020-03-28 18:01:39 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第7回目です。

◆風邪と脳膜炎

これまで何度もご紹介したように、漢方医学によると、多くの病気の原因は、瘀血(おけつ=古くなった不要な血液)と水毒(体内の水分が過剰な状態)だそうです。

そして、この瘀血と水毒を揺り起こして種々(いろいろ)な病気を起こさせる動機となるのが、古来より万病のもとと言われている風邪(かぜ)だそうです。

また、本ブログの「解熱剤と氷枕の罪悪」でご紹介したように、風邪の際に発熱するのは、病気を追い出すために身体の方から出す抵抗の表われであり、これを解熱剤や氷枕を使って無理に下げようとすると、今まで潜んでいた瘀血や水毒が追い込まれた外邪(がいじゃ)と結びついて、肺炎や肋膜炎、胃腸病、中耳炎、脳膜炎などを引き起こすそうです。

この本には、脳膜炎の症例が載っているのでご紹介しましょう。

あるとき、鮎川氏の奥さんの姪が病院でお産をしたのですが、間もなく脳膜炎にて危篤との電報が届いたそうです。

そのとき、鮎川氏は、この脳膜炎は風邪と瘀血が結びついた病気であると直感したので、漢方医にかかるよう打電したそうです。

漢方医は往診してくれ、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)という瘀血下し(ふるちくだし)の薬を与えたそうですが、たった一服で危篤の脳膜炎が治ってしまったのだそうです。

一般的には、漢方薬は慢性病に有効だと思われているようですが、漢方に関する書物を読むと、漢方薬が真価を発揮するのはむしろ急性病においてのようです。

今回登場した桃核承気湯という漢方薬は、『漢法医学講演集 第1輯』(森田幸門:述、木曜会:1940年刊)という本によると、下腹部に炎症があって、そのために脳症を起こしてきて、尿道、または子宮、肛門から出血する場合に用いる薬だそうです。

また、急性の熱病による鼻血、腸出血(黒い便)、血尿にも有効だそうです。

慢性病に対しては、神経の使いすぎで、血色が悪く、身体が衰弱し、食欲がなく、胸の中に物が詰まった感じで、みぞおちのところが痛む場合に有効だそうです。

また、瘀血による腰痛(夜間に特に強く感じる痛み)にも非常によく効くそうです。

ただし、この薬は、陽証あるいは実証の場合には著効があるが、陰証・虚証には用いてはいけないと書かれているので、ご注意ください。

ちなみに、陽証は有熱性伝染病で熱が高い場合、陰証は虚弱なため熱が出ない場合や疫痢のように手足が冷たくなる場合を指すそうです。

また、実証は、一般的には体力が充実している状態で、虚証はその逆とされているようですが、自己判断は危険なので、漢方薬を使う場合は漢方医に診断してもらって最適な薬を処方してもらうようにしてください。

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関節炎と湿性肋膜炎

2020-03-20 14:22:40 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第6回目です。

◆関節炎と湿性肋膜炎

漢方では、体内の水分が過剰な状態を水毒(すいどく)とよびますが、これは腎臓の機能障害が直接の原因だそうです。

次に、どういう人に水毒が多いかというと、下痢しやすい体質の人は水毒が多いそうです。また、関節炎にかかって関節内に水が溜(た)まる人も水毒が多いそうです。さらに、湿性肋膜炎も水毒によって引き起こされるそうです。

ところで、西洋医学では、関節内に溜まった水を注射器などで抜く治療法がありますが、鮎川氏は、こういった手法を、

「治療法という可(べ)きものでは無くして疾病(びょうき)の本態を弁(わきま)えざる医師の瞞着(ごまかし)手段である」

と厳しく批判しています。

というのも、関節の炎症に際して水が溜まる現象は、炎症を起こした関節面の摩擦を防ぐために必要な生理現象であり、その病気の根本を治さないで水だけを取ると、病気がますます悪化する危険があるからです。

鮎川氏は、こういった場合は、漢方薬を内服して水毒を除去してやればすぐに治るので、溜まった水を注射器などで抜くような迂遠(うえん=遠回り)な治療は必要ないと断言しています。

湿性肋膜炎についても事情はまったく同じですが、この本には具体的な治療例が載っているのでご紹介しましょう。

それによると、あるとき、西洋医学の専門家が穿刺(せんし=中空の針をさすこと)によって排膿を試みた湿性肋膜炎の患者が、結局治らなくて鮎川氏のところに来たそうです。

この話は、同じ著者が書いた『漢方医学入門』(日本漢方医学会:1935年刊)という本に詳しく書かれているのですが、患者は二歳の男児で、肺炎から湿性肋膜炎を起こし、右季肋部(右側の肋骨下部)が膨隆(ぼうりゅう=ふくらんで盛り上がること)していたそうです。

そこで、大柴胡湯(だいさいことう)と排膿湯(はいのうとう)の合方と大黄䗪虫丸(だいおうしゃちゅうがん)を五日分投与したところ、一週間後に再診した際には、患者の顔つきがよくなり右季肋部の膨隆もなくなっていたそうです。

今回登場した漢方薬は湿性肋膜炎用の薬ですが、一般的には膝関節の不具合で困っている人の方が圧倒的に多いと思いますので、関節炎で膝に水が溜まった場合によく使われる防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)という漢方薬をご紹介しましょう。

『皇漢医学 第1巻』(湯本求真:纂著、湯本四郎右衛門:1933年刊)という本によると、この薬は、本来は身体の湿気が呼び寄せた風邪(かぜ)を治す特効薬で、体表および体内の水分を尿として排泄させる作用があります。

また、腰より上は正常で腰から下が重く腫(は)れて屈伸しにくい症状を治してくれるとも書かれていて、これが、関節炎で膝に水が溜まった状態に適合するようです。

ただし、体質的に防已黄耆湯が適さない場合もありますから、膝関節の不具合でお悩みの場合は、必ず漢方医に診断してもらうようにしてください。

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呼吸器病

2020-03-13 08:50:41 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第5回目です。

◆呼吸器病

この本が出版された当時(昭和14年)の呼吸器病といえば、肺結核が代表的なものです。これは国民病ともよばれ、日本中に大流行して多くの死者を出していたため、この病気に罹ると必ず死ぬと思っていた人も多かったようです。

しかし、鮎川氏の見解によれば、重要なのは、本ブログの「子宮後屈症」でご紹介した瘀血(おけつ=古くなった不要な血液)と水毒(体内の水分が過剰な状態)の量であり、これらが少ない患者の場合は、相当重症のように思われる肺結核であっても漢方薬で助かるそうです。

そのため、鮎川氏は、「早期発見、早期発見と騒ぎまわり、レントゲン検査などによって怪しげな診断を下し怪しげな治療をする」西洋医学のやり方を、気の弱い人を病気に追い込むような方法であると批判しています。

なぜ「怪しげな診断」なのかというと、肺に病変がある場合、西洋医学では肺だけを治療しようとしますが、漢方医学で診断すると、肺病の原因が肝臓にあり、その肝臓の変化の原因が腎臓にあったという場合が少なくないからだそうです。

ですから、最初の診断が間違っているので、結果的に西洋医学は「怪しげな治療」になってしまうというわけです。

また、西洋医学では肺結核の原因を結核菌に感染したためと考えますが、鮎川氏は、結核菌に感染したから肺結核になるのではなく、病的な肺が結核菌の餌になるから結核菌が繁殖するのである、と非常に重要な指摘をしています。

そして、漢方医学の教える瘀血と水毒の診断を行なって国民の体質改善に乗り出すことが、肺結核対策としてもっとも効果的で賢明な方法であると断言しています。

つまり、日頃から瘀血や水毒を減らすよう体質改善に取り組み、腎臓や肝臓の働きが万全になるよう心掛けることによって肺を健康にしておけば、結核菌も寄り付かなくなるということです。

最近は、新型肺炎のニュースで持ち切りで、そのため不安を感じている方もおられるでしょうが、そういう方には、鮎川氏の次の言葉をご紹介したいと思います。

「結核菌は恐る可(べ)き細菌であろう。然(しか)し肉眼には見えない。見えないものを怖(おそ)れて逃げまわっても仕様がない。」

新型コロナウイルスも恐るべき病原菌かもしれませんが、この本を読むと、病原菌だけを恐れるというのはまったく見当違いの対応であることが理解できます。どうか、落ち着いて行動していただきたいと思います。

なお、参考までに、瘀血を改善する漢方薬を一つご紹介しましょう。『臨床応用漢方医学解説』(湯本求真:著、同済号書房:1933年刊)という本には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)が「血行器及び血液の変常に因する諸病を治(ぢ)する。」と書かれています。

具体的には、頭痛、眩暈(めまい)、耳鳴り、脳出血、各種の出血、心臓病、動脈硬変、男女の泌尿・生殖病、いぼ痔、脱肛等に有効だそうです。

ただし、この薬は比較的体力のある人に適していて、貧血の人や衰弱している人には向かないのでご注意ください。

前回も書きましたが、漢方薬を使う場合は自己判断せず、漢方医に診断してもらって最適な薬を処方してもらうようにしてください。

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「がんを治したスゴイ日本人」出版のお知らせ

2020-03-09 22:32:16 | 健康・病気

AmazonのKindleで、このブログの内容をまとめた「がんを治したスゴイ日本人」という本を電子出版いたしました。

この本は、日本人によるがん治療の歴史を、文献調査によって明らかにしたものです。具体的には、

第一章 がんの名医 永田徳本先生 (安土桃山時代~江戸時代初期)

第二章 血液循環療法を編み出した小山善太郎氏 1910年(明治43年)

第三章 ヨード剤でがんを治した牧野千代蔵氏 1914年(大正3年)

第四章 太陽光線治療器を開発した澤田暁夢氏 1916年頃

第五章 ビワの葉でがんを治した井上新太郎氏 昭和初期

第六章 がん治療の五原則を明らかにした大浦孝秋氏 昭和初期

第七章 糖質制限と塩水でがんを治した三木一郎氏

第八章 マイタケエキスでがんを治した清水妙正氏

の八名をピックアップしました。また、これらに加えて、がんに関する豆知識や健康法を多数紹介しています。

この調査の結果、がんは意外と簡単に治ることが分かりました。そのことを、

第九章 本当のがん治療法

にまとめました。これからがん治療に臨まれる方はもちろん、がんの予防法を知りたい方にも、非常に参考になる内容となっています。

定価300円にて絶賛発売中です。どうぞよろしくお願いいたします。

がんを治したスゴイ日本人

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消化剤の有害性

2020-03-06 09:53:44 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第4回目です。

◆消化剤の有害性

著者の鮎川氏は、消化剤についても、「治療界から此(こ)の消化剤という代物(しろもの)を取り除いたら、如何(いか)に人間の胃腸、延(ひ)いては総(すべ)ての健康がよくなることであろう。」と言って、その存在を嘆いています。

西洋医学の考え方は、

消化不良 → 消化液の不足 → 消化剤を与えればよい

というもので、健康な人と消化不良を起こしている人の胃液を比較・分析して、不足している成分を明らかにすることに力を入れているわけです。

しかし、鮎川氏は、なぜ消化液が足らなくなったのかを詮索することこそが最も急を要する治療の根本であると指摘し、病人の数が一向に減らない西洋医学について、

「異常胃液の分析法が如何(いか)に進歩したところでその根本(もと)を忘れた進歩では治療学上の有難味は爪の垢(あか)程も無いのだ、こうしたお道具だてを称して医学の進歩だなどと称するのは良心無き極みだと思う。」

と痛烈に批判しています。

確かに、不足している胃液の量や成分を消化剤で補うというのは、本ブログの「卵巣機能不全」でご紹介した、水が不足している井戸に他(よそ)から水を補給するという考え方と同じであり、何の解決にもなっていないのは明らかです。

西洋医学の専門家は、こういう発想しかできないので、病人の数が一向に減らないというのも不思議ではないですね。

鮎川氏によると、胃液の分泌や胃液の成分には腎臓機能が深く関わっているそうです。

そして実際に、多くの病院を渡り歩いても治らず、何年も患っていた慢性の胃病が、茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)などの利尿を主とする湯薬(とうやく)でケロリと治るそうです。

したがって、消化剤というものは、人々を不健康な状態にとどめておくだけでなく、お金と時間の無駄遣いを強いるという意味においても、非常に有害であるということが分かります。

今回登場した茯苓沢瀉湯は、『皇漢医学 第1巻』(湯本求真:纂著、湯本四郎右衛門:1933年刊)という本によると、嘔吐してのどが渇く症状に対する特効薬で、また、嘔吐がなくても、胃に水が溜まりみぞおちが痛んでのどが渇く諸病に有効だそうです。

なお、主薬の茯苓(ぶくりょう)と沢瀉(たくしゃ)は利尿剤です。頻尿の人、多汗の人には、茯苓沢瀉湯は不向きだと思われますので、お気をつけください。

やはり、漢方薬を使う場合は自己判断せず、漢方医に診断してもらって最適な薬を処方してもらうのが安全だと思われます。

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