2019-06-04;根拠条文(推測)を追記した。
【例題】亡Aの相続人不存在のため、弁護士Lがその相続財産管理人に選任された。亡Aの相続財産のうちには、売却困難な登録済み自動車甲がある。
[権限外行為許可の必要]
・相続財産管理人の権限は、(1)不在者財産管理人と同様の管理行為(民法953条→28条→103条)、(2)清算権限(民法957条2項→929~931条など)に限定される。したがって、管理行為(103条行為)を超えた処分行為を企てる場合、相続財産管理人は、家裁から当該権限外行為の許可を得なければならない(民法28条)。□片岡ほか341-3,374-7
・財産的価値のある自動車の廃棄処分は、権限外行為となる。
;許可審判例「相続財産管理人である申立人が、被相続人Aの相続財産である別紙自動車目録記載の自動車について、P(※「申立人が指定する引取業者」との記載でも可能か)に対し、永久抹消登録申請手続を委任し、廃車手続を行うことを許可する。」□片岡ほか387
[運輸支局での抹消登録]
・家裁での権限外行為許可を得た後、通常は、引取業者に廃車(一時抹消登録)を依頼することになろう。
・現在の登録実務は、次の書類の提出を要求している(2018年3月調べ)。
[1]亡Aの除籍全部事項証明書(除籍謄本) ※還付可能 ←自動車登録令18条2項?
[2]権限外行為許可審判書 ※還付可能 ←自動車登録令14条1項2号
[3]管理人個人の印鑑登録証明書 ←自動車登録令16条1項本文
[4]管理人個人を譲渡人とする譲渡証明書 ←自動車登録令14条1項1号、道路運送車両法33条1項、道路運送車両法施行規則64条
[5]管理人個人から引取業者への委任状 ←自動車登録令14条1項3号
片岡武ほか『家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務〔第2版〕』[2014]