インターネットで「がん コーヒー」というキーワードで検索すると、コーヒーは肝臓がんのリスクを下げるとか、逆にコーヒーには発がん性があるとか、様々な情報が出てきますが、本当のところはどうなのでしょうか?
国立がん研究センターのホームページによると、肝臓がんに関しては、主な原因はウイルス感染なので、コーヒーにがん予防効果があるとは考えられないそうです。
また、2015年5月7日の産経ニュースの「コーヒー3~4杯で病死の危険が急減 国立がん研究センターなどが公表」という記事によると、コーヒーの摂取量と「がんによる死亡との関連は見られなかった」そうです。
ただし、「コーヒーを1日3~4杯飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管、呼吸器の病気で死亡する危険性が4割ほど減る」そうですから、コーヒーは健康に良いと考えてよさそうです。
この記事の元ネタは、国立がん研究センターの「コーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について」という記事だと思われますが、それによると、コーヒーが健康に良い理由として、次の2点を指摘しています。
「第一に、コーヒーに含まれるクロロゲン酸が血糖値を改善し、血圧を調整する効果がある上に、抗炎症作用があるといわれています。」
「第二に、コーヒーに含まれるカフェインが血管内皮の機能を改善する効果があるとされています。また、カフェインには気管支拡張作用があり、呼吸器機能の改善効果があるのではないかと言われています。」
なお、コーヒーの抗がん作用については、「コーヒー摂取と肝がん、膵がん、女性の大腸がんと子宮体がんのリスク低下との関連が示唆されています」と書かれていて、かなり控えめな表現となっています。
したがって、結論としては、「コーヒーはがんとは無関係だが、1日3~4杯のコーヒーは健康に良い」ということのようです。
最後は余談ですが、カフェインの毒性についてのお話です。
以前、「ロケットニュース」というサイトに、イギリスの若い男性がカフェインの急性中毒で死亡したというニュースが出ていました。
カフェインといえば、コーヒーやお茶などに普通に含まれているので、あまり毒性があるとは思っていませんでしたが、『身のまわりの毒』(Anthony T.Tu:著、東京化学同人:1988年刊)という本によると、致死量は3.2グラム程度だそうで、アメリカではカフェインがよく自殺に使われるそうです。
コーヒー1杯に含まれるカフェインの量は110~150ミリグラムだそうなので、濃いコーヒーを20杯以上飲むと命にかかわるわけで、カフェインは想像以上に危険なようです。
この事件の場合は、死亡した男性が飲んでいたビールに友人がいたずらでカフェインのサプリメント(スプーン1杯分)を混入させたそうで、こんな危険なものがサプリメントとして売られていることは驚きですね。
ところで、カフェインには一度摂取するとまた欲しくなる嗜好性があるため、コーラやお菓子、薬などにもカフェインが添加されていて、売上向上に一役買っているそうです。
食品からカフェインを摂取する限りは死亡することはないでしょうが、カフェインを摂りすぎると、心臓の動悸や強い恐怖感を伴う発作が起こる場合があるそうなので、コーヒーやコーラの飲み過ぎにはご注意ください。