倉子城物語
味噌蔵
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代官所の書院で盤を前に甚六は正座して待っていた。 櫻井は傲慢な態度で入ってきた。
盤を挟んで向き合った。書院の中には倉子城村の役職者が見守っていた。
「先に」と櫻井は手を前に出して大仰に言った。自信の篭もった言葉であった。
「では」と甚六は上手の香車の頭の歩を突いた。
「それはまた異な手で来るの」と飛車の頭の歩を動かした。
伊藤かな、と甚六は思った、そう言えば香代の父も伊藤流であったなと・・・。
櫻井はたかが田舎の賭け将棋指しとたがをくくっていたが、二十手辺りからどうも駒の動きがぎくしゃくしだした。櫻井は焦りを顔に出すまいと懸命であった。
「川人足の賭け将棋、川の流れと一緒で逆らわないのが一番で・・・」
甚六は冗談を飛ばした。
「貴様は、いや、貴殿は・・・」と周章て出した。
「訳ありでこの勝負ぜひ勝たせて貰います」
「何処の藩であった」
「野暮ですょ。ただの人足、歩のようなものでさあ」
「大橋の、大橋西の・・・」
櫻井は、額に鼻の頭に汗の花を咲かせていた。
勝負がどうであったか、香代が甚九郎がどうなったかは・・・。
今、倉敷市芸文館の中に、大山康晴永世名人を顕彰しての大山記念会館がある。
皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・
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あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。
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