逢瀬
ひっそり待っていた女
待っていた相手に女は殺された
帯を解かれて 刺されて死んだ
なおかつ炎で燃える
焼けた亡骸
焼け残りの帯
不思議な手触りの帯
同心の木暮信次郎は 「続くな」
焼け残りの帯の手触り
その珍しい手触りに小間物問屋の遠野屋のあるじの清之介は覚えがあった
記憶
それは せんだって死んだ店の番頭が遺したもの
ついに清之介には打ち解けないまま死んだ男
焼け残りの帯と同じ手触りの織の帯
絡まる因縁
調べても見つからない 浮かび上がってこない殺された女の素性
どうして女は殺されたのか
珍しい織の帯は ある藩でつくられたいたのではないかと
その藩あげての別の暗い・・・世に出てはならない企みごと
ゆえに女は殺されたのか
同心として真実をもとめるのは正しいことだ
それは揺るがないが
しかし 木暮はいっとうひねくれている
凄絶な過去持つ清之介
その過去をちくちく刺さずにいられない木暮
心の中に巣食う闇
真っ当に生きることもできたのにーできたかもしれぬのに
闇の方へ生きてしまった下手人
生きる道を選べなかった
ならば死ぬしかなかったか
自分が殺した相手に殉じるように