続・弓道の極意

私が一生をかけて極めようとしている弓道について、日々の気づきを積み重ねていくブログ

肩の詰合い

2008年11月21日 | 極意探求
これまで何度も詰合いの重要性について述べてきているが、六部の詰めの中でも射形に最も影響する部分がある。それが肩の詰合いである。

これは、六部の詰めの中で最も身体(からだ)に近く、身体が射における幹(みき)となることを考えれば当然である。

そこで、肩の詰合いについて考えてみたい。

肩の詰合いで最も大切にしたい感覚は「下ろす」感覚である。実際、人が自然体で立っているとき肩は下がっているが、少しでも力を入れる(力む)と肩は上がる。(腕が肩を支点に身体からぶら下がっているため)

したがって、詰合いのように伸ばす筋肉、伸筋を使いたいとき、肩は「下ろす」ようにすることが肝要だということだ。

このことは「下ろす引分け」と、とても相性がよい。つまり、大三で弓手、馬手の詰合い(伸びていること)を確認したら、そこから肩を下ろすようにして、腕全体を下ろしてくればよいのである。

これができるようになると、多い人では10センチくらい矢束(やづか)が伸びる場合があるので、ぜひ実践して欲しい。


弓が下りてこない理由

2008年11月18日 | 極意探求
下ろす引分けを実際に弓でやってみると、「なかなか下りてこない」ということが発生する。これは、左右のバランスが悪いためである。

例えば、大三において、弓手を行き過ぎて馬手が引っ張られている場合、馬手を引いてバランスをとらない限り、弓は下りてこない。同様に馬手が強ければ、弓手を押さなければ弓は下りてこない。

これが、弓道教本などで左右のバランスを強調するゆえんである。

このバランスだけは稽古を通じて自分で探すしか方法はない。逆に、自然に弓が下りてくる射形を求めていくことで、左右のバランスの取れた正しい射になっていくのだ。

もう一つ弓が下りてこない原因がある。それは、足踏みや胴造りのバランスである。弓道教本でいうところの三重十文字だ。

これもとても顕著に射に表れる。特に大三から引分けにかけて、弓手の肩が負けて左肩だけが右肩よりも後ろに入ってしまったり、逆に弓手をがんばりすぎて肩が入り、右肩より左肩の方が前に出てしまったりする。

どちらにしろ、足踏みと腰と両肩のライン(三重十文字)が上から見たときにずれてしまうわけだが、この三重十文字のずれが発生すると、途端に弓は下りてこなくなる。

したがって、これも左右のバランス同様、自分の射形を整えるアラームとして考えればよい。

伸筋を使った引き分け

2008年11月10日 | 極意探求
では、具体的に伸筋を意識しながらの引分けについて考えてみよう。考えなければならないことは「押し引きなしでいかに会に入るか?」である。

伸筋を使う引分けというのは、実はこの問いに全てが含まれている。つまり、伸筋というのは、「伸ばして維持する筋肉」であるから、それ以上、押すことも、もちろん引くこともできない。では、どうやって会まで持ってくるのか?

答えは「下ろしてくる」である。

試しにやってみてほしい。徒手(手に何も持たず)で大三を取り、そこで六部の詰めを確認する。そこから、横ではなく、上下のみを意識して両腕を下ろしてみよう。

ここが重要で、普通「下ろしてくる」と言われても、大三の状態から下ろそうとするとどうしても「横の意識」が出てきてしまう。そこをぐっとこらえて、完全に「縦の意識」だけで会の位置まで両腕を下ろしてみよう。

どうだろうか?「横の意識」は全くなくても、いつもどおりの引分けになったのではなかろうか。

これが伸筋を使った引分けである。

一点、注意を促しておくと、「縦の意識」で引き分けるときも、常に六部の詰めが「伸びていること」は確認するようにしよう。特に、弓を持って実際にやると、弓力によって縮まってしまう(緩んでしまう)ことがよくある。

大事なことは、伸ばすことを維持しつつ(詰合い)、ただ下ろしてくることである。