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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

大魔人(13)

2021-06-22 19:03:39 | 「大魔人」
 しかし真人は、母親の声が聞こえていないように、家具の後ろや狭い隙間を覗いて、なにかを探し続けていた。

「冷蔵庫の下よ――」

 と、いつからいたのか、真人が開けっ放しにしていたドアの向こうに、恵果が立っていた。「なくして困る物なら、外に持ち出さないで」
 母親は、そんな場所になにもあるはずがない、と首を振っていたが、真人が、冷蔵庫の隙間からノートを引っ張り出すと、目を丸くさせた。

「なんで、こんな所にあるんだ」

 と、真人が、らしくない舌打ちをしながら言った。
「よかったわね」と、部屋を出て行こうとする真人に、母親が言った。「もう、なくさないようにね」

「フンッ――」

 と、真人はつまらなさそうに言うと、さっさと2階の部屋に戻っていってしまった。
「――」と、恵果は何事も起こらなかったことに、胸をなで下ろした。

「ケイコちゃん」

 と、弟のあとから部屋に戻ろうとした恵果に、母親が言った。

「とうとうわかったわ。あなたなんでしょ」

 声のトーンが、いつもとは違っていた。
 恵果は、はっとして母親を見た。その顔は、これまでに見たことのない、厳しい表情をしていた。

「いい加減にしてちょうだい。お母さんがこれまで、どれだけ迷惑をかけられたか、わかってるの。気に入っていた食器は壊れるわ、靴は全部ひっくり返されるし、夜中にバタバタ走り回るわ、クローゼットの中の洋服も、全部床に広げられてた。人の目を盗んで、こそこそと。一体なにが楽しいっていうの? 真人のおもちゃだって、どうしてあなたが、なくした場所を知ってるの? 物知り顔でやって来て、人の困る様子が、よっぽど愉快なのね」

「――」と、驚いた恵果の目には、いつのまにか涙が溢れていた。

「もう、マコトには近づかないで」

 と、母親は、手にしていた雑誌を恵果に放り投げた。

「もともと、お姉ちゃんのために空けていた部屋に、移ってちょうだい。それで、もう意地悪はできないでしょ」

 と、両手で顔を覆って、嗚咽を上げ始めた母親を残し、恵果は下りてきた2階に戻っていった。
 ――次の日の朝、母親はいつもと同じように見えた。父親もなにかを感じてはいたが、心配そうなそぶりを見せつつも、いつものとおり、通勤の電車に間に合うように、会社に向かった。
 弟の真人も、まるですっかり記憶をなくしたように、いつもと、なにも変わったところはなかった。一人、恵果だけが、なにか大きな変化が起こることを、覚悟していた。

「いってきまーす」

 と、二人が学校に向かって玄関を出る時も、なにも変わったところはなかった。
 しかし、恵果が、いつものとおり学校から家に帰ると、玄関のドアを開けた途端、それまでの生活が、一変したのがわかった。
 玄関のドアを開けた途端、先に学校から帰っていた弟の真人が、バタバタと2階で騒いでいるのがわかった。弟だけではなく、なにやらガタンゴトンと、大きな物音も聞こえてきた。
 おそるおそる恵果が階段を上ると、首にタオルを巻いた母親が、弟と一緒の部屋にあった恵果の荷物を、四畳半の空き部屋に運びこんでいた。
 もともと、家を建てる時から、子供部屋にする予定の部屋だった。お姉ちゃんの恵果が生まれて間もなく、弟の真人も生まれたため、もう少し広い部屋で、姉弟とも寝起きさせることになった。
 二人とも大きくなれば、別々の部屋に分けるつもりだったが、空き部屋を物置のように使っていたことから、ズルズルと、これまで姉弟は、ひとつの部屋に机を並べていた。
 ドキリとして唇を噛んだ恵果だったが、思いのほかきれいに片づけられた部屋は、友達を呼びたくなるほど、すっきりと片づけられ、おとなしく飾りつけもされていた。

「どう? きれいになったでしょ」

 母親が汗を拭きながら、恵果に言った。恵果は、すぐに笑顔を浮かべた。

「――ありがとう」





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よもよも

2021-06-22 06:19:51 | Weblog
はてさて。

勘違いしてたけど、

蔓延防止措置って、札幌だけだったんだわ・・・。

正直思うけど、危ないよなぁ。。

絶対ほかの町と行き来するでしょ??

昨日はどういう訳か急に新規感染者数減ってたけどさ、

未だによくわかんないんだけど、

何で減るのかね?? これをやったから減ったって、

教えてくれれば、もっとがんばって減らせるんだろうけど、

たまたまとか、偶然とかって感じなんだどろうね。。

寒いってば、車のローンさ。。

財布の中身さみしくなってきて、あちこち見直したら、

ローンがやっと来年の今ごろ終わるってわかって小躍り。。

だけどアレ? 月々の返済に比べて額多くないか??

返済予定見てみると、最後の最後に支払う金額が、

ゼロ6つだって・・・。

何でこんなローン組んだのか忘れたけど、

あーあ、財布も預金も車に潰されるじゃ。
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