マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第7回目です。
◆ニキビ
ニキビの原因は、思春期などに体内のホルモンのバランスが失われて、皮脂が過剰に分泌されるためだと考えられています。皮脂が過剰に分泌されると、毛包がふさがれて、いろいろな病原菌の異常繁殖に適した環境が出来上がるのだそうです。
したがって、ニキビの予防には、石けんで1日3回(朝・昼・夜)洗顔し、髪も毎日洗い、油性の化粧品を使用しないようにすることがポイントだそうです。
また、便秘をしないこと、間食をしないこと、じゅうぶんな睡眠をとること、皮膚に接触刺激(前髪の毛先があたるような刺激)を与えないことも予防策として重要だそうです。
ニキビを治す薬もありますが、よく効く薬には強い副作用もあるので注意して用いる必要があります。
欧米では、イソトレチノインというビタミンA誘導体(商品名はアックテイン)が、よく効くニキビ治療薬として用いられていますが、この薬は日本では許可されていません。
ご存知の方も多いと思いますが、ビタミンAには催奇形性があり、妊娠中にビタミンAを多く含む野菜ジュースなどを大量に飲むことは、奇形児が生まれる危険性を高めます。
このアックテインにも強力な催奇形性があることが分かっていて、「妊娠中は禁忌」という警告文をつけて販売されているそうですが、多数の若い女性に処方されたため、中には妊娠した人もいて、実際に38%という高い発生率で奇形児が生まれたそうです。
欧米において、催奇形性が知られているアックテインの使用が認められ続けている理由は、容貌と皮膚への強迫観念が非常に強いためであるとマーク・ラッペ氏は断言しています。
次回は、皮膚の防御についてのお話です。