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固定残業代の比率・金額を高く設定すること

2012-03-23 | 日記
Q90 固定残業代の比率・金額を高く設定することについてどう思いますか?

 固定残業代を支給しても,その金額で不足する場合は追加で不足額を支払わなければならないことから,固定残業代の比率・金額を極端に高く設定している会社があります。
 しかし,初めから極端な長時間労働を予定して,基本給と比較して高額の固定残業代を支払うことにしておかなければならないようでは,(理屈では別の問題だとしても)極度の長時間労働による労働安全衛生上の問題が生じかねないのではないかとの懸念が生じますし,労働者のモチベーションが下がって優秀な人材を確保する障害になりかねませんので,その割合は月例賃金全体の20%程度,高くても30%程度までにとどめておくべきなのではないかと考えています。

 例えば,基本給14万円,残業手当10万円といった極端な比率に設定することは,やめるべきでしょう。
 少なくとも,私は,そのような比率で賃金設定のなされている会社で働きたくはありません。
 1か月あたりの平均所定労働時間が160時間の会社でこのような賃金額を定めた場合,基本給14万円÷160時間=875円/時となってしまい,下手するとパート・アルバイトよりも低い時間単価となってしまいます。
 ボーナスを考慮すれば,パート・アルバイトよりも賃金が高くなるといった反論もあるかとは思いますが,これでは,働く意欲が削がれ,常に転職先を探しながら仕事をするということになりかねません。
 また,875円/時×1.25≒1094円/時であり,残業手当10万円÷1094円/時≒91.4時間ですから,これでは(理屈では別の問題だとしても)1月あたり90時間を超える時間外労働を当初から予定していると受け取られかねません。

弁護士 藤田 進太郎
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