弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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精神疾患発症の原因が長時間労働,セクハラ,パワハラ等の業務に起因する労災かどうかの判断

2015-02-18 | 日記

精神疾患発症の原因が長時間労働,セクハラ,パワハラ等の業務に起因する労災かどうかは,どのように判断すればよろしいでしょうか。


 精神疾患 発症の原因が長時間労働,セクハラ,パワハラ 等の業務に起因する労災かどうかは,行政レベルでは,『心理的負荷による精神障害の認定基準』(基発1226第1号平成23年12月26日)を参考にして判断することになりますので,企業レベルでも,基本的には同認定基準を参考に労災に当たるかどうかを判断することになります。
 月100時間を超える恒常的な時間外労働がなされている場合のように,労災である可能性が高い事案については,基本的には,直ちに労災であることを前提とした対応を取るとともに,労災申請に協力していくことになります。
 他方で,労災であるとは直ちにいえない事案においては,労災申請を促して労基署の判断を仰ぎ,審査の結果,労災として認められれば労災として扱い,労災として認められなければ私傷病として扱うこととすれば足りるものと思われます。

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精神疾患発症の原因が業務に起因する労災であることが判明した場合の,休職期間満了退職の効力

2015-02-18 | 日記

精神疾患発症の原因が長時間労働,セクハラ,パワハラ等の業務に起因する労災であることが判明した場合,休職期間満了退職の効力はどうなりますか。


 精神疾患 の発症の原因が長時間労働,パワハラ ,パワハラ等の業務に起因する労災であることが判明した場合,
 ① 私傷病を理由とした休職命令が休職事由を欠き無効となり,その結果,休職期間満了退職の効力が生じなくなったり,
 ② 療養するため休業する期間及びその後30日間であることを理由として,休職期間満了による退職の効果が生じなくなったり(労基法19条1項類推)
します。
 いずれの法律構成によっても,精神疾患の発症に業務起因性が認められる場合には,原則として休職期間満了退職の効力は生じないことになります。


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精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返しても会社の活力を維持するためにはどうすればいいか

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返しても,真面目に働いている社員が不公平感を抱いたり,会社の負担が過度に重くなったりしないようにして会社の活力を維持するためには,どうすればいいと思いますか。


 精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返しても,真面目に働いている社員が不公平感を抱いたり,会社の負担が過度に重くなったりしないようにして会社の活力を維持するためには,休職期間を無給とし,傷病手当金の受給で対応するのが効果的です。休職と復職を繰り返す社員の対応に困っている会社は,休職期間についても賃金が支払われていることが多い印象です。


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精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返すのを防止するための就業規則の規定

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症した社員が休職と復職を繰り返すのを防止するためには,就業規則にどのような規定を置く必要がありますか。


 精神疾患 を発症した社員が休職と復職を繰り返すのを防止するためには,復職後間もない時期(復職後6か月以内等)に同一又は類似の事由により欠勤した場合(債務の本旨に従った労務提供ができない場合を含む。)には,復職を取り消して直ちに休職させ,休職期間を通算する(休職期間を残存期間とする)等の規定を置いて対処する必要があります。そのような規定がない場合は,普通解雇 を検討せざるを得ませんが,有効性が争われるリスクが高くなります。


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休職制度を運用する上での注意点を教えて下さい。

2015-02-18 | 日記

休職制度を運用する上での注意点を教えて下さい。


 休職命令の発令,休職期間の延長等に関し,同じような状況にある社員の扱いを異にした場合,紛争になりやすく,敗訴リスクも高まるので,休職制度の運用は公平・平等に行うようにして下さい。
 同じような状況にある社員の取扱いを異にする場合は,裁判官が納得できるような合理的理由を説明できるようにしておいて下さい。


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精神疾患を発症した社員が,会社が指定した医師の受診を拒絶した場合,どのように対応すればいいですか

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断に疑問がある場合に,会社が医師を指定して受診を命じたところ当該社員が指定医への受診を拒絶した場合は,どのように対応すればいいでしょうか。


 精神疾患 を発症して休職している社員が提出した主治医の診断に疑問がある場合に,会社が医師を指定して受診を命じたところ当該社員が指定医への受診を拒絶した場合は,休職期間満了時までに,債務の本旨に従った労務提供ができる程度にまで精神疾患が改善していないものとして取り扱って復職を認めず,退職扱いとすることができることもあります。


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精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断書の内容に疑問がある場合

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症して休職している社員が提出した主治医の診断書の内容に疑問がある場合には,どのように対応すればいいでしょうか。


 復職の可否を判断するにあたっては,専門医の診断・意見を参考にして下さい。
 精神疾患 を発症して休職している社員が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても,専門医の診断を軽視することはできません。主治医への面談を求めて診断内容の信用性をチェックしたり,精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医の意見を聴いたりして,病状を確認して下さい。


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精神疾患を発症して休職に入った社員の復職の可否の判断基準を教えて下さい。

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症して休職に入った社員の復職の可否の判断基準を教えて下さい。


 精神疾患 を発症して休職に入った社員の復職の可否は,「休職期間満了日までに,債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善しているか否か」により判断するのが原則です。
 ただし,診断書等の客観的証拠により,間もない時期に債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善していると認定できる場合には,休職期間満了により退職扱いにするかどうかを慎重に判断する必要があります。休職期間満了時までに精神疾患が治癒せず,休職期間満了時には不完全な労務提供しかできなかったとしても,直ちに退職扱いにすることができないとする裁判例もあります。
 職種が限定されている場合は,限定された当該職種について債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善しているか否かを検討します。
 通常の正社員のように,職種や業務内容を特定せずに労働契約が締結されている場合も,現に就業を命じられた特定の業務について,債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善しているか否かを検討するのが原則ですが,労働者が,現に就業を命じられた特定の業務について,労務の提供が十全にはできないとしても,その能力,経験,地位,当該企業の規模,業種,当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供を申し出ているならば,当該業務について,債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が改善しているか否かを検討する必要があります(片山組事件最高裁平成10年4月9日第一小法廷判決参照)。


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精神疾患を発症した社員本人が休職を希望している場合は,どのように対応すればいいでしょうか?

2015-02-18 | 日記

精神疾患を発症した社員本人が休職を希望している場合は,どのように対応すればいいでしょうか?


 精神疾患 を発症した社員が休職を希望している場合は,休職申請書を提出させてから,休職命令を出すとよいでしょう。休職申請書を提出させてから休職命令を出すことにより,休職命令の有効性が争われるリスクが低くなります。
 精神疾患を発症した社員が休職申請書を提出したら,休職命令書を交付して,休職期間の開始日や満了日を明確にするようにして下さい。休職申請書を出させて内部決済が済んだだけで安心してしまい,休職命令書を交付せずに何となく休ませていると,何年何月何日までが欠勤で,何年何月何日からが休職期間で,何年何月何日までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度に精神疾患が回復しなければ退職扱いになるのかかよく分からなくなることがあります。その結果,いつまでたっても精神疾患が治らないので退職させようとしたところ,休職命令や休職合意の存在,休職期間の開始日や満了日の立証に困難を伴い,休職期間満了退職扱いにすることができなくなる可能性があります。


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私傷病に関する休職制度がある場合であっても,休職させずに直ちに解雇することはできますか。

2015-02-18 | 日記

私傷病に関する休職制度がある場合であっても,休職させずに直ちに解雇することはできますか。


 私傷病に関する休職制度があるにもかかわらず,精神疾患 を発症したため債務の本旨に従った労務提供ができないことを理由としていきなり普通解雇 するのは,休職させても休職期間満了までに債務の本旨に従った労務提供ができる程度まで回復する見込みが客観的に乏しい場合でない限り,解雇権を濫用したものとして解雇が無効(労契法16条)と判断されるリスクが高いものと思われます。


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