定額(固定)残業代の有効性を判断する際のイメージを一言で教えて下さい。
定額(固定)残業代の支払は,一定金額の時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが明確であればあるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったと認められやすくなり,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなされていることが分かりにくくなればなるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払がなかったと認定されやすくなります。
会社経営者は,普段は時間外・休日・深夜割増賃金とは分からない名目の手当等を支給した上で,残業代請求を受けた途端,当該手当は時間外・休日・深夜割増賃金だとか,基本給には残業代 が含まれているだとか主張できるような制度設計を望む傾向にあり,こういった会社経営者の意向に迎合した賃金制度が散見されます。
しかし,「いいとこ取り」しようとして,定額(固定)残業代の支払が時間外・休日・深夜割増賃金の支払だとは分かりにくくなればなるほど,時間外・休日・深夜割増賃金の支払があったとは認めてもらいにくくなり,多額の残業代請求が認められてしまうリスクが高くなることを理解しておく必要があります。