前夜の「商談」がついつい明け方まで長引いてしまった。ホテルに帰り、ベッドに横たわったかと思ったらすぐに朝を迎えていた。窓の外は大雨。「晴れ男伝説」もここまでか?と思いつつ、10時過ぎにチェックアウトして外に出るとその途端に雨が止み、太陽が雲の切れ間から差し込んで来た。ここまで来ると「晴れ男」と言うよりももはや「神の領域だな」と口元が緩む。
この日はご契約者は出勤した後、夕方に温泉地で再合流するので、私は電車とバスを利用して一足先に温泉宿へと向かう。熊本駅まで距離を確認するとご契約者様もホテルのスタッフも「とても歩けない」との事。そう言われると東京の不動産屋としては「歩いてやら~」と雨上がりの街を不動産屋で御馴染の早足でズンズン進んで行く。ただ気温はこの日も20℃で上着を途中で脱ぎながら、歩みをさらに速める。しかし15分程度歩いても駅が全く見えて来ない。20分歩いた所で列車の出発時刻が気になり出す。このままじゃまずいと仕方なく路面電車に乗り込む。路面電車は「結構」走った所でようやく熊本駅に到着した。地元民の声には耳を傾けるべきである。
熊本駅には17歳の時にひとり旅で来て以来である。あれから26年の月日が流れ、普通列車で移動していた17歳の高校生は、指定席の特急列車で移動出来るまで成長したんだな~と思っていると、ホームに到着した特急列車はわずか二両編成だった・・・
17歳で緊張しながら眺めていた同じ車窓を、今は「商談疲れ」でへべれけになった体でボーと眺める。そして約一時間の乗車後にあの時と同じ目的地である阿蘇駅へと到着した。駅前はすっかり整備されていて、あの頃の面影を全く残しておらず、立派な道路が拡張されていた。
駅前で昼食を取り、地元の方と話が盛り上がる。私が予約した(当日キャンセルした)旅館はすでに無くなっていたと知る。
そして再び駅に戻ってバスの到着を待つ。本当に来るんだろうか?と不安になるような閑散とした駅前で待っていると数分遅れでバスが到着し、そのまま黒川温泉を目指す。(つづく)
有限会社やな瀬不動産
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