yuuの夢物語

夢の数々をここに語り綴りたい

味噌蔵・・・5

2007-10-24 00:11:02 | 創作の小部屋
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倉子城物語

      味噌蔵


 代官所の書院で盤を前に甚六は正座して待っていた。 櫻井は傲慢な態度で入ってきた。

 盤を挟んで向き合った。書院の中には倉子城村の役職者が見守っていた。

「先に」と櫻井は手を前に出して大仰に言った。自信の篭もった言葉であった。

「では」と甚六は上手の香車の頭の歩を突いた。

「それはまた異な手で来るの」と飛車の頭の歩を動かした。

 伊藤かな、と甚六は思った、そう言えば香代の父も伊藤流であったなと・・・。

 櫻井はたかが田舎の賭け将棋指しとたがをくくっていたが、二十手辺りからどうも駒の動きがぎくしゃくしだした。櫻井は焦りを顔に出すまいと懸命であった。

「川人足の賭け将棋、川の流れと一緒で逆らわないのが一番で・・・」

 甚六は冗談を飛ばした。

「貴様は、いや、貴殿は・・・」と周章て出した。

「訳ありでこの勝負ぜひ勝たせて貰います」

「何処の藩であった」

「野暮ですょ。ただの人足、歩のようなものでさあ」

「大橋の、大橋西の・・・」

 櫻井は、額に鼻の頭に汗の花を咲かせていた。

 勝負がどうであったか、香代が甚九郎がどうなったかは・・・。


 今、倉敷市芸文館の中に、大山康晴永世名人を顕彰しての大山記念会館がある。


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皆様御元気で・・・ご自愛を・・・ありがとうございました・・・

恵 香乙著 「奏でる時に」
あいつは加奈子を抱いた。この日から加奈子は自分で作った水槽の中で孤独な魚と化した。

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1982年、まだ美しかった横浜―風変わりなおんぼろ塾で、あたしたちは出会った。ロケット花火で不良どもに戦いを挑み、路地裏を全力疾走で駆け抜ける!それぞれが悩みや秘密を抱えながらも、あの頃、世界は輝いていた。大人へと押しあげられてしまったすべての人へ捧げる、あなたも知っている“あの頃”の物語。

山口小夜著「青木学院物語」「ワンダフル ワールド」の文庫本・・・。

作者のブログです・・・出版したあとも精力的に書き進めています・・・一度覗いてみてはと・・・。
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