がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

深呼吸の科学

2015-06-28 09:35:13 | 健康・病気

『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第5回目です。

◆深呼吸の科学

すでにこの時代(大正7年)には、肺の解剖学的な知識もあり、呼吸の目的が酸素を体内に供給し炭酸ガスを体外に排出することであることも正しく理解されており、深呼吸(腹式呼吸+胸式呼吸)の大切さが科学的に論じられています。

例えば、腹式呼吸によって腹部を動かすと、腹部を通る各種神経系が刺激され、内臓の働きが良好になることや、安静時と比較して、深呼吸の際に使われる筋肉の種類がいかに多いかということが具体的に示されています。

そして、血液こそ直接人体を養う必要物件で、病気の原因が汚れた血液にあり、血液を清潔にして、その循環を良好にすることが病気の根本的な治療法であると説かれています。

また、深呼吸の効果として、以下の5項目が挙げられています。

1.呼吸器 - 肺を強め、十分な酸素を供給して、血液を清潔にする。

2.循環器 - 横隔膜の上下運動が心臓を鼓舞するので、血液循環が良好になる。

3.消化器 - 腹式呼吸によって胃腸が適度に動かされるので、食物の消化がよくなり、便秘も改善される。

4.神経 - 酸素が脳に十分供給されるようになるので、不眠、頭痛、めまい、記憶力が改善され、気分が爽快になる。

5.皮膚 - 酸素が皮膚に十分供給されるようになるので、血色がよくなり、皮膚が美しくなる。

現代の医療は、薬に頼り過ぎるあまり、深呼吸の重要性を説くことはあまりないようですが、深呼吸は無料で、しかも健康効果が大きいので、皆さんもぜひ日常生活に取り入れていただきたいと思います。

特に女性は胸式呼吸の人が多いそうなので、腹式呼吸を始めると、その効果が顕著に現われるかもしれませんね。

次回は、いよいよ二木式腹式呼吸法についてのお話です。

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仙家の秘法

2015-06-21 15:59:20 | 健康・病気

『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第4回目です。

◆仙家の秘法

古来、仙術家の間には様々な呼吸法が行なわれていたそうで、この本には5種類の呼吸法が紹介されていますが、これまでにご紹介したものと重複するものもあるので、ここでは「吐納法」(とのうほう)というものをご紹介しましょう。

1.まず、盤居し(座禅の結跏趺坐に似た座り方、初心者はあぐらでも可)、背筋を伸ばして肩の力を抜き、両手をゆるく握って手の甲を左右の膝の上に置きます。

2、次に、上下の唇を合わせて、その中央を極めて小さく開き、空気を口から細く長く吸います。その際、最初はあごを引いて顔をうつむけ気味にし、少しづつ顔を上げていきます。

3.最後の一息を吸い終わったら唇を閉じ、またあごを引きます。そして、息を止め、へその下に力を入れて心静かに気を張ります。

4.最後に、苦しくなる前に鼻から息を細く長く吐きますが、同時に、少しづつ顔を上げていきます。

以上の呼吸を50回繰り返して休みます。

この呼吸法は、やはり丹田に気を集め、蓄えることを目的としているようです。そのため、吐納法を修業すると、最後には、下腹が張ってコツコツと音がするように固くなり、手で押しても凹まなくなるそうです。

そして、吐納法を極めると、「胎息」(たいそく)とよばれる、呼吸をしなくても息が詰まらない状態に達するそうです。

これはもう仙人のレベルだと思われますから、「胎息」を目標にすることはあまりお薦めできませんが、昔の人がこういった秘術を修業していたのかと思うと、感慨深いものがありますね。

次回は、深呼吸の科学についてのお話です。

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夜船閑話(やせんかんわ)

2015-06-14 21:50:51 | 健康・病気

『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第3回目です。

◆夜船閑話(やせんかんわ)

白隠禅師の『夜船閑話』という本には、自身の病気を克服した体験談が書かれています。

白隠禅師は若い頃、禅の修業のやりすぎで病気になり、精神的な不安感や、激しい頭痛、呼吸困難、両脚の極端な冷え、耳鳴りなどに悩まされ、これにはどんな医者もどんな薬も効果がなかったそうです。

ところがある人から、白幽先生という、二百歳を超える仙人が山奥に棲んでいるという話を聞き、白隠禅師は白幽先生に会いに山に登ります。そして、無事に白幽先生と出会い、二つの秘法を伝授されたそうです。

一つは「内観の法」といって、これには「和神導氣の法」と、蘇内翰という人が伝えた法の二種類があるそうです。

「和神導氣の法」は、部屋を閉め切って暖かい寝床に横になって眼を閉じ、羽毛を鼻の上に置いてそれが動かないように300回呼吸するというものです。そうすると、何も聞こえなくなり、何も見えなくなるそうで、この修業を積むと360歳までは生きられるとされているそうです。

蘇内翰という人が伝えた法は、空腹時に、静かな部屋で正しく座り、呼吸を1000まで数えるうちに、いつしか無念無想の状態になるので、さらに続けると、息が入ることもなく出ることもないときがくるそうで、そうなると病気という病気が治ってしまったように感じるそうです。

下山後、白隠禅師は「内観の法」を修業して、3年足らずで病気が治り、結局84歳まで生きたそうです。

伝授されたもう一つの秘法は、「酥(そ)を用いる法」で、いい匂いがする鴨の卵くらいの大きさの「酥」(牛や羊の乳を煮詰めて作ったバターのようなもの?)が頭の上にあると想像して、それが溶けて体内に流れ込み、脳や背骨や内臓を流れて一切の病気を溶かして足の爪先から出ていくと念じるのだそうです。

白幽先生も若い頃は大病人だったそうですが、これを修業すること一か月足らずで病気が治ったそうです。この秘法は、現在では「軟酥(なんそ)の法」として有名なので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

なお、夜船閑話に「やせんかんな」と振り仮名を振ってある本もあるので、「話」を「な」と読む場合もあるようです。

次回は、仙家の秘法についてのお話です。

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志都乃石室(しづのいわや)

2015-06-07 14:03:36 | 健康・病気

『現代強健法の真髄』(大津復活:著、大同館書店:1918年刊)という本をご紹介しています。今回は第2回目です。

◆志都乃石室(しづのいわや)

『志都乃石室』の著者である平田篤胤(ひらたあつたね)翁は、有名な国学者であり、超常現象の研究家としても知られていますが、呼吸法にも詳しかったようです。

彼によると、「臍下(へそした)へ氣を練り畳む」ことが古来より無病長寿の秘訣とされているそうで、その最も簡単な方法として、父親から教わった次のような呼吸法を紹介しています。

1.寝床で仰向けになって、両足をそろえて強く踏みのばし、総身(そうみ)の元気をへそのあたりから気海丹田の穴、および腰脚足の心(うら)まで充たし、

2.妄想を捨て、呼吸を百まで数える

3.その後、全身の力を緩めて休む

4.以上を1セットとし、毎晩4~5セット行なう

なお、1の「気海丹田の穴」とは経絡のツボのことです。ちなみに、気海のツボは、へその下、指2本分くらいのところにあるようですが、詳しいことは鍼灸の先生にお尋ねください。

篤胤翁の父親は元来病弱だったそうですが、30歳を過ぎてから熱心にこの呼吸法を実践して病気と縁を切り、84歳まで生きたそうです。これは、江戸時代の人にしてはかなり長寿だったのではないでしょうか?

また、父親の下腹は張っていて、コツコツと音がするように固かったそうですが、これは、以前このブログの「呼吸法について」でご紹介した黒住教の黒住宗忠教祖の言葉、

「御陽氣を吸ふて下腹をはり、日々怠らず年月を重ぬる時は、臍下(せいか)氣海丹田、金石の如く堅くなる。」

と一致するもので、とても興味深いですね。

次回は、白隠禅師の『夜船閑話』(やせんかんわ)のお話です。

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