がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

ニキビ

2015-01-25 07:22:37 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第7回目です。

◆ニキビ

ニキビの原因は、思春期などに体内のホルモンのバランスが失われて、皮脂が過剰に分泌されるためだと考えられています。皮脂が過剰に分泌されると、毛包がふさがれて、いろいろな病原菌の異常繁殖に適した環境が出来上がるのだそうです。

したがって、ニキビの予防には、石けんで1日3回(朝・昼・夜)洗顔し、髪も毎日洗い、油性の化粧品を使用しないようにすることがポイントだそうです。

また、便秘をしないこと、間食をしないこと、じゅうぶんな睡眠をとること、皮膚に接触刺激(前髪の毛先があたるような刺激)を与えないことも予防策として重要だそうです。

ニキビを治す薬もありますが、よく効く薬には強い副作用もあるので注意して用いる必要があります。

欧米では、イソトレチノインというビタミンA誘導体(商品名はアックテイン)が、よく効くニキビ治療薬として用いられていますが、この薬は日本では許可されていません。

ご存知の方も多いと思いますが、ビタミンAには催奇形性があり、妊娠中にビタミンAを多く含む野菜ジュースなどを大量に飲むことは、奇形児が生まれる危険性を高めます。

このアックテインにも強力な催奇形性があることが分かっていて、「妊娠中は禁忌」という警告文をつけて販売されているそうですが、多数の若い女性に処方されたため、中には妊娠した人もいて、実際に38%という高い発生率で奇形児が生まれたそうです。

欧米において、催奇形性が知られているアックテインの使用が認められ続けている理由は、容貌と皮膚への強迫観念が非常に強いためであるとマーク・ラッペ氏は断言しています。

次回は、皮膚の防御についてのお話です。

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皮膚病

2015-01-18 08:11:18 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第6回目です。

◆皮膚病

この本によると、人間の皮膚病の歴史は、まちがいなく人類の歴史と同じくらいに古いそうです。

西洋医学には古い歴史がありますが、実は、非科学的で時には有害な治療が皮膚病に対して長く行なわれていたそうで、19世紀になってやっと西洋医学は東洋の医学を超え始めたそうです。

20世紀初頭には、皮膚科は西洋医学で最も人気のある最先端の学科となり、皮膚科医は今では想像もつかないくらい尊敬されていたそうです。しかし、強力なX線管を用いた放射線療法や水銀軟膏などの有害な治療はまだ続いていたそうです。

そういえば、私が子どもの頃によく使っていた「赤チン」という消毒薬にも水銀が入っていて、日本では1973年ごろに製造中止になったそうですが、急に見かけなくなったのを不思議に思った記憶があります。

1950年代になると、副腎皮質ホルモンのひとつであるコルチゾンの利用によって、ほとんどどのような皮膚病も表面的には治療できるようになったそうです。(これには、抗生物質の寄与もありそうですね。)

そのため、1980年代以降は、水虫、ニキビ、乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑などが主要な皮膚病となったそうです。

アトピー性皮膚炎は、皮膚病というよりは全身性の免疫系の病気だそうで、患者の8割は家族にも同じ病気の経験者がいて、遺伝的素因があるようです。

また、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚には、通常は存在しないはれものの原因菌が生息していて、体の防御機能が大きく破綻しているそうです。

なお、アトピー性皮膚炎に対する通常の治療法では、コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)を繰り返し塗りますが、コルチコステロイドは免疫抑制作用があるので、患部の微生物汚染を悪化させる危険があるそうです。

乾癬(かんせん)は、白色人種に多い皮膚病で、伝染性はなく、命にかかわることもないのですが、とても治りにくい病気だそうです。

症状は、激しいかゆみと、ボロボロとはがれ落ちる鱗屑(りんせつ)を伴う紅斑で、しばしば痛みを伴うそうです。重症の場合は容貌が損なわれることもあり、精神的にもつらい病気だそうです。

次回は、皮膚病の続きで、ニキビについてのお話です。

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皮膚吸収

2015-01-11 07:29:29 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第5回目です。

◆皮膚吸収

皮膚は、平坦なように見えても、微視的には非常に複雑な入り組んだ構造をしています。

毛穴や汗腺の穴、細孔とよばれるさらに小さい穴がいたるところにあり、特に脂質に溶けやすいものはこれらの開口部から皮膚に容易に侵入して吸収されます。これを皮膚吸収といいます。

西洋医学では、1960年代の後半になるまでは、皮膚は化学物質を吸収しないと考えられていたそうで、このため、子どもと高齢者の多くに治療用の殺菌剤や殺虫剤による中毒がみられたそうです。

また、皮膚吸収が原因の職業病も以下のように多数確認されているそうです。

・不妊症:DBCP(ジブロモクロロプロパン)という、土壌微生物(線虫)用の殺虫剤が原因

・多発神経炎:トードン(2,4ジクロロフェノキシ酢酸塩)という除草剤が原因

・精神障害:有機リン系殺虫剤が原因

・白血病:ガソリンに含まれるベンゼンが原因

また、プールのように水を塩素消毒する場所では、クロロホルム(トリハロメタンの一種)という有害物質が発生し、これが皮膚から吸収されるので注意が必要だそうです。(厚生労働省は、クロロホルムの発がん性を認め、2014年11月1日付けでクロロホルムを「特定化学物質」に指定しています。)

一方、この皮膚吸収を利用すると、注射器を使わずに薬を投与することが可能となります。

例えば、狭心症の患者用のニトログリセリンパッチや、禁煙を支援するためのニコチンパッチ、更年期症状を緩和するための女性ホルモンパッチなど、各種の経皮投与パッチが実用化されています。

最後に、女性の方は化粧品を使う機会が多いので、化粧品の皮膚吸収にも注意が必要です。

古代のギリシアやローマでは鉛入りのアイライナーが使用されていたり、中世のヨーロッパではヒ素入りの頬紅が使用されていたそうで、昔は美しくなるのも命がけだったようです。

ただし、現代でも化粧品に鉛やヒ素は微量に含まれていて、2007年10月12日のロイターのニュースによると、クリスチャン・ディオールの口紅から鉛が検出されたそうです。高級品だからといって安心はできないようですね。

次回は、皮膚病についてのお話です。

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皮膚の機能

2015-01-04 09:18:40 | 健康・病気

マーク・ラッペ氏が書いた『皮膚 美と健康の最前線』(川口啓明・菊地昌子:訳、大月書店:1999年刊)という本をご紹介しています。今回は第4回目です。

◆皮膚の機能

皮膚は、外界との縁(ふち)をつくりだし、外界の情報を収集する重要な感覚器官です。表皮のすぐ下にはマイスネル小体という、かゆみと軽い接触の感覚を受けもつ神経があり、真皮ふかくにはパチニ小体という圧力を感じる神経と、ルフィーニ小体とクラウゼ小体という温度を感じる神経があるそうです。

この皮膚の感覚がいかに大切かは、ハンセン病の患者を見ると分かるそうです。ハンセン病患者は、指が欠け落ちて腕や足が棍棒状になることが多いのですが、これは病気によって手足の皮膚の神経を失うことが多く、痛みを全く感じなくなるためにヤケドなどで指を失ってしまうのだそうです。

その他の重要な機能として、体温を一定に保つ機能があります。皮膚は、体温を保つ断熱材であると同時に、発汗によって熱くなりすぎた体温を下げる体熱の熱交換システムでもあります。この発汗機能は、ホットヨガをやっているとよく分かるのですが、単に体温を下げるだけでなく、有害なものを体外に排泄するのにも有効です。

また、皮膚は耐水性の覆いであり、細菌やカビの侵入を防ぐ防御壁でもあります。皮膚の強さは、ケラチンというタンパク質に由来します。ケラチンは、毛や爪の主成分であり、サイの角もケラチンでできています。

表皮細胞は、細胞が基底細胞層から上方に移動するにしたがって多くのケラチンを合成するようになり、最終的に角質層のいちばん上の層ではほとんどケラチンだけが残るそうで、このタンパク質の丈夫でかたいシートによって我々の体は保護されているわけです。

さらに、皮膚には太陽光の紫外線による損傷を修復したり、傷を治すという機能があります。ただし、大きな傷の場合は、かならず痕(あと)が残りますが、これは正常な表皮や真皮となるべきところに線維芽細胞とよばれる特殊な細胞が集まった結果だそうです。

ところが、胎児の場合は、損傷や切開手術を受けてもまったく痕が残らないそうで、サイトカインとよばれる炎症を引き起こす物質が少ないことが理由だそうです。将来、サイトカインの過剰生産を抑えることによって、大人でも痕が残らないような治療が可能になるかも知れませんね。

また、皮膚には光を透過するという重要な機能があります。これは、十分な太陽光を浴びてビタミンDを合成しなければ、骨に適切な石灰沈着が起こらず、クル病になってしまうからです。なお、皮膚が合成するのはビタミンDそのものではなく、その前駆体だそうです。

年をとると骨が弱くなるのは、外出が減って太陽光を浴びる時間が少なくなり、同時に小腸によるカルシウムの吸収や皮膚のビタミンDの合成能力が低下するためです。

太陽光は、睡眠と覚醒のサイクルを調節するのにも必要不可欠です。

人間には、両目以外にもう一つ光を感じる器官があります。それは、松果腺といって、脳の奥深くにある神秘的な器官で、「第三の目」ともよばれています。

この松果腺まで太陽光を透過させることにより、睡眠サイクルを調節したり、代謝を季節によって調整したりしているそうで、一日一回は太陽光を浴びることで生活のリズムを正しく保つことができるそうです。

次回は、皮膚吸収についてのお話です。

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