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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

ある一冊の雑誌に魅せられた晩秋の尾根@品から大平戸山

2014年12月01日 | さんぽ


2014年11月30日(日) 晴れ/曇り

白久駅→三峰線35号→品→地蔵峠→榧ノ木峠→大久保峠→伊豆沢→大平戸山→天狗山→風殿→原町バス停→西武秩父駅

今週は新ハイキングという雑誌の11月号に掲載されていた秩父の低い尾根を訪ねてみた。この雑誌は本屋で時々立ち読みする程度であるが、気になる記事が掲載されていれば買い求めるというものである。今回歩く場所は秋深き山の特集の中に紹介されていたコースのひとつで、「静けさが際立つ錦秋の尾根 品―大平戸山」と題されていて、秩父は両神山の麓の山になる。秩父鉄道は三峰口駅の一つ手前の駅、白久駅で下車した。ここは熊倉山へ登る際にも良く利用している駅である。秩父と奥多摩は酉谷山や天目山、蕎麦粒山などで接しているが、荒川上流の白久と赤平川が流れる小鹿野町の山間はそれほど訪れる登山者も多くなく、静かな山歩きが楽しめる場所だ。この9月には般若山から釜ノ沢五峰を歩いたが、道は整備されていない場所も多く、低山ながら道迷いし易いと思った。今回は送電線の巡視路から尾根歩きに変わり、山仕事の道や峠道が数多く交差する尾根だった。この時季、師走になると秩父路は夜祭りムード一色となる。


<送電線巡視路をたどり>
白久駅を降りて平和橋を渡った。国道140号線を横断して下郷集落へ入る。国土地理院の破線で示されている道を頼りに取り付きポイントを探した。家の外で掃除をしていた方に訪ねたが、ここにはそのような道はないという。その方に断って、念のため家の裏から尾根への取り付きを試みる。しかし、藪がひどく、とても尾根には上がれず諦めた。すると家の中から奥さんらしき方が出てきて、「先日も二人の方が来てましたが、この先の神社の方へ行きましたよ」とのこと。すると何てことはない、しばらく進むと道路の脇にちゃんと巡視路の入口を示す道標を発見した。文字は消えかかっていたが、35の数字が確認できる。これが送電線巡視路の三峰線35号だった。


<遠くに両神山を>
尾根に上がれば次の巡視路、秩父線82号を拾いながら進み、山道は山腹を巻きながら北へと続いていた。この辺りは基本的に植林された杉林で薄暗い道だ。ところどころ雑木林が残るという山域である。樹間からは熊倉山の聖尾根や和名倉も覗くことが出来た。この尾根の最高点は644mで、雑誌によればこの辺りから尾根歩きがはじまっているようだが、そのまま山腹の道を歩き続けてしまった。しかし、途中で藪道になってしまった状況に急きょ尾根に上がる。そこから、終始尾根歩きとなった。


<展望がまったくない品>
このコースで登山者向けの道標を見たのはこの山頂に示された案内板だけだった。やや右の尾根へ行けば文殊峠、左は地蔵峠へと続いている。当初の計画ではここから釜ノ沢五峰を経由してお船観音で知られる秩父札所32番へ下り、その先の般若の丘バス停まで歩く予定でいた。しかし、9月半ばに32番から釜ノ沢五峰は歩いてしまったので、ここは西尾根を経由して小鹿野町の天狗山方向へ行く。


<釜ノ沢五峰への尾根を分け西尾根へ>


<文殊峠のドームを眺め>






<尾根道をただひたすら>
品の山頂から西尾根を下れば晩秋の雰囲気を漂わせる尾根歩きとなった。低山ながらも小ピークがいくつも出てくる。でも、それほど高低差はない。むしろコブと言ったほうが合っているかもしれない。尾根も右に左にと振られる。短い距離の間にいくつもの尾根を乗り換える必要がある。小高いピークでは必ず進む方向の尾根を確認した。一歩間違えれば、直ぐに里の集落へ下ってしまうからだ。そんな感じで、道に迷った場合、その点はエスケープ可能だと思う。恐らく200mも下れば集落へ出られるはずだ。但し、沢があるので下る場合は峠か仕事道の方が安全だと思う。







<大久保峠にある祠>


<伊豆沢の山頂から>
三角点のある伊豆沢の山頂は広く伐採されていた。展望はそれほど良くないが、武甲山、熊倉山、文殊峠辺りが眺められる。眺めると言うよりはむしろ見上げられると言った方が正解なのかも知れない。ここで昼ご飯にする。勿論、辺りには誰もいない。切り株に腰を下ろし、カップ麺にお湯を注いだ。おにぎりを食べながらゆっくりと日光浴ができる。暖かい陽ざしがありがたい。今日は南風が吹いているようだ。半袖で丁度良いくらいである。ただ、雲が広がってきたのが残念だが、これほどの紅葉がまだ楽しめるとは嬉しい限りである。彩りに魅せられた尾根は単独であることを忘れさせてくれる。



<尾根には数多くの祠が点在していた>





<山間の集落>


<落葉の道>





<低山ながら風情を感じる>
そして、こんなところで人に出会うとは思いもよらなかった。今日、はじめての方に出会う。その姿は猟銃を肩にかけ、無線機を装備している。その方も驚いていた様子だった。こんな山を一人で歩くなんて…、と思ったらしい。会話するが、天狗山からの下山道を訪ねた。すると階段を下れば天狗という名前のスナックがあるから、そこを右に曲がれば橋があり、その橋を渡れば町へ出ると教えてくれた。



<天狗山の祠>
猟師の方に説明された階段はなかった。しかし、風殿大橋のたもとには天狗というスナックは確かにあった。尾根を真っ直ぐ進めばその説明された階段の場所へ降りられたのだろうと推測する。そして、ポケットの中にあるしわくちゃなメモ用紙を見てバスの時間を確かめた。原町バス停が近くにあるが、間に合うか間に合わないかの瀬戸際だ。早足で歩き、車道へ出た途端に前からバスがやって来た。必至で手を振り、乗車する合図をした。すると止まってくれたので、急いでバスへ飛び乗る。座席に座り、汗を拭う。バスの中は二名の乗客がいたが、札所参りの帰りなのだろうか、バスの運転手の方から次の霊場への行き方を教えてもらっていた。やがてバスは西武秩父駅へ到着し、夜祭りの準備が施されている街中を眺め、帰路へ着く。低山ながら今日は思いがけない紅葉に満足した一日だった。


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