八尾北医療センター労働組合

藤木 好枝 執行委員長

昨日、地域医療交流会が、大阪府吉村知事に申し入れを行いました

2021年10月28日 | 新型コロナ感染拡大に立ち向かい、医療崩壊とたたかおう!
申し入れ書は以下の通りです

大阪府知事 吉村洋文 殿

遺伝子ワクチンではなく公的医療の拡充を!
新型コロナウイルス感染症に係る申入書2

地域医療交流会

連絡先:八尾北医療センター労働組合
大阪府八尾市桂町6-18-1 072-999-3555

10月1日に大阪府でも緊急事態宣言が解除されました。大阪府では、4月5日のまん延防止等重点措置の発出から、実に6ヶ月間にわたって住民に行動制限を強いたことになります。この6ヶ月の間に、大阪府内では新型コロナウイルス感染症による甚大な被害が拡大し、累積死者数は人口比で全国平均の約2.4倍(人口100万人当たり大阪府344.8、全国144.0、2021年10月21日現在)にまで上昇しました。これは、全国の都道府県で最大の数字であり、大阪府のコロナ対応や医療体制について、抜本的に見直しが迫られていると言わざるを得ません。
許されないのは、医療逼迫を奇貨として、トリアージなる「命の選別」の議論が平然となされていることです。大阪府では「高齢者は入院の優先順位を下げざるを得ない」とするメールが全保健所に送付され、多くの批判が集中しました。命を選別することは、2016年に神奈川県の津久井やまゆり園で起こった殺人事件の思想と同一のものであり、「命を守る」医療現場と絶対に相いれない戦時思想です。コロナ禍を利用して、戦時医療体制を進める動きを絶対に許してはなりません。
私たち地域医療交流会は、4月21日に「遺伝子ワクチンではなく公的医療の拡充を!新型コロナウイルス感染症に係る申入書」と題した陳情書(以下「陳情書」)を提出し、新型コロナウイルス感染症対応を実践してきた地域医療の現場から、大阪府における感染症対策について陳情しました。
本来、医療、介護、保健体制が十分に確保され、「早期発見」「早期治療」さえできれば、感染爆発を抑えることは難しくありません。新型コロナウイルス感染症であっても、これまでに地域住民と共に作り上げてきた「地域医療」が機能していれば、感染症対策は十分可能なのです。だからこそ、行政の責任で「地域医療」現場を最大限支援して欲しいというのが私たちの訴えです。
これに対して、5月28日付けで、大阪府健康医療部保健医療企画課から、FAXにて回答書(以下「回答書」)が届きました。ところが、この回答書には、こちらの要望に回答されていない箇所も多く、極めて不十分な内容であると受け止めています。
また、ワクチン接種率が6割を超え、ワクチン接種証明書の議論も進められる中で、再度陳情書を提出させて頂きます。現場の声に耳を傾け、市民の命を守るために、大阪府の責任において、医療・介護・保健体制の拡充を行うよう切に求めます。

【1】ワクチンパスポートの運用を中止して下さい
*7月26日より新型コロナウイルス感染症予防接種証明書(以下「ワクチンパスポート」)の申請が始まりました。これに伴い、経済界からはワクチンパスポートを感染症対策として利用する声が広まり、10月6日からは政府主導による実証実験が始まっています。
*ワクチンパスポートを行動制限解除の根拠とすることは、二つの意味で間違っています。
第一に、安全性が証明されていない遺伝子ワクチンの接種を強制することにつながるということです。9月8日の定例会見で吉村知事も懸念を表明していますが、ワクチンパスポートを利用して行動制限を課すことは、必ず差別を生み、ワクチン接種の強制力として働きます。海外では、ワクチンパスポートを就労の条件とする法令に対して、労働組合や市民が反発し、イタリアでは100万人規模のストライキにまで発展しています。また、既に1233人の接種後死亡者(10月1日現在)が報告され、心筋炎などの副反応も確認される中で、健康被害の恐れがある遺伝子ワクチンの接種を強制することは許されません。
第二に、ワクチンパスポートは感染防止にはならず、むしろ感染拡大を誘発する恐れがあるということです。遺伝子ワクチンの感染予防効果は確立されておらず、イスラエルなどのワクチン接種率が高い各国でも、ブレイクスルー感染が次々と報告されています。また、ワクチンパスポートは「ワクチン接種をしていれば感染症対策は大丈夫」という間違った幻想を作りかねません。「経済を回す」という経済界の論理だけで、科学的ではない感染症対策を強行すれば、再び感染爆発が起きることは明らかです。
*以上の懸念から、ワクチンパスポートの導入について、大阪府として明確に反対の立場を表明し、大阪府下の学校や病院、保健所など、関係する出先機関にワクチンパスポートを利用することの無いよう、通達してください。また、大阪府下の市町村に対しても、同様に通達してください。
*また、9月9日、政府はデジタル形式のワクチン接種証明書を発行すると公表し、その取得の際にはマイナンバーカードを利用する想定であることが明らかになりました。大阪府の回答書には、「新型コロナワクチンは強制ではなく、接種を受ける方の同意がある場合に限り接種が行われる」「新型コロナワクチン接種履歴とマイナンバーについて、一切紐づけしておりません」とありますが、大阪府はマイナンバーカードの個人情報を管理する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)の運営にも関わっており、改めて回答書の立場を堅持しながら、ワクチンパスポートの申請にマイナンバーカードの個人情報を流用しないよう、対応策を取ってください。

【2】早期発見のためにPCR検査を無料化し、検査体制の拡充を早急にして下さい
*10月2日の民放テレビ番組にて、吉村知事は「早期治療、早期介入がものすごく重要だ」と述べています。その立場であれば、何よりも重視するべきは、早期発見のためにPCR検査を拡充することです。
*ところが、日本のPCR検査数は、人口比で見れば全世界で142位(10月24日現在)という超低水準であり、早期発見につながる検査体制の構築が遅れに遅れています。大阪府として市民が無償で何度でも受けられる公的な検査所を直ちに設置してください。
*また、地域の医療機関が発熱者を診療し、新型コロナウイルスの感染者を早期発見することは、何よりも有効な感染症対策です。ところが、こうした医療現場の取り組みを妨害する動きが、大阪府内で起きています。八尾市北部西郡地域の診療所である八尾北医療センターでは、昨年9月27日、八尾市によって検体採取と検査のためのプレハブ建設が不許可とされました。八尾北医療センターは地域住民の命と健康を守るために、最新のPCR検査機器を大阪府新型コロナウイルス感染症検査機関等設備整備事業補助金によって整備しましたが、検査機器の耐用温度が摂氏30度以下とされており、プレハブ建設なしにはまともな運用ができない状況です。8月には、防護服を着用して検体採取を繰り返す中で、熱中症で倒れる職員も出ており、プレハブ建設は必須不可欠と言えます。
*4月21日の陳情書でも述べましたが、八尾市はこれらのプレハブ建設不許可決定について、「大阪府と連携してコロナ対策を進めている」ことを根拠としています。感染爆発の中で必死に新型コロナウイルスと格闘している医療現場を、行政が妨害するようなことはあってはならず、大阪府の補助金で設置した検査機器が正しく運用できないのですから、大阪府行政としても見過ごしてはならないと考えます。直ちにこの決定を取り消し(あるいは八尾市に対して取り消すよう指導し)、地域の医療機関において、積極的に感染症対策ができるよう、支援することを約束してください。

【3】公的な医療、介護、保健体制の拡充を直ちに行ってください
*大阪府で感染被害が拡大した最大の要因は、保健所がパンクし医療にかかれない患者が膨大に生まれたことにあります。保健所の拡充は人命を守る上で、今何よりも優先して整備するべき感染症対策です。
*この点について、多くの指摘がありながら、全く不十分の対応しかとられてきませんでした。第4波(3月1日から6月20日)では、保健所から患者への最初の連絡まで1週間以上かかり1475人もの感染者が亡くなる事態となりました(全国死者数の実に22%超!)。第5波においても保健所は即座にパンクし、感染者が宿泊療養施設に入所するまでの日数は市内平均が3・63日(7月26日から8月18日)と、他地域の1・96日の倍近くにもなりました。改めて、保健所の新規設置計画を整え、行政保健師の数を、少なくとも人口比で全国平均となるまで、随時、大幅に拡充することを求めます。
*ところで、吉村知事はこうした脆弱な保健衛生体制を改善するのではなく、「保健所を通さないとできない体制を変えたい」(9月22日の定例会見)としています。これは、感染症対策や保健所機能についてあまりにも軽視した発言です。感染症対策とは生活と密接に関係しており、行政保健師などの専門家が日常的に地域の医療現場と連携しない限り、感染症を封じ込めることはできません。これは、天然痘、ハンセン病、トラホームなど、数々の感染症対策の中で作り上げてきた「命の教訓」であって、新型コロナウイルス感染症対策においても、最も重視するべき視点です。大阪府は、保健所機能の拡充以外に抜本的な感染症対策はあり得ないという立場に立つべきです。
*また、大阪府では、人事異動や他部署からの応援によって、何とか新型コロナウイルス感染症対策がなされています。ですが、そもそも大阪府の職員は全国最下位(一般行政職のみでは下から2番目)であり職員数が圧倒的に足りません。今年4月~6月に100時間以上の残業をした職員が300人を超えるなど、大阪府の職員全体が疲弊しきっている状況が明らかになりました。回答書には、今年度の採用について「当初の予定を100名以上上回る採用を行うなど大幅な増員」とされていますが全くの不十分です。職員削減の根源である職員数管理目標を直ちに見直し、随時、大幅な増員をして下さい。
*さらに、回答書では、旧大阪府立5病院について「地方独立行政法人の形態で業務を継続する」とあります。しかし、現実には、独立行政法人では新型コロナウイルス感染症対策は進んでいません。政府の新型コロナ対策分科会会長である尾身茂氏が理事長を務める独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)では、コロナ対策などで300億円にも上る多額の補助金を受けていながら、コロナ病床の30~50%が空床のままであることが分かりました。JCHOは補助金により得た利益の内、130億円が有価証券に転用していたことが発覚しても、「法人運営として何ら問題はない」と開き直っています。また、10月13日には、東京都議会が都立病院を独立行政法人化するための定款案を可決しましたが、小池都知事は「有事の際の体制強化」などとおよそ行政文書とは思えない説明を繰り返し、戦時下の医療体制作りと一体で独立行政法人化が進められていることも明らかになりました。市民の命を守る公的医療体制は、資本論理が優先される独立行政法人では不可能です。旧大阪府立5病院を再公営化するなど、大阪府の責任で直ちに対策を講じ、公的医療の確保を行ってください。

【4】誰もが早期に治療できるよう、感染者への補償体制を整えて下さい
*吉村知事は、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の第2類感染症から第5類感染症へと移行する案について、度々言及されています。第5類感染症は治療費が自己負担となり、経済的な格差で早期治療が疎外されることにつながります。既に、地域の患者・利用者さんから不安の声が多く届いており、新型コロナウイルス感染症の治療は今後も無料とするべきであることを、大阪府として表明して下さい。
*また、PCR検査等で早期発見されても、生活が保障されなければ早期治療にはつながりません。感染者が安心して治療に専念できるように、生活保障(一律給付金や賃金補償など)を行政の責任で行ってください。


申し入れの様子などは後日掲載します。