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祖父母と未成年孫の普通養子縁組

2020-08-25 17:03:18 | 親族法・児童福祉

【例題】現在15歳のC1、12歳のC2には、親権者である実母M、祖父G1、祖母G2がいる。

(1)祖父G1と祖母G2は、C1・C2との養子縁組を考えている。

(2)G1・G2とC1・C2との養子縁組が成立した後、G1、G2が相次いで死亡した。

 

[養子縁組の要件]

・養親側の主体の問題:養親となろうとする者に配偶者がいる場合は、「自分+配偶者」がともに養親となる必要がある(民法795条本文)。

・養子側の主体の問題:養子となろうとする者が15歳以上ならば本人が縁組をする。15歳未満ならばその法定代理人による代諾縁組となり(民法797条1項)、他に親である監護者がいる場合や、親権停止を受けている親がいる場合には、その者の同意も要する(民法797条2項、800条)。□羽生160-1

・方式?:養子となろうとする者が未成年者であれば家庭裁判所の許可を要するのが原則だが(民法798条本文)、祖父母と孫のような直系尊属卑属の関係では家裁を経由する必要はない(民法798条ただし書)。

 

[養子縁組に伴う親権の帰趨]

・民法818条2項は「養子は養親の親権に服する」と規定する。この結果として、従前に親権を有していた実親は親権を失う、と解されている(民法811条3項は、離縁によって実親の親権が回復することを間接的に規定する)。もっとも、実親と実子間の相続権は残る。□白須213-4、講義267、大村198、大村読解234-5

・養父母は共同して親権を行使する(民法818条3項本文)、養父母の一方が死亡すれば単独親権となる。□白須214

・なお、実親の親権が継続する例外の一つが「連れ子養子」である。→関連記事《子連れ再婚の法的意義》 □白須214-5、講義267

 

[養親の死亡(1):親権の当然回復?]

・養子縁組により、「養子と養親」「養子と養親の血族」の間に法定血族関係が生じる(民法727条)。□大村197

・唯一の親権者である養親が死亡した場合、かつての実親が有していた親権は当然に回復するのか。戸籍実務や伝統的通説は「実親の親権の回復」を否定し、当該養子には後見が開始すると解している(後見開始説:もっとも近時は異論も有力)。□二宮208-9、白須214、講義267

 

[養親の死亡(2):死後離縁の意義]

・例えば養親が死亡した場合、もはや「養親子関係」が存在しないのは当然であるものの、「『養子』と『養親の血族』の間の法定血族関係」は影響を受けない。仮に養子がこの法定血族関係の解消を望む場合、家庭裁判所の「死後離縁許可」を得る必要がある(民法811条6項、家事事件手続法別表第一62の項)。□研究第一410

・養子が15歳未満の場合、民法811条2項類推適用により、「離縁後に法定代理人となるべき者」が許可の申立人となる。□研究第一410

・死後離縁(=亡養親との縁組の解消)によって、実親の親権が回復する。伝統的通説にしたがい、死後離縁許可前には実親への親権者変更を否定した裁判例(東京高決昭和56・9・2家月34巻11号24頁)がある。□二宮209、白須214

・もっとも、「養子が養親の遺産の大半を取得する一方で、養親の血族への扶養義務を免れるための死後離縁」といった場合は、恣意的な申立てとして死後離縁が許可されないこともあろう。□小島121-2、合田180

 

大村敦志『家族法〔第2版補訂版〕』[2004]

梶村太市ほか『家族法実務講義』[2013]

二宮周平『家族法〔第4版〕』[2013]

羽生香織「民法第797条」、合田篤子「民法第811条」、白須真理子「民法第818条」松川正毅・窪田充見編『新基本法コンメンタール 親族』[2015]

大村敦志『民法読解 親族編』[2015]

小島妙子『Q&A 親子の法と実務』[2016]

裁判所職員総合研修所監修『家事事件手続法下における書記官事務の運用に関する実証的研究ー別表第一事件を中心にー』[2017]


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