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懲戒解雇を行うにあたり特に注意すべき点

2010-11-19 | 日記

Q4懲戒解雇を行うにあたり,特に注意すべき点はどのようなものですか

 普通解雇が労働契約の解約権の行使であるのに対し,懲戒解雇は企業秩序違反を理由に労働者を懲戒する目的でなされる解雇であることから,普通解雇とは異なる配慮が必要となります。

 フジ興産事件における平成15年10月10日最高裁判決が「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要する」と判示していますので,懲戒解雇を行おうとする場合には,その前提として,就業規則に懲戒解雇事由を明確に規定した上で,就業規則を周知(従業員が就業規則の存在や内容を知ろうと思えばいつでも知ることができるようにしておくこと。)させておく必要があります。
 就業規則等において懲戒解雇の定めがなされていない場合には,労働者が重大な企業秩序違反行為を行った場合であっても,懲戒解雇することはできません。

 山口観光事件における最高裁平成8年9月26日判決が,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものであり,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情ない限り,当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないと判示していますので,懲戒事由は,特段の事情がない限り,後日,追加することはできず,懲戒解雇する場合に懲戒事由を労働者に告知する場合は,懲戒事由をもれなく告知しておく必要があります。

弁護士 藤田 進太郎


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