この圀は、条件さえ合えば、また繰り返される。改元があった、そして八月十五日を迎えた。この条件で、何かが出現する。今回はNHKからだった。通常は全マスコミとか、文芸春秋あたりからなのだが。
初代宮内庁長官の田島道治氏の「天皇拝謁録」なるものが御用放送のNHKから出てきた。歴史史料の新発見ではないだろう。多分前から在ったのだが、改元を機会に出してきた。
ただ気になるのは、「昭和天皇も憲法改正を望んでいた。特に軍備で、・・・」というフレーズだ。これだけが、御用放送として言いたかったことなのではないか。
今回は作為的な気がしている。前回の平成への改元の時には、『昭和天皇独白録』なるものが突然アメリカからもたらされた。長い間封じ込められていた史料が、天皇の崩御を機に、アメリカ人の物だったから世に出れた、というドラマ性があった。
今度の「拝謁記」は、ちょっときな臭い気がしている。最初から天皇の言葉を利用して、恰も改憲する方向という意図が丸見えである。今後、「天皇独白録」のように近現代史の珠玉の史料と成りえるのだろうか。それとも政治の道具にされるのか?
横浜、野毛の町から
戦後処理ということでは、ドイツは戦争に二度敗けているが、日本は一度である。だから敗戦を理解できないのだろう。
戦勝国が主導権を握る国連体制にあって、ドイツは隣接国とも協調して、ユーロ圏を常に主導し牽引する強い国家である。
片や、極東の日本はどうだろう。島国であることを割り引いても、いまだに隣国関係はぎくしゃくし、アメリカに追従しなければ何もできない。この敗戦両国は、21世紀にもっと大きな差に成るだろう。
靖国神社
明治元勲でもっとも評判の悪い人物は大久保利通であろう。何故大久保を悪い奴だと思ったのか、とその根拠をずっと考えていたら、最近やっと思いあたった。それは松本清張の『西郷札』のなかにある「梟示抄」という小説だった。
小説の筋立ては、佐賀の乱で捕まった元司法卿の江藤新平をかつての部下である河野敏鎌に裁かせて、梟首刑に処したことだ。
江藤新平は五稜郭で生き残った榎本武揚を思い、まさか自分が死刑になると思っていなかったのではないか。ましてや近代国家となった明治政府で江戸時代の残酷刑の梟首が適用されるとは思わなかったに違いない。
明治の近代司法体系の基を創った江藤にあえて旧法の残酷刑を見せしめとして執行した。当時、行政の実務能力では江藤は大久保を凌いでいたと評価されていた。権力者大久保の江藤への異常なまでの嫉妬を感じる。
サッチャーナライ遺跡・タイ