他人の文章や画像を勝手に使うことを禁じている「著作権」、その内容は、インターネットで情報発信する場合、とても重要です。インターネットで情報発信をする場合、他人が作成した文章や画像を使う機会も多く、この「著作権」を無視することはできません。
「子供が作成していようと、芸術性が無かろうと、個性が表現されていれば、作成されたものは全て著作物」になり、著作権(著作権法)で保護されています。
インターネットの場合、たとえ、個人による情報発信でも、その情報は公の場に発信されるので、他人が作成した文章・画像などを勝手に発信すると著作権違反になります、注意が必要です。
今回は、著作権に関する法律、「著作権法」について紹介すると共に、他人が写った写真を勝手に公開してはいけないという、「肖像権(しょうぞうけん)」、「パブリシティ権」についても紹介します。
■ 肖像権(しょうぞうけん)
「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。
■ パブリシティ権
タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。
■ 著作権は技術の進歩と共に改訂
著作権法の大きな特色に、インターネットの普及などの技術の進歩と共に、改正されているという点があります。
■ 違法に公開されているものをダウンロードすると罰せられる、2012年著作権法改正
著作権法の一部を改正する法律が、2012年6月、参議院本会議で可決・成立。違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、2012年10月1日から施行されています。
改正のポイントを、以下から抜粋して紹介します。
【情報モラル】著作権教育の取り組み方 著作権法改正|教育マルチメディア
http://www.kknews.co.jp/maruti/news/2012n/0806_4a.html
(1) 違法にインターネット上に公開されている有償の音楽・映像を、違法と知りながらダウンロードすると、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方。
*ダウンロード行為すべてが刑事罰の対象となるわけではなく、違法なのは、一般に販売されている音楽や映像を、勝手にアップロードしているサイトからダウンロードすることだけ。
(2) アップロードされている動画をそのサイトで視聴する行為は著作権侵害には当たりません。
(3) リッピングについては、技術的保護手段を回避して行う複製が私的使用目的であっても違法となります。
*リッピング(Ripping)・・・DVDビデオソフトや、音楽CDなどのデジタルデータをパソコンに取り込むこと
■
■ 著作権のポイント
■
なお、著作権を担当(所掌)している文化庁の公開資料に、著作権について、分かりやすく詳細に説明したテキストが、下記で無料で公開されています(市販の高価な本に引けを取らないぐらい優れた資料です)。
著作権テキスト 文化庁
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/text/index.html
なお、著作権法の最新版は以下で公開されていますので、関心のある方は参照下さい。
著作権法
http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html
「著作権法」のポイントは、簡単に言うと次のようになります。
「作成した著作物(文章・画像など)が勝手に利用されるのを防ぎ、他人が作成した著作物を利用する場合の注意事項を定めた法律」
一方、「著作権法」には、自由に利用することができる場合も説明しています。利用方法が正しければ他人が作成した文章や画像などを利用することは可能です。詳しくは以下の内容を参照下さい。
文化庁 | 著作物が自由に使える場合
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/gaiyou/chosakubutsu_jiyu.html
■
■ 著作権がよく分かるサイト紹介
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一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が、同社ウェブサイトに著作権Q&Aコーナーをオープンして、よくある質問と回答が紹介されています。
著作権Q&A | ACCS
http://www2.accsjp.or.jp/qa/
なお、ACCSのサイトで、「新人」と「先輩」の会話を通じて、著作権の概要やビジネスシーンで犯しがちな著作権侵害の実例を会話形式で分かりやすく紹介した解説本が、以下から無料でダウンロードできます。
ビジネスマン必携! 知って得する著作権
http://www2.accsjp.or.jp/books/pdf/business.pdf
■
■ 著作権で守られているもの
■
「個性が表現されていれば、子供が作成していようと、作成されたものは全て著作物」になり、著作権で保護されています。
なお、著作権で守られる著作物の定義は以下になっています。
「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」
(1)「思想又は感情」の表現,(2)「創作性」,(3)「表現」したものであることの3要件をすべて充足することが著作物性を満たす要件であると言われています。
■
■ 他人の文章を利用する場合の注意事項(引用)
■
著作権法は、
”このような場合は利用OKだよ”という利用する側にたった内容も記載
されています。その中で大事なのが「引用」です。
他人が作成した文章は、ある条件を守れば、引用し利用することが可能です。
ただし、引用する場合には、文章の質的にも量的にも、利用する側(引用する側)の本文が「主」、引用部分が「従」という関係にあることが必要です。
自分のオリジナルの文章が多くを占め、自分の文章の説明や補強として、他人の文章を利用する(引いてくる)というのが引用です。
以下に引用時の注意事項を示します。
(1) 公表された著作物であること。
(2)他人の著作物を引用する必然性があること。
(3)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(4)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(5)出所(出典)の明示がなされていること(引用部分の作者名・作品名、ホームページのURL等)。
*引用するのは、ほとんどの場合、文章なので、上記の「著作物」を「文章」に読み替えても良いです。
■
■ 他人のホームページからの画像の利用
■
他人が作成した画像データを勝手に利用するのは著作権侵害になるので、注意が必要です。
なお、インターネット上に公開してある画像等で、”フリー(自由に使って下さい)”と表示されている場合は利用が可能です。
但し、画像利用が”フリー”の場合でも、画像サイズを小さくしたり色を変えたり等の編集を禁じている場合がありますので、”フリー”の場合でも"利用時の注意事項"を充分確認下さい。
例えば、”利用時の注意事項”に、「画像はフリーですが、そのまま使うことを条件にフリーにしています。画像の大きさや縦横の比率を変えて利用しないで下さい」という注意書きがある場合があります。
この場合、画像を利用するときは、元の画像のままで利用しないといけません。
■
■ 著作権を侵害した場合
■
作成した画像、文章、音楽データ等は、作成者(著作権者)のもので、法律「著作権法」で守られている「著作物」です。
その為、他人が作成したものを、自分のホームページ・ブログ・SNS等に、勝手に利用してはいけません。勝手に利用することは、”複製権(コピーして利用する権利)”などの著作権で規定された権利を侵害し、著作権に違反したことになります。
著作権法に違反した場合、以下のように重い罰則が科せられますので、十分注意しなければなりません。
(1) 著作権・出版権・著作隣接権の侵害
・・・10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金
(2) 著作者人格権・実演家人格権の侵害
・・・5年以下の懲役又は500万円以下の罰金
なお、著作権には「両罰規定(124条1項1号)」があり、従業員が著作権法に規定する犯罪を行った場合には、行為者本人だけでなく、その使用者である法人も共に罰せられます。法人に対する罰金は引き上げられ、3億円以下の罰金と巨額です。
■
■ 肖像権(しょうぞうけん)
■
「肖像権」というのは誰でも持っている権利で、むやみに自分の写真や名前などを公表されて、嫌な思いをしないための権利です。
各個人は、人格的権利の一貫として、自分の顔写真や肖像画(似顔絵も含む)は、自分の知らないところで勝手に使われないようにする権利を持っているということです。
従って、他人を映した写真、肖像画の類をWebページ等に掲載する場合には、映っている本人の許諾が必要です。
街を歩いている人を撮影した場合も、その人の許可なく勝手に写真を掲載できません。親しい友人であっても、本人の了解をとるのがエチケットです。この肖像権は、どこの法律にも出てきませんが、著作権法上の問題として良く議論されます。
■
■ パブリシティ権
■
さらに、タレント等の有名人の場合、顔写真や名前を使って利益を得ることができるので、肖像権以外に氏名・肖像を利用する権利、パブリシティ権というものがあります。
パブリシティ権は、有名人の氏名・肖像は、コマーシャル等に利用することで経済的な利益を上げることができるので、それを保護しようというものです。
そのため、有名人の写真を無断でホームページ・ブログ・SNS等に使用することは、パブリシティ権の侵害となるので、基本的に有名人の写真は載せてはいけません。
有名人の写真を利用する場合には、写真の著作権者のみならず、写真の被写体である有名人の承諾を得なければなりません。
■
■ 違法に公開されているものをダウンロードすると罰せられる、2012年施行の著作権法改正とは?
■
著作権法の一部を改正する法律が、今年(2012年6月)、参議院本会議で可決・成立。違法ダウンロード行為に対する罰則(違法ダウンロード刑罰化)、DVDなどに用いられる暗号型技術を回避して行う複製が違法(刑事罰はなし)となること、などが盛り込まれています。
改正著作権法は2013年1月1日から施行されますが、違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化にかかわる規定などは、2012年10月1日から施行されています。
なお、文化庁の下記ホームページでは、今回の改正内容の情報をたくさん紹介されており、便利です。
文化庁 | 著作権 | 平成24年10月1日施行 違法ダウンロードの刑事罰化について
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/online.html
下記の文化庁の資料は、「違法ダウンロードの刑事罰化」について、簡単に分かりやすく説明されています。(2)は子ども用に文化庁が作成したものですが、大人にも役立つ内容です。
(1) 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/download_qa/pdf/dl_qa_ver2.pdf
(2) 違法ダウンロードが罰則の対象となることについて知っておきたいこと(子ども用)
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/download_qa/pdf/dl_qa_child_ver2.pdf
■ 著作権等の技術的保護手段に係る規定の整備と違法ダウンロード行為の刑罰化
違法ダウンロード刑罰化に関する規定や、DVDリッピング違法化について、著作権に詳しい、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事さんの、分かりやすい解説が以下で紹介されていました。
【情報モラル】著作権教育の取り組み方 著作権法改正|教育マルチメディア
http://www.kknews.co.jp/maruti/news/2012n/0806_4a.html
ポイントを、この記事から抜粋して紹介します。
(1) 違法にインターネット上に公開されている有償の音楽・映像を、そうと知りながらダウンロードする行為には、2年以下の懲役または200万円以下の罰金、あるいはその両方が課せられることになります。
(2) ダウンロード行為すべてが刑事罰の対象となるわけではなく、対象となるのは一般に販売されている音楽や映像を、勝手にアップロードしているサイトからダウンロードすることだけです。
(3) 著作権者等の権利者が自らアップロードしている動画や著作権者等の許諾を得てアップロードされている音楽は、これまで通り私的使用目的の複製として著作権者の許諾なくダウンロードすることができます。
(4) アップロードされている動画をそのサイトで視聴する行為は著作権侵害には当たりません。
(5) リッピングについては、技術的保護手段を回避して行う複製が私的使用目的であっても違法となります。レンタル店から借りた音楽CDをリッピングする行為は、今回の著作権法改正では影響を受けず、これまで同様に著作権者の許諾なく行うことができますが、レンタル用DVDをリッピングする行為は違法です。ただし、刑事罰は規定されていません。
■
■ 著作権で守られている権利とは
■
著作権で守られている権利には大きく、2つがあります。通常、著作権というと「著作財産権」のことを言いますが、著作者の人格的利益を保護する「著作者人格権」もあるので注意が必要です。
(1) 著作財産権 -著作物の利用を許諾したり禁止する権利(経済的に「損をしない」こと)
(2) 著作者人格権 -著作者の人格的利益を保護する権利(精神的に「傷つけられない」こと)
著作財産権には多くの権利がありますが、以下の2つが代表的です。
(1) 複製権・・・著作物を複製する権利のことで,著作権の最大の目的です。
(2) 公衆送信権・・著作物を公衆に対して送信する権利です。
著作者人格権には以下の3つがあります
(1) 公表権・・著作物を公表するかしないかを決定できる権利
(2) 氏名表示権・・著作者名を表示するかしないか、表示する場合にどのように表示するかを決定できる権利
(3) 同一性保持権・・著作物の内容や題号を、自分の意に反して無断で改変されない権利
■
■ 特に注意したい「複製権」と「公衆送信権」
■
著作権法は、著作物に、著作財産権として、いろいろな種類の権利を定めていますが、インターネットで特に重要な権利は、「複製権」と「公衆送信権」です。
まず、「複製権」ですが、「著作物のコピーを作成する権利」で、著作権の要となる権利です。この権利が作成者(著作権者)に与えられているために、他人の著作物のコピーを作ったら、著作権者の権利を侵害することになります。
インターネットのホームページ・ブログなどには、文字、写真などのコンテンツが掲載されていますが、これらは著作権法上の著作物です。
こうしたコンテンツをコピーして、自分のブログやホームページなどに利用する場合は、ある条件(引用の範囲)で利用しないと、著作権者の複製権を侵害し法律違反になります。
次に、重要な権利は、「公衆送信権」です。この公衆送信権とは、著作物を公衆に対して送信する権利です。
公衆送信権には、「送信する行為」だけでなく、インターネットに著作物をアップロードすることなどを意味する「送信可能化」という行為にまで及びます。
つまり、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネットに勝手にアップロード(保存)し公開すると、「送信可能化」になり、まだ、受信者への送信が行われていなくても、権利侵害になります。
以上のことから、他人が作成したものを無断でコピーし、インターネット上に公開すると、「複製権」及び「公衆送信権」の2つを侵害するということになります。
■
■ 著作権侵害はどう罰せられるか? 著作権法における親告罪について
■
著作権侵害は、基本的に親告罪、つまり、告訴がなければ公訴提起(刑事裁判をすること)ができない犯罪となっています。
ただし、親告罪であっても、人の著作物を不正に活用するのは著作権を侵害しており、もし、自分が公開した内容が著作権侵害であることに気づいたら、一刻も早く、その内容を削除(または変更)することが必要です。そうすることで、著作権者からの告訴も未然に防ぐことができます。
(注)私の経験ですが、以前、インターネットで公開されている内容で、会社の教育資料にどうしても利用したい場合がありました。このときは、公開されている方に、利用したい旨を連絡し、了解を頂いた上で利用しました。
なお、著作権侵害がどう罰せられるかが、文部科学省の以下の記事に詳しく書かれています。主観を排除するため、この内容をもとに、著作権侵害がどのように罰せられるかを説明します。
文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会(第2回)議事録・配付資料 [資料5]-文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/013/07042304/004.htm
著作権法において、基本的な権利である、著作権・著作者人格権・出版権、実演家人格権及び著作隣接権は「親告罪」になっています。
これらは、私権であって、刑事責任を追及するかどうかは被害者である権利者の判断に委ねることが適当で、被害者が不問に付することを希望しているときまで国家が主体的に処罰を行うことが不適切であるためです。
ただし、以下の内容は非親告罪となっています。
・死後の人格的利益の保護侵害(第120条)
・技術的保護手段を回避する装置・プログラムの公衆譲渡等の罪(第120条の2第1号及び第2号)
・出所明示の義務違反(第122条)、著作者名を偽る罪(第121条)である。
なお、知的財産戦略本部会合(第16回)「知的創造サイクルの推進方策」(平成19年3月29日)によると、海賊版対策の更なる強化を図る為、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とされているものについては、非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、必要に応じ法制度を整備するとなっています。
今後、著作権侵害における親告罪・非親告罪の適用範囲が変更になる可能性もあります。
■
■ 《補足》 肖像権(しょうぞうけん)とパブリシティー権について
■
■肖像権(しょうぞうけん)~自分の肖像を他人に使わせない人格的権利のこと
肖像権について、以下のホームページに分かりやすい解説がありましたので、以下に紹介します。
肖像権とパブリシティー権 プライバシーとタレントの権利
http://cozylaw.com/copy/wadai/publicity.htm
人には自分の肖像を他人に使わせないで独占する権利があり、これが肖像権と呼ばれています。
なお、関連する法律は、民法第709条です。
民法第709条
『故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これに
よって生じた損害を賠償する責任を負う。』
民法第709条は不法行為による損害賠償についての定めです。プライバシーは「法律上保護される利益」にあたり、肖像も同じように保護されるべきであると考えられています。
法律の条文には肖像権という定めは存在しませんが、そのような権利がこの世の中にはあるはずだという考え方が現在では定着しており、肖像権という権利は不法行為の一種であり、プライバシーを守るための権利です。
なお、上記のホームページには、以下の説明がありますが、写真などに誰かが写ってしまった場合、プライバシーを侵害していないかどうか考え、バランス感覚で柔軟に判断したら良いと思います。
『被写体が風景の一部として溶け込んでいたり、画像がボケていて誰なのかがわからない場合など、被写体になった人物に迷惑がかからないようなときには肖像権の問題にならないでしょう。』
■パブリシティー権~顧客吸引力がある肖像や名前の利用を専有する権利のこと
顧客吸引力を持つ有名人の肖像や名前を権利として保護する考え方が定着しており、この権利をパブリシティー権と呼びます。
パブリシティ権は、芸能人の写真を勝手に撮影されたり、その写真を本人の承諾も無く勝手に販売されるようなことを妨げる権利です。
肖像権と比較して言うと、一般人と比べ有名人の名前や肖像には経済的価値があるため、この経済的利益を排他的に支配する財産的側面を認めたものです。
なお、「女性自身」の記事が、歌手のピンク・レディーの写真を無断で使い、「パブリシティー権」を侵害されたとして訴訟された事件の最高裁判決(2012-02-02)が以下に説明されていましたので、紹介します。
パブリシティー権、最高裁で認められる [法務コラム]|企業法務ナビ
http://www.corporate-legal.jp/houmu_news607/
今回の判決は、パブリシティー権が法的権利であると最高裁判所が初めて認めた重要なものです。
問題となったのは、週刊誌「女性自身」がダイエット法を紹介した2007年2月27日号の記事で、同社側が過去に撮影したピンク・レディーのステージ写真など14枚を掲載したもの。提訴したピンク・レディー側はパブリシティー権侵害を主張していました。
最高裁判所小法廷は判決理由で、パブリシティー権を「(著名人などの)商業的価値に基づく人格権のひとつで、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と初めて定義。法的権利であることを明言。
そして、パブリシティー権侵害になる具体的ケースとして
(1)肖像それ自体を鑑賞対象とする商品に使う
(2)商品の差別化に使う
(3)商品の広告として使う
など「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」と説明。グラビアやキャラクター商品などは侵害に当たるとの判断です。
一方、著名人は社会の耳目を集めやすく、報道や創作物など正当な表現行為で氏名や肖像を使われるのは一定程度、受忍すべきだとも指摘。
その上で、今回の記事は、ピンク・レディーそのものを紹介する内容ではなく、ダイエット法などを紹介する程度にとどまっているとして「顧客吸引力の利用が目的ではない」と結論付け、原告側(ピンク・レディー)の敗訴が確定しました。
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