2010年に世界保健機関(WHO)が発表した国別平均寿命ランキングで、日本は193か国中第1位でした。
しかし、昔は「人生50年」という言葉もあったぐらいで、日本人はそれほど長寿ではなく、地域によっては特に短命なところもあったようです。
そういった、日本人の寿命に関する研究をまとめた『新版 日本の長寿村・短命村』(近藤正二:著、サンロード:1991年刊)という本があるので、ご紹介しましょう。
近藤正二さんは、東北大学医学部で衛生学の研究をしていた方で、昭和2年から長生きの研究を始め、昭和10年からは全国すべての地方にわたって長寿村・短命村を捜しては現地に行ってその原因を調査したそうです。
そして、調査の結果、食生活が寿命を左右していることが明らかになっていきます。
例えば、白いご飯を大食(1日6~7合)する地方では、みんな40歳ごろから脳溢血で倒れることや、切り身の魚を大食する地方では、40歳を越すくらいになって狭心症、心筋梗塞、心臓マヒなどの心臓の病気で若死することが分かったそうです。
また、ハワイの日系二世、三世の人たちは肉ばかり食べて野菜や豆腐、海藻を食べないため、やはり40歳をすぎると心臓の病気で若死することも明らかになったそうです。
逆に、人参、カボチャ、いも類、小魚、大豆製品、海藻をよく食べる地方では、長生きで健康な人が多かったそうです。
この研究は、日本人がまだ長寿ではなかった時代のもので、直接がんと関係があるわけでもありませんが、健康で長生きするための秘訣が詰まっていると思いますので、ご興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?