![]() | わが母なるロージー (文春文庫) |
Pierre Lemaitre,橘 明美 | |
文藝春秋 |
本の帯から
{『その女アレックス』のカミーユ警部、ただ一度だけの復活]
ーピエール・ルメートルのカミーユ・ヴェルーヴェン警部3部作
『悲しみのイレーヌ』
『その女アレックス』
『傷だらけのカミーユ』
本 裏表紙からの内容紹介
{パリで爆破事件が発生した
直後、警察に出頭した青年は 爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金を要求する
カミーユ・ヴェルーヴェン警部は 青年の真の狙いは他にあるとにらむが・・・・・
「その女アレックス」のカミーユ警部が一度だけの帰還を果たす
残酷にして意外 壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至}
本の中にカミーユ・シリーズ人物紹介など入っておりまして
カミーユ・ヴェルーヴェン
パリ警視庁犯罪捜査部の警部
やや短気
亡き母は高名な画家で 今もそのアトリエを手放していない
身近な人間の顔をスケッチする癖があり 部下や友人の絵を手元にたくさん残している
身長は145cm
これは母がヘビースモーカーだったためだと考えている
猫と暮らす
アルマン
ファーストネーム不明
刑事歴20年のベテランだが 「警察史上最悪の守銭奴」と噂されるケチ
年齢不詳の見た目も冴えないが 粘り強い捜査に定評があり カミーユの頼れる部下
「その女アレックス」で意外な漢気を見せる
ジャン・ル・グエン
パリ警視庁の警視長
カミーユの上司だが 長年の親友なのでお互い敬語は使わない
かなりの巨漢で 20年来さまざまなダイエットを試しているが効果なし
「傷だらけのカミーユ」で暴走するカミーユのために奔走する
ルイ・マリアーニ
刑事
カミーユの部下
明朗快活な金髪の青年で 資産家の御曹司
教養に富む秀才だったが警察入りを決断
新入りいじめにも耐え抜き 優秀な刑事となる
時に荒れるカミーユをなだめ 事件解決に導く
自宅には美術書が多数
ジャン=クロード・マレヴァル
警察学校を優秀な成績で卒業 捜査員としての働きぶりを評価され 20代半ばにして 栄光のただ中にあったヴェルーヴェン班に配属される
女性によくモテ 酒と博打も好む放蕩の癖があり カミーユは心配している
ドゥドゥーシュ
カミーユによれば田舎嫌いの猫で カミーユと暮らしてはいるが 森にあるカミーユの母のアトリエには行ったことがない
飼い主の気持ちを察知できるそうで 陰惨な事件に疲れて眠るカミーユの横に一晩中いてくれたりする
著者はカミーユ警部ものは3部作で終了のつもりだったがー
本の序文に著者の言葉がある
ーこの中編は贈り物だとずっと思ってきた
なぜなら 第一に依頼を受けて書いたものだから
出版社から原稿を依頼されるのはいつでもうれしい
第二にリーヴェル・ド・ボッシュの六十周年記念に際し 読者への贈り物として用意された一冊だから
第三に カミーユ・ヴェルーヴェンとの再会をわたしにプレゼントしてくれた作品だから
この人物には愛着があったのに もういなくなったと思っていた
著者は第一次世界大戦の資料にどっぷり浸かっていて 大戦中に農地にとんでもない数の砲弾がふりそそいだと知り
そこから話をつなげていったそうだ
「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」に続くのが この「わが母なるロージー」原題はロージーとジョン
歌手のジルベール・ベコーが1964年に発表した同名曲からとられていると吉野仁氏の解説にある
三部作は どんでん返しもだが 出て来る犯罪が陰惨で重い
それに比べれば この作品は そこまでの暗さはない
ただ どうして彼がそういう行動をとったかー動機が問題になっている
想い人アンヌのもとへ向かっていたカミーユだが 爆破事件が発生
犯人からのお名指しで アンヌのもとへ行けなくなる
その後もカミーユがアンヌのもとへ行こうとするたび 警察に呼び戻されるのだ
人が死なないように爆破事件を起こした青年
彼の要求は殺人で捕らえられている母親の釈放
ところが母親が殺したのは 青年の恋人の女性だった
息子が自分のもとから離れようとすると 例えば息子の雇主 息子が慕うようになった女性などを密かに殺してきた母親
自分ゆえに母親が人を殺すというのならー
青年が考えついたことはー
自首してきた青年はあと6つ爆弾を仕掛けているーと言う
青年の過去を調べたカミーユは その母親のしていることに気付くのだ
カミーユは青年の要求通りにするしかないーと結論
青年とその母親は自由となった
青年は空港には向かわずに・・・・・
愛する女性の復讐を果たしたのか
母親の狂った身勝手な愛
そこから解放され自由となるよりも
死は赦しか癒しか 残酷な刑罰か