がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

骨髓骨膜炎

2020-05-23 10:10:32 | 健康・病気

『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)という本をご紹介しています。今回は第12回目です。

◆骨髓骨膜炎

鮎川氏は、骨髓骨膜炎についても、漢方薬で簡単に治ると断言していますが、この病気はあまり聞いたことがないという人も多いと思いますので、まずは病気の説明から始めたいと思います。

最初に解剖学的な説明ですが、『日本鍼灸学教科書 前編』(山本新梧:著、関西鍼灸学院出版部:1937年刊)という本によると、骨髄(こつずい)は柔軟な物質で、その色により赤色骨髄と黄色骨髄の二種類に区別されるそうです。そして、大人の場合は、赤色骨髄は長骨(手や足などの長い骨)の骨端・肋骨および頭蓋骨の海綿様質中に存在し、黄色骨髄は長骨の髄腔内を満たし、血管・神経に富むそうです。 

なお、海綿様質と髄腔については下の図を参考にしてください。

骨の断面図

【骨の断面図】(『日本鍼灸学教科書 前編』より)

一方、骨膜(こつまく)は、関節面以外の骨の表面を包む白色の強靭な繊維膜で、血管・神経に富み、骨の栄養・新生および再生に深く関係していて、骨が損傷を受けたり疾患にかかった際に治癒するのはすべてこの骨膜の作用によるそうです。

次に病気の説明ですが、『近世整形外科学』(桂秀三:著、金原商店:1927年刊)という本によると、急性骨髄炎は、主として小児並びに壮年者がかかる感染症で、通常高熱を出すことから始まり、患部の疼痛がはなはだしく、多くの場合一個もしくは数個の長骨の骨幹が侵され、患者は重篤な全身疾患の状態となるそうです。

また、慢性骨髄炎は、多くは急性骨髄炎より移行し、まれに慢性から始まることもあるそうです。そして、「兩者共ニ畸形ヲ残スヲ以テ著名ナリ」と書かれているので、急性・慢性にかかわらず、当時の西洋医学では不具者となることが避けられなかったようです。

さて、話を『漢方の味』に戻しますが、あるとき、小学生の頃から知り合いの農家の主人が、妹夫婦の娘が骨髓骨膜炎にかかったので往診してほしいと、妹婿(むこ)を同伴して鮎川氏の医院を訪ねてきたそうです。

そこで詳しい事情を尋ねたところ、実は、以前この少女の姉が骨髓骨膜炎にかかり、入院して外科専門医に手術をしてもらったのですが、治るには治ったものの、手術を繰り返して結局不具者になってしまったのだそうです。

そして、今度は次の娘が、数日前から足が痛み始めて、昨日は四十度以上の発熱があり、姉の病気と同じだということで妹夫婦が手術の相談に来たので、鮎川氏の評判を知っていたこの主人が、とにかく鮎川氏の意見を聞きたくて来院したそうです。

そこで鮎川氏は、妹夫婦の家があいにく遠方で不便な場所にあったため、当日の往診は無理だと判断し、小柴胡湯と桃核承気湯の合方に石膏(せっこう)を加味して七日分を与え、二、三日たっても良くならないようだったら往診すると約束したそうです。

すると、主人は一週間後に来院して、二、三日で患者の疼痛も去り熱も下がって、もう苦痛はないが念のため薬をあと七日分飲ませたいと非常に喜んでいたので、それでは足らないからあと二、三か月は飲ませるように勧めたそうですが、結局一か月程度でやめ、それでも何の故障も起こらなかったそうです。

また、別なときに、十七歳の少年が母親と来院し、この少年が毎年骨膜炎にかかるので困っていたが、鮎川氏のところなら必ず治してもらえるという話を聞いたことを伝えると、鮎川氏は「何でもありませんよ」と答え、小柴胡湯と桃核承気湯の合方に桔梗(ききょう)を加えて投薬したそうです。

この少年は、薬を二か月程度服用したそうですが、非常に結果が良く、その後この親子が紹介してくれる患者が絶えなかったそうです。

今回登場した小柴胡湯は本ブログの「蓄膿症」で、また桃核承気湯は「風邪と脳膜炎」でそれぞれ解説していますので、よかったら参考にしてください。

また、『民間治療法全集 第2巻 和漢洋自療薬営養療法全集』(平田内蔵吉:著、春陽堂:1931年刊)という本によると、石膏は、胃を冷やし頭痛を消す清涼・解熱薬で、桔梗は、気血を開き肺に入って熱を瀉(しゃ)し膿を排し痰を去る薬だそうです。

インターネットの情報によると、急性骨髄炎は抗生物質のおかげで治療効果が上がっているものの、慢性骨髄炎は現在でも治療が難しいそうです。その難病を、漢方医は昔から漢方薬で簡単に治していたというのは驚きですね。

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盲腸炎

2020-05-09 09:23:29 | 健康・病気

前回と前々回は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に関する情報をお伝えしましたが、今回から再び『漢方の味』(鮎川静:著、日本漢方医学会出版部:1939年刊)のご紹介に戻ります。今回は第11回目となります。

◆盲腸炎

盲腸炎については、外科を専攻し漢方を深く研究した龍野一男氏が、『東邦医学』(東邦医学社:1939年1月号)という雑誌に手術治療と漢方治療の成績を発表し、漢方治療は手術治療に優(まさ)ってはいても決して劣ってはいないので、非常に安く治療ができる漢方治療を推奨していたそうです。

鮎川氏は、それに加えて治療後の健康状態を考慮して、漢方治療に優る治療法はないと断言しています。

これはどういうことかというと、鮎川氏の医院を訪ねてくる患者には盲腸炎の手術を経験した人が多くいて、しかもそのいずれもがほとんど口癖のように、盲腸炎手術後、非常に弱くなりましたと訴えるのに対し、盲腸炎の患者を漢方で治した場合は、治療前よりウンと健康になりましたと喜んでくれるのが普通だったからです。

この本には、盲腸炎の手術後、腹膜炎を起こした人の治療例が載っているのでご紹介しましょう。

あるとき、写真屋の奥さんが盲腸炎の手術を受けたのですが、その後の体調が思わしくなく、特にここ一週間は胸が痛みどおしで苦しんでいて、鮎川氏に往診の依頼が来たそうです。

鮎川氏が診察すると、腹膜炎を起こしていたのですが、これは腹膜炎であると言ったら手術をした医師の名に傷がつくので、次のように説明したそうです。

「盲腸炎というのは、盲腸についている虫様突起に魚の骨か何かが刺さって起こす病気のように一般に言われ、そう信じられているが、決してそんなものではない。必ず瘀血(おけつ)と水毒が原因をなしている。私の薬でその原因物を出してあげるからすぐに痛みは止まる。」

そして、小柴胡湯(しょうさいことう)と桃核承気湯(とうかくじょうきとう)の合方を処方したところ、たった一服で劇痛が止まり、約二週間後にはもう起こしてもよい程度になり、その後も順調に回復したそうです。

鮎川氏は、この患者がもし漢方治療を受けていなかったら、腹膜炎は慢性に移行し、胃腸障害から肺結核になっていたであろうと予測しています。

西洋医学の専門家は、なぜか外科手術が大好きですが、実は漢方薬の方が安くて安全で、しかも体調がよくなるというオマケがついてくるというのは面白いですね。

ところで、『臨床応用漢方医学解説』(湯本求真:著、同済号書房:1933年刊)という本には、盲腸炎の治療薬として、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)のことが書かれています。これは本ブログの「高血圧と糖尿病」に登場した薬ですが、ここで説明するのが最適と考えて説明を省略していました。

この薬は、盲腸炎で、下腹部が腫(は)れてつかえ、押すと痛み、尿道炎に似ているが排尿に支障がなく、ときどき発熱・発汗・悪寒があり、化膿していない場合に適する処方だそうです。

主薬の大黄(だいおう)は、第10回でご説明したように消炎誘導作用のある下剤で、もう一つの主薬の牡丹皮(ぼたんぴ)は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)にも配合されている瘀血の薬です。

なお、化膿しているかどうかは脈を診(み)て判断し、化膿している場合は薏苡附子敗醤散(よくいぶしはいしょうさん)という漢方薬を使わなければならないそうです。

漢方は、こういった細かい症状の違いを明確に区別し、最適な処方を用意しているわけですから、先人の知恵の深さには本当に驚かされます。

また、この本の著者の湯本氏は、「手術は繁雑でお金がかかり危険な上、患者に非常に苦痛を与えるので、これを避けて、優秀で簡易な漢方の手法を採用するのは医者たるものの義務であると信じる」と明言しています。

将来、漢方の知恵が大いに広まって、医者としての義務を果たしてくれる人が増えるといいですね。

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新型肺炎対策について

2020-05-01 08:28:10 | 健康・病気

新型肺炎については、軽症だった人が突然重症化して亡くなる場合もあるのに、いまだに治療だけでなく検査すら受けられない状況が続いているようなので、自衛のための対策をまとめてみました。

まず、新型肺炎で軽症者が突然重症化する理由と対策が、東洋経済オンラインの『

OGPイメージ

コロナ「突然重症化した人」の驚くべき共通点 | The New York Times

私は30年間救急医療に携わっている。1994年には、挿管法を指導する画像システムを考案した。呼吸を助けるための管を挿入するプロセスを指導する...

東洋経済オンライン

 

』という記事に書かれていたのでご紹介しましょう。

この記事によると、新型肺炎は重症化するまで患者本人に自覚症状がないことが特徴で、肺炎の進行によって血液の酸素飽和度が正常値(94%以上)から大きく下がっても呼吸困難にならないのだそうです。

そこで、感染が疑われる場合には、パルスオキシメータという測定器で血中酸素飽和度を毎日測定すれば、重症化する前に対処することが可能になるそうです。

次に、予防薬・治療薬についてですが、『ながい消化器内科クリニック』のホームページには、『広東省のある病院では、SARS患者全員に漢方薬「荊芥連翹湯」と「補中益気湯」を服用させたところ、一人も死者が発生しなかった』という話が掲載されています。

前回ご説明したように、新型コロナウイルスの正式名称は「SARS-CoV-2」ですから、これらの漢方薬がSARS(サーズ)に有効だったのなら、今回の新型肺炎にも有効である可能性は高いでしょう。

実際、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)に関しては、この薬で院内感染を防いだ医師が『⑦新型コロナウイルス:荊芥連翹湯による院内感染予防効果:医療・介護従事者、救急隊・警察官必見』というYouTube動画を投稿しています。

また、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、本来は慢性の病気で衰弱した人を元気にする薬ですが、インターネット上には、補中益気湯に抗ウイルス作用があることを報告した学術論文があるので、こちらも試してみる価値はあると思います。

さらに、漢方には予防灸というものがあります。『保健長寿漢方治療 皇漢医話』(久米嵒:著、下田文栄堂医学書店:1930年刊)という本によると、身柱(しんちゅう)と風門(ふうもん)に灸をすえるとカゼを引かなくなるそうです。

1918年に流行性感冒が世界的に大流行した際には、日本でも休校する学校が多かったそうですが、著者の久米氏が嘱託で勤めていた私立女学校では、約8割の生徒に予防灸を施した結果、学校を閉鎖せずに授業を続けることができたそうです。

なぜ予防灸でカゼを引かなくなるかというと、呼吸器系の免疫力が高まるためだと思われますから、これは新型肺炎にも有効なのではないでしょうか?

ちなみに、身柱は督脈経(背面中心線)で第三胸椎と第四胸椎の間にあり、風門は足の太陽膀胱経で第二胸椎と第三胸椎の間から左右に4~5cmくらいのところにあるそうです。ご興味のあるかたは、お近くの鍼灸院でお試しください。

最後に、自宅待機中に不幸にして発症した場合ですが、『経験漢方治療学』(鮎川静:著、春陽堂:1942年刊)という本によると、軽度の気管支炎・肺炎には小柴胡湯(しょうさいことう)が、喘鳴(ぜいめい)を伴う場合には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が、呼吸困難には竹葉石膏湯(ちくようせっこうとう)がそれぞれ有効だそうです。

こういった漢方薬は、本来は体質と症状に合わせて漢方医に処方してもらうべきものですが、今回の新型肺炎では、自宅待機中に死亡する場合が少なからずあるようなので、健康状態に不安を感じている人はあらかじめ準備しておくのがよいと思います。

なお、これからがんの治療法を選択する人には、免疫力を高める治療法を選択することを強くお勧めします。そうすれば、新型肺炎を恐れる必要はなくなります。がんの三大療法(手術、抗がん剤、放射線)は、いずれも免疫力を著しく低下させる処置であり、治療法とよぶに値しないものですから、くれぐれもご注意ください。

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