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採用内定取消に応じない場合の対応方法

2014-08-20 | 日記

採用内定取消に応じない。

1 採用内定取消の法的性格
 採用内定の法的性格は一様ではありませんが,採用内定により(始期付解約権留保付)労働契約が成立することが多いものと思われます。採用内定により労働契約が成立している以上,採用内定取消の法的性格は解雇 であり,解雇権濫用法理が適用されるため,新たに採用を行う場面とは異なり,採用内定取消を行うことができる場面は限定されます。

2 内定者の理解を得る努力 
 採用内定を出した応募者を雇用するのが難しくなった場合は,一方的に内定を取り消すのではなく,話し合いにより内定を辞退してもらうよう努力すべきです。十分な内定取消の理由がない場合は,事情をよく説明し,補償金の支払いを約束するなどして,内定者の理解を得るよう最大限努力する必要があります。
 内定取消はできるだけ早い時期に行った方が内定者のダメージが小さく,紛争になりにくい傾向にあります。内定取消が避けられない場合は,いつまでもずるずる決断を先延ばしにするのではなく,速やかに内定辞退についての話し合いに入り,内定者が就職活動を早期に再開できるよう配慮して下さい。

3 採用内定の取消事由
 採用内定の取消事由は,採用内定当時知ることができず,また知ることが期待できないような事実であって,これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られます。
 採用内定当時知ることができた問題点については,採用を躊躇するようなものであれば採用内定は出してはいけません。取りあえず採用内定を出してみて,問題が改善されるかどうか様子を見るというやり方はできません。

4 経営の悪化等を理由とした採用内定取消
 企業が経営の悪化等を理由に留保解約権の行使(採用内定取消)をする場合には,いわゆる整理解雇 の有効性の判断に関する①人員削減の必要性,②人員削減の手段として整理解雇することの必要性,③被解雇者選定の合理性,④手続の妥当性という四要素を総合考慮のうえ,解約留保権の趣旨,目的に照らして客観的に合理的と認められ,社会通念上相当と是認することができるかどうかを判断すべきとする裁判例があります。

5 新規学卒者の採用内定取消
 新規学卒者の採用内定を取り消す場合は,予め公共職業安定所長又は学校長等関係施設の長にその旨を通知する必要があり,一定の場合は,厚生労働大臣により企業名等が公表されることもあります。



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