高校三年生の息子は受験生にも関わらず、八月に入っても夏休み返上で最後の大会に向けて、早朝に出掛け夜遅く帰って来るようなハードな(サッカーの)部活生活を続けていた。
昨年「最初で最後の試合観戦」と書いた通り、私の中ではもう観戦するつもりはなかったので、初戦の朝も普通に見送った。そして負ければ即引退のトーナメント戦でまずは勝利を飾った。二戦目も勝ち続け、現役生活が続く。そして勝てばさらに上のリーグへ進出出来る大事な試合の前夜。息子から初めて応援要請があった。「もう行かない」と決めた自分と「最後になるかも知れない」との間で揺れていた私は、息子の要請に非常に複雑な表情を浮かべながらも当日グラウンドへと向かった。
この日も暑く、日陰がないグラウンドで皮膚にチクチクと日差しが突き刺さる。前半終了間際にゴールを決めて1-0で後半へ。1-1の同点となり、延長戦へと突入。1-2となったがまだ時間はある。敵陣ゴールへと怒涛の攻撃を仕掛けるものの、終了間際に致命的なゴールを決められ1-3・・・そして三年生の引退を告げるホイッスルがグラウンドに静かにそして無情に響き渡る。グラウンドには突っ伏して泣きじゃくる選手たちと歓喜に沸く勝利チームの選手たちの正反対の様子をただただ静かに見つめる。
2010年7月に「最後の真剣勝負」を書いた時と同様、あれから3年が経ち、試合後に息子から娘と同じようなお礼のメールが届いた。息子が今後サッカーを続けるかは不明だが、小学校から続けて来た12年間の「真剣」サッカーはこれでとりあえず一旦終了である。以前息子が「サッカーがない生活なんて想像出来ない」と言っていたが、12年間も続けていたらそりゃそうだろう。ただ寂しさは一瞬で、またこれで君は次のステージに進める。やり続けたことを誇りに堂々と進んだら良い。
父は負けてあれだけ号泣出来る試合が出来たことがただただ羨ましかったと感じたそんな暑い夏の日だった。