民法628条と労契法17条1項の関係を教えて下さい。
使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,その契約期間が満了するまでの間において,労働者を解雇することができません(労契法17条1項)。
民法628条は,「やむを得ない事由」があるときに契約期間中の解除を認める規定であり,「やむを得ない事由」がない場合に雇用契約の解除をすることができるのかについては必ずしも明らかではなく,見解の対立がありましたが,労契法17条1項の施行により,「やむを得ない事由」がない場合には,使用者は契約期間満了までの間に労働者を解雇できないことが明らかとなりました。
同条項は強行法規ですから,有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働者を解雇できる旨合意したとしても,同条項に違反するため無効となり,使用者は民法628条の「やむを得ない事由」がなければ契約期間中に解雇することができません。
使用者が契約期間中に有期労働契約を終了させたいと考えたとしても,契約期間中の解雇は「やむを得ない事由」がない限り行えないのですから,通常は上乗せの退職条件を提示するなどして話し合いで退職の同意を取り付けるか,契約期間満了時の雇止めにより契約を終了させるべきことになるでしょう。
民法628条は有期契約労働者の辞職についても適用があり,原則として「やむを得ない事由」がなければ,有期契約労働者は契約期間中に辞職することはできません。
もっとも,契約期間中の労働者の辞職の制限について労契法17条1項があえて規定していないことからすれば,労働者の辞職については,「やむを得ない事由」がなくても行うことができる旨労使間で合意することができるものと考えられます。
したがって,例えば,有期契約労働者の就業規則や労働契約書に「退職の申し出をしてから14日を経過した場合」が退職事由として規定されているような場合は,「やむを得ない事由」がなくても,有期契約労働者は退職日の14日前に退職を申し出ることにより,契約期間満了前に退職することができることになります。
弁護士法人四谷麹町法律事務所
弁護士 藤田 進太郎
使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,その契約期間が満了するまでの間において,労働者を解雇することができません(労契法17条1項)。
民法628条は,「やむを得ない事由」があるときに契約期間中の解除を認める規定であり,「やむを得ない事由」がない場合に雇用契約の解除をすることができるのかについては必ずしも明らかではなく,見解の対立がありましたが,労契法17条1項の施行により,「やむを得ない事由」がない場合には,使用者は契約期間満了までの間に労働者を解雇できないことが明らかとなりました。
同条項は強行法規ですから,有期労働契約の当事者が民法628条の「やむを得ない事由」がない場合であっても契約期間満了までの間に労働者を解雇できる旨合意したとしても,同条項に違反するため無効となり,使用者は民法628条の「やむを得ない事由」がなければ契約期間中に解雇することができません。
使用者が契約期間中に有期労働契約を終了させたいと考えたとしても,契約期間中の解雇は「やむを得ない事由」がない限り行えないのですから,通常は上乗せの退職条件を提示するなどして話し合いで退職の同意を取り付けるか,契約期間満了時の雇止めにより契約を終了させるべきことになるでしょう。
民法628条は有期契約労働者の辞職についても適用があり,原則として「やむを得ない事由」がなければ,有期契約労働者は契約期間中に辞職することはできません。
もっとも,契約期間中の労働者の辞職の制限について労契法17条1項があえて規定していないことからすれば,労働者の辞職については,「やむを得ない事由」がなくても行うことができる旨労使間で合意することができるものと考えられます。
したがって,例えば,有期契約労働者の就業規則や労働契約書に「退職の申し出をしてから14日を経過した場合」が退職事由として規定されているような場合は,「やむを得ない事由」がなくても,有期契約労働者は退職日の14日前に退職を申し出ることにより,契約期間満了前に退職することができることになります。
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弁護士 藤田 進太郎