パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

トヨタのエネルギー多様化戦略

2006-06-13 21:55:26 | 環境ネタ
トヨタ、来春にもエタノール車・ハイブリッドも拡充(Nikkei Net 13日
 トヨタ自動車は13日、植物原料のエタノールで走る乗用車の投入など環境車戦略を発表した。エタノール車は来春にもブラジルで発売し、米国での販売も検討する。ハイブリッド車も2010年代初めをメドに現在の7車種から倍増。欧米勢に後れを取っていたエタノール車に取り組むとともに、先行するハイブリッド車を強化し、環境技術を武器にした販売拡大策を鮮明にする。
へぇ~、時間の問題だと思っていたけど華々しくプレスリリースに至ったのね、と思いながら早速リリース資料を見てみる~環境対応技術の開発とエコカーの市場導入を強化 2006/06/13
 トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、「サステイナブル・モビリティ」の実現に向け、地球環境保全に資するために、環境対応技術の開発とエコカーの市場導入を、今後一層強化する。
っていう力強い話のあとに、 ガソリン、ハイブリッド、エネルギー多様化の3本柱で内容が構成されていて、1.ガソリン車の環境対応を先取りして、①2005年度に、全車種で「平成22(2010)年度燃費基準」を先行して達成 とか、②2010年を目標に、大部分の乗用車系車種で、「平成17(2005)年基準排出ガス75%低減レベル」と「平成22(2010)年度燃費基準+10%」以上を達成 とか、2.ハイブリッドを① 2010年代の早い時期までに車種を倍増 ② プラグインハイブリッドカー(外部充電や電力供給が可能なハイブリッドカー)の研究開発推進 をするとかに触れた後、エネルギー多様化対応についての話に。究極なのはFlexible-Fuel Vehicle(FFV)っていうので、ガソリン以外のたとえばエタノールとかどんな割合でも走れますよっていう車。例えばワーゲンとかブラジルでFuel Free車とか何年も前に売り出してたハズ。
3.エネルギー多様化への対応
 ① バイオエタノール燃料対応車の導入
  ・ 全てのガソリンエンジンにおいて、バイオエタノール混合率10%燃料に対する使用時の耐久性確保など、技術的対応を完了
  ・ バイオエタノール燃料が普及しているブラジル市場に、エタノール100%燃料にも対応するFFVを、2007年春を目処に導入
  ・ 米国市場への対応については、バイオエタノール混合燃料の普及促進政策を踏まえて、FFVの導入を検討
 ② 燃料電池乗用車の開発
  ・ 氷点下での始動時間を大幅に短縮するとともに、マイナス30℃での始動を確認
ってな具合で本格参入するんですね(反面従来から先頭だった燃料電池はローキーに見える)。日本でも混合の道筋をつけて結構経ったけどようやくですかねぇ 
 んで、ふと5/31の経済財政諮問会議(新・国家エネルギー戦略がプレゼンされたヤツ)の議事録を見てみたら、 総理と奥田会長とがほとんどサシで自動車のエネルギー多様化対応の話(だけ)をしているではないですか。ちょっと長くなりますけど、議事録から抜粋しておきます。
(二階議員のプレゼン終わり)
(小泉議長)ブラジルのように、エタノールでも、ガソリンでも、混合でも、どっちでもいいという車は、日本でもそれほど難しくないのか。
(奥田議員) ブラジルでは10 年ほど前にやっていた。その時は、エタノールの技術が若干まずくて、エンジン回りのゴムの管などが腐食するということがあったが、最近は、エタノールの質がよくなった。ブラジルはエタノール100%で「E100」、アメリカはエタノール85%で「E85」と言っている。それで一応自動車は走れるが、問題は、コストが非常に高いということと、それからもう1つは、材料がバイオマス、例えば、サトウキビ(シュガーケーン)などからとるので、結局、シュガーケーンのような食料と石油とどちらが大事だという話にも絡んでくる。
 この前お会いしたブラジルの大臣の話を聞くと、アマゾンの上流の方の開発されていないところを全部シュガーケーンの畑にするんだというようなことを言っていた。それはちょっと極端ではないですかと言ったが、結局、大量に出そうと思うと、家畜に食べさせるシュガーケーンやトウキビがなくなってしまう。このように自動車の技術としては実用化に達しているわけだが、食料と石油とのバランスがうまくいかない可能性がある。そこを解決しないといけないと思う。
(小泉首相)トヨタの車は、ブラジルでは、エタノールでやっているのか。
(奥田議員) 少しずつ出している。
(小泉議長)ブラジルのガソリンスタンドでは、ガソリン100 %でもOK、エタノール100 %でもOK、混合でもOKと、どの燃料でも同じ1つのスタンドで扱っているのか。
(奥田議員) そうだ。
(小泉議長)日本もそういうふうにできれば。そのようなガソリンスタンドの数を増やしていけば。
(奥田議員) エタノールがどれだけできるかということだ。
(二階議員)ガソリンスタンドに対する融資などで、そういう設備を準備することも大事だと思うが、石油業界も大体ほぼ了解をしてくれたような感じだ。
(小泉議長)東南アジアも一緒にやってくれるといいんだよな。ブラジルと気候的に同じで暑いし、サトウキビもできるだろう。
(二階議員) その通り。
(小泉議長) マレーシアのアブドラ首相は、ヤシでできると言っていた。
(奥田議員) パームオイルでもできる。可能性はものすごくある。
(小泉議長) 可能性は非常に高い。
(二階議員) この後私はAPECの会議へ出発するので、東南アジア各国に一度聞いてみる。
(小泉議長) 東南アジアと連携して、バイオマスエネルギー推進ができればいい。
(牛尾議員) 共有できればいいと思う。
(奥田議員) パームオイルは、結局、石けんなどに使うにはいいが、東南アジア一円では、食料油に使っており、食料油として使うと血管によくない面もあると聞いている。
(小泉議長) 健康によくないのか。
(奥田議員)パームオイルというのは、よほど慎重に使わないと、人間の健康によくない面もあると聞いている。パームオイルが科学的にうまく処理されて食料にうまく使えるようになれば、どんどん出てくるだろう。石けんなどに使うのは、今でもいいが。
(小泉議長) ガソリンの代わりはいいだろう。
(奥田議員) 自動車燃料に混合するなら問題ないだろう。
(与謝野議員)それでは、(略)また、資源・エネルギーの重要性に鑑み、政府として一貫性を持ったエネルギー戦略を構築することの必要性についての共通の認識があったと思う。今後は、「新・国家エネルギー戦略」の具体化に向けた取組みを進めていくこととしたい。
・・・担当大臣形無しとかいう突っ込みはナシで。
っていうか、総理は石油公団を解体して油断してるんでしょうか。前にも触れた「新・国家エネルギー戦略」の唯一ハッキリした政策転換は・・・と触れだすと収拾がつかないのでとりあえず。


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