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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

奥秩父は乾徳山から黒金山へ

2013年07月15日 | さんぽ


2013年7月13日(土) 曇り/小雨

徳和→錦晶水→国師ヶ原→扇平→乾徳山→水ノタル→笠盛山→黒金山→大ダオ→徳和

GW以来の連休になった。どこへ行こうか、あれこれ考える。そして、夢は広がるばかり。希望と期待でいっぱいの三連休だったが、天気予報をみればそう簡単に問屋が卸すわけがない。結局、近場の山へ出掛けるのが一番よさそうな天気ということで、奥秩父にある未踏の黒金山へ出掛けた。乾徳山は雪のある12月に訪ねたが、黒金山までは足が向かなかった。今回は西沢渓谷に下山して、バスで乾徳山登山口へ戻るということも考えたがそれは半ば諦めムードであり、山頂に着いた時間の都合ということにした。先週の尾瀬からは梅雨も明け、猛暑が続いている。関東の内陸部では39.5度にもなった所があるという。涼しさを求めて高い山へ行きたいが、熱中症にならないように2.5リットルの水をザックに入れて奥秩父の山へ出掛けた。


<国師ヶ原>
車は乾徳山登山口バス停近くの駐車場へ停める。圏央道、中央高速と乗り継げばアプローチの時間も短縮された。この時期は誰もいないだろうと考えていたが、その予想に反して車が既に4台ほど駐車されていた。身支度を済ませ橋を渡って川沿いに歩き出す。イワナやニジマスの養殖場を過ぎて林道を進んだ。すると登山口に最も近い空地は満車であった。右に左にカーブしながら更に進むと乾徳山入口のデカイ看板がある。そこからまずは乾徳山山頂を目指した。山道をジグザグに登って行く。植林された木々の中は風もなく空も見えない。ただひたすら今は使われていない林道を横切りながら登って行く。すると青いトタン屋根の傾いた小さな小屋が出てきた。近くに水場があったが、ここは勢がやや少ない銀晶水である。



<富士山のシルエット>
やがて沢筋から離れ、尾根にジグを切る。先方に3人の方達が休憩しているのが見えた。冷たい水で汗を拭っているらしい。どうも、ここは水量も豊富な錦晶水に到着したようだ。まだ、1本目を飲み干していないが、ここでたっぷり水分補給をし、空いたペットボトルに水を汲む。鹿が数頭、食事に夢中だ。こちらにはさっぱり気づいていないらしい。常に下を向いていた。



<扇平から大菩薩の眺め>
シラカバが点在する国師ヶ原からカヤトが生い茂る扇平に着いた。ここの魅力は富士山が遠望できることだろう。風通しもいいが、見晴がとてもいい。ここで道満尾根と道を合わせ、八の字で周回する方もいる。そして、月見岩の近くで休憩する。久しぶりに富士山を眺めながらの腹ごしらえとなった。



<ゴツゴツした岩場が現れる>
一休みを終えて扇平から樹林帯へ入った。岩場の急登が始まる。高度をぐんぐん上げていく。やがて、大きな岩場が目立ってくる。時折開けた岩峰から振り向けば大菩薩や奥多摩、それに富士山、御坂の山並みが曇り空ながらも見渡せた。前から一人の男性が降りて来た。挨拶がてら二言三言会話する。その中でストックはそとそろ使えないですよ、と忠告された。しかし、ここま順調に登って来た。Wストックでそれなりのスピードで上がって来たつもりだった。これならもしかして西沢渓谷へ下山できるかも。そんな気がしていた。使えるところまでWストックスタイルで登ろうと思っていた矢先だ。右足を上げ、少し背伸びをしながら一段上の岩稜へガツンとストックを突く。その勢いで両手を握りしめ、左足も上げた。自分がイメージする調子で上がった。すると片方のストックが滑り、外れてしまった。あ~、っと思った瞬間に後ろへバランスを崩し、落ちていった。まるでスローモーションのように宙に浮いて落ちていくのが分かった。次に来るのは現実であり、ガツンとくる痛みだった。後ろへ尻餅でもつくような容で落ちたのであろう。ちょうど尻が突き出た岩へぶち当たったらしい。お尻から火が出るような思いの痛みが走った。それはそれは今までに経験したことのない部分の激痛であり、飛び上がる思いの痛さであった。思わずイテテテ~、ケツがイテ~と叫び声を上げてしまう始末だ。



<長いクサリ場>
バランスを崩して、お尻を岩頭に激突させてしまった。どうやら尾てい骨を強打したらしい。骨にヒビでも入っていなければいいが、しばらくはそこを動くことも出来なかった。数分その場でもがく有り様だった。そして、痛みが治まらなけど、何とか歩ける状態になり、登り続けた。勿論、ストックは2本ともザックへくくり付けてある。尻を押さえながら、登った。そして、その場所から痛みが消えることはなかった。山頂直下のこのクサリ場は長い。迂回路もあるが、ここは集中して登った。痛みをコラえて。



<乾徳山>
山頂へ着いたが、山の感激はない。尻を常に気にしていたからだと思う。でも、お腹は空いていた。正直なお腹だ。この先からが長い、おにぎりを食べて、まずは力を付けようとした。欲張って二つ食べ、水分補給も十分にした。痛みは走っていたが、歩行困難でもないので予定通り、このまま黒金山へ行くことにした。そのうちに尻の痛みもなくなるだろうという安易な気持ちだった。



<奥に黒金山と国師ヶ岳、甲武信岳>



<奥多摩の山々>
雁坂峠、雁峠、笠取山、唐松尾山、和名倉は分かった。あとは暗く山並みが映るだけだった。小雨が降り出したり、止んだり。乾徳山の山頂は賑わっていたが、みなさんここで下山する様子だった。



<乾徳山の山頂を振り返って>
岩場に雪が付いた12月の南面はクサリが出ていたので助かったことを憶えている。しかし、北面のハシゴとクサリが吹き溜まりで隠れてしまい、探すのに手こずった。短い距離だが落ちるわけにもいかず、ハラハラドキドキしたことを思い出していた。そして、ここから雪の被った富士山がクッキリ眺められたことも。



<水ノタルから笠盛山へ>
水ノタルから左へ下れば国師ヶ原へ下山だ。まだ11時ということでここは直進する。登山者があまり踏み入れてない山道らしい。踏み跡はしっかりしているが、乾徳山のようにはいかない。時々、考えさせられるような場面もあるが、リボンと番号の書かれた標識を目当てに尾根を進んだ。奥秩父らしい光景だ。コメツガとコケとシャクナゲ、それに薄暗い樹林帯。



<笠盛山>
ぽっかりと明るい場所が笠盛山の山頂だった。緩やかに登り続け、1時間は経過していた。風も強くなり、まるで台風のような雰囲気になってくる。樹林帯へ潜れば穏やかになるので、その荒れた風も気にならなかった。気になるのはやはりお尻の痛みだった。



<ピラミッダルな山容の乾徳山とその右に薄っすらとした富士山が>



<大ダオ分岐>
やっと分岐にたどり着いた。ここを上がれば黒金山の山頂だろう。この時点で予定よりも大幅に遅れていた。ここで西沢渓谷への下山は諦めて、大ダオから徳和へ下山するコースに切り替えた。



<黒金山>
黒金山頂へ着いた。それもお尻をかばいながらだ。無我夢中で歩いたという感じはしないが、よくコラえたという気持ちの方が強い。ここの展望も悪くはないが、この天気ではそれなりだ。早々に下山開始する。



<黒金山から国師ヶ岳を眺め>



<途中の咲き残っていたアズマシャクナゲ>



<再び大ダオ分岐へ戻って>
さてここからが下山ルートとなる。昭文社の地図上では破線ルートだが、道標もしっかりしているのでまずは出だしは安心だ。笹が足元を隠している部分もあるが、テープが頻繁に出てくるので迷うことはないだろう。しかし、広々とした尾根を歩く場所もあり、方向と歩いている位置は確認したい。



<奥秩父らしい静かな風景>



<大ダオ>



<大ダオから徳和へ下る>
ここを直進すれば石楠花新道をたどって北奥千丈岳へ続く縦走路となる。大ダオは明るい気持ちのいい場所だ。それに眺めもいい。先ほど歩いて来た乾徳山と霊峰、富士山が眺められる。



<乾徳山と霊峰富士山>



<笹が生い茂る山道>



<徳和川へ注ぐ東奥山窪>
ここの下りも長い。廃道とはなっていないようだが、それに近い状態だ。沢を縫うように下っていく。沢に掛けられた橋は既に落ちてしまい残るは鉄のワイヤーだけである。それでも、目印のテープが頻繁に出てくるのでありがたい。テープを見失なったらそこで立ち止まって周りを見渡せば必ずそのテープが出てくる。そんな具合に、常に沢沿いを下ればいい感じだ。



<白い花が咲いていた>
沢の音を聞きながら進むが、涼しいのは渓谷に響く水の音だけだ。稜線であれほど吹き荒れていた風が嘘のようにまったくなくなっていた。汗が噴き出る思いである。途中、手と顔を洗い、元気づけた。冷たい水場を期待していたが、それらしい場所はない。赤いコップがぶら下がっていた所は沢の流水だと思う。岩陰から出ている水ではなかった。やがて堤防が現れ、簡易舗装の林道が現れた。まだまだ下らなければ徳和に着かない。下りなら尻の痛みもなかろうと考えていたが、足を踏ん張り、力が入る筋肉は同じようだ。そして、尻もヘロヘロになりながら無事下山した。駐車場に近い自動販売機で冷たい麦茶を買ってがぶ飲みした。日帰り入浴で尻をよく洗って、手で触ってみたが腫れているかどうか、わからなかった。しかし、痛い。車に座るのも痛いくらいだった。何だ、かんだと愚痴を言いながら帰宅したが、その痛みは家に着いた途端に安心したのであろうか、更に痛みは激しさを増した。

追伸
したがって、三連休の二日間は尻の痛さに負けて、家で安静する事になってしまった。幸いにして無事に帰宅できたが、滑落ともなれば大勢の皆さんに心配とご迷惑をお掛けることになっていたかもしれない。そう思えば尻の一つや二つ、痛いのもしょうがない。明日は病院へ行ってお尻を診察して頂くつもりである。そして、いつもご覧いただいている山を愛する皆様方、暑中見舞い申し上げます。あまり冷たいものを飲み過ぎないようにして、気を付けて夏山を楽しんで下さい。
7/15 記

4 コメント

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暑中お見舞い申し上げます。 (HIDEJI)
2013-07-15 20:24:31
レポを拝見して驚いておりますが、まずは無事に下山されて何よりです。
その後、お尻の方がいかがでしょうか。

さて、本日、用事が出来て取りやめたのですが、実は乾徳山あたりに行こうかと考えておりました。地元の低山はこの時期、辛いものがありますので。。。
乾徳山からの稜線や、下りの沢筋など、見晴らしや奥秩父の雰囲気溢れる歩きごたえの有りそうなルートですね。いずれ歩いてみたいと思います。
また、先日、あんぱんさんのレポを参考にさせていただき、赤岩岳と大ナゲシに行ってきました。あいにくの天候で展望は効きませんでした。

以上、しばらくは安静になさってください。
次回のレポ楽しみにしております。
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尻見舞い (あんぱん)
2013-07-16 06:08:03
HIDEJIさん、あはようございます。
早速の尻見舞い、ありがとうございました。咳をしても、笑っても、尻に響きます。とにかく座ることもできず、仰向けに寝ることもできないので泣いています。くれぐれもHIDEJIさんも気を付けて下さいね。大ナゲシ、赤岩岳はホント雨だったようで、濡れた岩場は危険ですからね。それに、和名倉。よくあのコースを行きましたね。むしろ、こちらの方を驚いていました。
今日は、これからレントゲンを撮ってもらいます。暑い日が続きますから、夏バテにも注意しましょうね。
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乾徳山から黒金山 (たそがれオヤジ)
2013-07-16 22:16:05
こんばんは。
拝読しながら、途中で尾てい骨に違和感を覚えましたが、お付き合いで、黒金山まで行かせていただき帰りました。
私も、大分前のことですが、野口五郎の帰りに木の根に滑り、何とか下山したものの、翌日のレントゲンで尾てい骨にヒビが入っておりました。しばらくは、職場でもドーナツ状の座布団を使っていましたね。痛め止め薬と自然治癒しかなかったです。大事でなければいいのですが。
さて、乾徳だけは行ったことがあります。途中、黒金に行くつもりが、あの時は、団体さんが黒金に向かっているのにぶつかって、嫌になって引き返しました。黒金もいい感じですね。
しかし、予定では西沢渓谷ですか。結果はともかく、あんぱんさんも、信じがたい歩きをされますね。
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え? たそがれさんも… (あんぱん)
2013-07-17 07:59:21
おはようございます。
たそがれさん、いつもありがとうございます。たそがれさんも私と同じ痛みをご経験されているとはビックリです。それも北アルプスで…。さぞ、その日は長い長い一日だったのではないでしょうか。実は、昨日レントゲンを撮りまして、「尾骨」という部分が骨折していると言われました。横から撮った写真を見ると、尾骨の先端が直角に曲がっているのです。下から押しつぶされたような形になっていました。やはりこれは打撲程度の痛みではないな…、と感じていた結果でした。
今は痛み止めとシップでうつ伏せ状態です。椅子もダメ、車もダメ、トイレも厳しい毎日です。ウンがなかったのでしょう。
話しは変わりますが、沢登りの初体験、こっそりと拝見していましたが、いつもリアリティな描写で綴られているたそがれさんの表現力、毎回ニンマリしながら、「たそがれ節」に魅了させられています。
たそがれさんも気を付けて夏山を楽しんで下さい。私はしばらくは静養です。
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