がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

現代強健法の真髄

2015-05-31 14:41:00 | 健康・病気

前回までは、健康の維持・増進には食事が大切であるという観点から、食養道というものをご紹介してきましたが、実は食事よりも大切なものがあります。

それは呼吸です。その証拠に、食事は3日間食べなくても死ぬことはありませんが、呼吸が数分間止まると、それだけで死に至ります。

呼吸に関しては、以前、このブログの「呼吸法について」で、丹田を意識した呼吸が大切であるということをお伝えしましたが、最近、国立国会図書館デジタルコレクションで『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という、主に呼吸によって健康になる方法をまとめた本を見つけたので、これからしばらくはこの本をご紹介していきたいと思います。

この本は大正7年に出版されていますが、どうやらこの本が出版される十数年前から健康法のブームが日本に起こっていたようで、この本には、そういった様々な健康法が分かりやすく解説されています。

また、この本には、最初に古代の呼吸法が紹介されているのですが、特に興味深いのは、日本に神代の昔から伝わる禊の行(みそぎのぎょう)において、「伊吹」(いぶき)という特殊な呼吸法が行なわれていたとされることです。

しかも、伊吹には表の伊吹とは別に裏伊吹(うらいぶき)という、他人に気づかれずに行なう深呼吸法があって、これは、弓馬刀槍の武芸から、茶の湯、生け花に至るまで、百般の技芸の極意に通じ、同時に健康法の極意ともされてきたそうです。

残念ながら、裏伊吹は秘伝で、この技を継承した人から直接教わらないかぎり、習得するチャンスはないそうです。また、著者の大津復活氏は、この技が忘れられようとしていることを嘆いているので、現代に伝わっているのかどうか定かではありません。

この本によると、深呼吸が健康上極めて有効であることを明らかにした殊勲者は、医学博士の二木謙三氏だそうですが、二木氏によると、これは古典を研究した結果であり、最初に読んだ本は、平田篤胤(ひらたあつたね)翁の『志都乃石室』(しづのいわや)だったそうです。

そういうわけで、次回は志都乃石室のお話です。

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


食養道の「憲法」

2015-05-24 13:47:34 | 健康・病気

『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は最終回です。

◆食養道の「憲法」

この本の最後に、食養道を実践する人のため、「食養道憲法」ともいうべき通則が掲げられているのでご紹介しましょう。なお、当時は農薬の問題はなかったと思われるので、これらを実行する場合は無農薬の食材を調達する必要があると思います。また、これは病気の際の療養食ではないのでご注意ください。

1.主食

(イ)玄米の飯が最良で、これを主食とする場合は、副食物はごま塩少量か味噌汁一椀、または古沢庵二、三片で事足りる。多量の副食物を取ることはかえって有害である。

(ロ)玄米が困難な場合は、半搗米(はんつきまい=精米の度合いが5割程度の米)を推奨する。これを主食とする場合は、飯7割、副食物3割(野菜2割、動物質1割)とし、腹八分目と咀嚼を心掛けること。

2.副食物、及びおやつ

(イ)味噌汁は、白みそは不可。八丁味噌、から味噌がよい。以下、推奨品として、味噌漬、鉄火味噌、ごま味噌、ごま味噌汁、みそ焼き、みそ煮、ごまあえ、レンコン、ゴボウ、鶏肉の油炒り、タケノコ、ニシン、昆布の油炒り、小豆昆布巻、がんもどき、さつま汁、けんちん汁、等々(以下省略)。

(ロ)季節の野菜を用いること。「はしり」を避け、「しゅん」のもの、すなわち最も安価なものを用いる。

(ハ)国ちがいのものを避けること。外国産だけでなく、国内産でも遠隔地のものは避ける。

(ニ)自然のまま調理すること。野菜は皮をむかず、茹でこぼしの汁も捨てないこと。

(ホ)塩辛く煮て油でいためること。肉量を少なくして、野菜類を多く取る場合は、塩気と油気を多くすることを忘れてはならない。

(ヘ)海藻類(昆布、ひじき、わかめ、等)は有効な副食物なので努めて常食するのがよい。

(ト)副食物は、野菜が主で肉や魚は従であるということを忘れてはならない。肉類の中では川魚が最良。魚類は、味噌で料理して、頭から尻尾(しっぽ)まで、骨も皮も食べるのがよい。大根おろしか生姜をつけること。

(チ)禁忌物 - 間食をすること。副食物を食べすぎて主食を減らすこと。動物性質を多食すること。甘味品を多食すること。パン、ビスケット類、菓子類。酒類、コーヒー、サイダー、アイスクリーム等々。

以上です。おかずをたくさん食べることに慣れている現代人には、玄米とごま塩だけの食事は考えられないかもしれませんが、まずは実行できそうなものから少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか? 

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


食物で病気は治る

2015-05-17 14:45:47 | 健康・病気

『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は第6回目です。

◆食物で病気は治る

この本の著者の久留弘三氏は、病気に対して次のような考え方を持っています。

「病気は人間が人間として定められた、正しい食物を取らないことから起るのである。即ち、唯(ただ)眼や口を喜ばせる様なものばかり嗜好することから起るのである。これは生理的罪悪の酬(むく)ひである。従って病人とは罪人といふことである。」

これはなかなか辛辣(しんらつ)な意見ですが、少なくともがんを含む生活習慣病を経験された方は、思い当たることがあるのではないでしょうか? やはり、「眼や口を喜ばせる」前に、人間は何を食べるべきかということを真剣に考えるべきだと思います。

久留氏の批判は西洋医学にも向けられ、

病気を対症としてこれを治療する「治療医学」は、医学の発展段階から云へば最下位にあり、それから中位にあるのが病気を予防する「予防医学」而して最上位が絶対に病気にかからない方法を教へる「自然医学」である。

食養道は医学から云へばその最高峰にあるものであり、西洋医学は未だその最下位を彷徨するものである。

と、かなり手厳しい意見を述べていますが、確かにいくら進歩しても病人が減らないような医学は、実は本当の医学ではないのでしょうね。

また、久留氏は、ある富豪の妻が、中耳炎と皮膚病と子宮病を患っていて、それぞれの専門医に治療してもらっていたが、急に容体が悪くなり、近所の医者に診てもらったところ、心臓をひどく病んでいることが判明し、とうとうそれで亡くなった事例を示して、

「極端なる医学の専門化は、対症療法にのみ没頭して、全生命を守ることを忘れしめたのである。」

と、西洋医学の専門化を痛烈に批判しています。がんに関しては、80年近く経った現在でもこの批判は正論で、患者の生命全体を診てくれる医師が極端に不足していると思います。

そして、久留氏は、生命は食物によって養われているのであるから、身体の異状は食物摂取の異状から来ていて、ただ食物を正常に摂ることさえ教えれば、病気は自然に全治する、食物による治療は全体的治療であり、根本的治療であるから、絶対に再発しない、と断言しています。

この言葉は、食養道(すなわち、玄米菜食)ががん治療に適している理由をよく説明しているように思われます。皆さんも、もしがんの治療法を選択するのなら、ぜひ絶対に再発しない治療法を選択していただきたいと思います。

次回は最終回、食養道の「憲法」についてのお話です。

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


身土不二

2015-05-10 06:55:40 | 健康・病気

『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は第5回目です。

◆身土不二(しんどふじ)

食養道では、「身土不二」ということをやかましく言うそうです。その意味は、「身」(=生命、生物)と「土」(=環境)は同一根源から成り立っているもので、両者は決して別個の存在ではない、すなわち一つであって二つではない、ということだそうです。

著者の久留弘三氏は、これを次のように哲学的な思想として語っています。(旧字体を修正しています)

土によって食物が育ち、生物はその食物によって生命を得るのであるから、生物は畢竟(ひっきょう)「土」即ち「環境」の所産である。

土を離れては生命はあり得ない。

そこで人間は常に環境に支配されているもので、この目に見えない自然の法則を守るものは、健康と長寿が与えられ、これを破るものは忽(たちま)ち病弱、夭死(ようし)が与えられるというのである。

而(しか)してこの観方は私共に誠に宏大無辺の人生観、世界観、宇宙観を与える。

即ち人間は土、環境の所産である。

然(しか)もその環境は宇宙全体に関連している。

そこで、我々の生命、肉体は直ちに宇宙に通じている。

吾々(われわれ)は宇宙と共に日夜呼吸している。

宇宙と我々との関係は「全体」と「個」との関係である。

然(しか)らば宇宙が無終である如く、吾々(われわれ)の生命も亦(また)無終である。

宇宙と共に私共には永久の生命がある。

斯様(かよう)に考えて来るとき豁然(かつぜん)として安心立命の境地が拓けて来るのである。

私共はこの信念を得て初めて食養道のいう「自然を生きる」ことの如何(いか)に尊いものであるかが判り、真剣に食養道を体行することが出来るのである。

なかなか奥が深いですね。そして、この「身土不二」の原則に従う食物の摂り方として、久留氏は次の3つを挙げています。

1.土地古来の産物を主食物とし、副産物を副食とすべし

2.副産物には、その土地のものを季節に従い、出来得るかぎり自然に調理して食すべし

3.異物、珍味を避けること

食事というのはあまりに日常的なため、普段はあまり何を食べるべきか意識せず、外国産の食材も当たり前に買ってしまいますが、こういう考えを聞かされると、反省すべき点が多いように思われます。

次回は、食物で病気は治るというお話です。

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


肉食の害と砂糖の毒

2015-05-03 07:42:56 | 健康・病気

『食ひ改めよ -無病健康法-』(久留弘三:著、体行会:1937年刊)という本をご紹介しています。今回は第4回目です。

◆肉食の害と砂糖の毒

この本の著者の久留弘三氏は、我々が滋養物だと思い込んで多量に食べているが、実は多食するとかえって大きな害のあるものとして、肉と砂糖をやり玉に挙げています。彼の主張を要約すると、以下のようになります。

1.肉食の害

・人間は本来穀食動物であるから、肉を常食すべきではない。そのため、我が国においては、古来より禁肉に関する勅令が布告されている。

・仏教の高僧には長寿者が多いが、彼らは肉食を不浄食として斥(しりぞ)けていた。今日、長寿者の健康法を聞くと、ほとんど例外なしに菜食のようである。

・肉食とは、牛、馬、豚の肉はもちろん、鳥や魚肉まで含まれる。

なお、石塚左玄氏の説として、曽我稲目が仏教を導入したのは、肉食を退治するための政治的な方策だったという説が紹介されています。

2.砂糖の毒

・砂糖は、ナトリウムの排泄を促して体内の臓器や組織を弛緩させ、様々な病気を誘発させる原因となる。

・記憶力の減退、敗血症、壊血病、腎臓病、糖尿病、虫歯、近眼などは、いずれも甘味の多食から来る。

・元来、日本人は米を主食としているから、これ以上糖分を摂る必要はない。

こういった主張には私も同感で、このブログで度々指摘してきたことと相通じるものがあると思います。ただし、これだけでは情報は十分ではないと思いますので、「寿命と食事」や「亜硝酸塩にご注意」、「砂糖の害」など、本ブログの初期の記事もよかったら参考にしてください。

また、果物を食べることについては、「洋食の後に果物の出てくるのには意味がある」としながらも、「米食を主としている我が国に於いては、全くこの必要を認めない」と断言し、多食を戒めています。

これは、果物に含まれる糖分がお米の糖分とダブってしまうということでしょうか? いずれにしても、「食養道」を守っている限りは、あまり果物を食べることにこだわらなくてもよいのかもしれませんね。

次回は、身土不二についてのお話です。

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村