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続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

骨法で射る ~馬手の緩みの対処法~

2009年05月29日 | 極意探求
初心の方の悩みに「馬手が緩(ゆる)む」ということがある。これまで「弓手の緩み」について説明してきたので、馬手の緩みについても考えてみよう。

馬手が緩む最大の理由は「馬手が正しい会の位置まで入りきれていない」ことである。

正しい会の位置とは、肘が両肩の延長よりやや背中側(ほんの少し下がった位置)までくることをいう。(もちろん馬手の手の内は、矢筋の延長にあるわけだから、口割りと平行な位置に来ている)

これが馬手の会の位置であり、ここまで馬手がしっかり入っていれば、そうそう緩むことはない。

試しに、補助で誰かに手伝ってもらい、この状態まで弓を引き、弓手の詰合いも確認し、そこから一人で会を維持してみよう。もし、それでも緩むようであれば、弓が強すぎる可能性が高いので、弓を換えることも検討した方がよいだろう。

ほとんどの場合、この位置まで持ってきてしまえば、緩まないどころか、緩みようがないことが実感されるはずだ。

ちなみに、これこそが射法訓に出てくる「骨を射る」ということである。

つまり、筋力により引き伸ばす(弓を射る)のではなく、骨(関節)と弓力との強固な釣り合いによって引き下ろしてくる(骨を射る)ことで、容易には揺るまない引分けが可能となるのだ。

そして、この骨と弓力との釣り合いを詰合いと呼ぶのである。


では、どうすれば、馬手を正しい会の位置まで引き下ろすことができるのだろうか?

それは、大三で決めた馬手の位置から、自分の身体に近づけるように引き分けてくることで容易に実現される。

イメージとしては、馬手の手の内が、耳の後ろを通り、物見を入れている頭の真後ろまでくるくらいの感じ(※)でちょうどよいはずだ。

もちろん、実際には矢が番(つが)えてあるので、そこまでは不可能であるが、そのくらい「身体に近づけるイメージ」で下ろしてくると、馬手が背中と連動し、正しい会の位置まで引き下ろすことができる。

逆に、馬手が浅い人は、身体の前面で引き分けてくることがほとんどである。それではどうしても馬手の、腕だけの筋力で引くしかなく、それが弓力に負ければ浅くもなるし、緩みもするというわけだ。

したがって、大三から会にかけては、弓手と同様、馬手も背中を使って、身体に近づけ、下ろしてくることが肝要ということだ。


※このときの弦の通り道を「弦道(つるみち)」といい、射の成否に大きな影響を与える重要なポイントとして昔から研究の対象となっている。