2014年5月10日(土) 晴れ
樹徳高校大滝山荘→大滝不動→カッコソウ群落→肩ノ広場→仁田山岳→鳴神山(桐生岳)→仁田山岳→椚田峠→カッコソウ群落→コツナギ橋
カッコソウは桐生市周辺の山に自生するサクラソウ科の植物だという。それも、絶滅の恐れがある希少性の高い保存すべき植物らしい。環境省からもそれなりに指定されているようだ。レッドリストの指定から最近では希少植物、種の保存法に選定されたという。詳しいことは分からないが、とにかく絶滅危惧種であり、希少価値の高い花だということは理解できる。それほど貴重な花なら、なおさら見たくなるというのが心情だろう。それも鳴神山にしか咲くことがないとなれば尚更だ。この機を逃してはなるまい。この目でこの鼻で確かめるべく訪れてみたい。理由はともあれ、数年前からこの花の存在は知っていたが、やっと花の咲くタイミングに合わせ、歩くことにした。この辺りの地図はWeb上の桐生市観光案内から取得した。縦走しなければ歩く時間はさほど要しないが、他の山を徘徊するほど調子は良くない。ここはのんびり、じっくり、カッコソウにどっぷり浸かってみようと思う。他にすることもなし、休日は山の空気を吸って元気を取り戻したい。そんな気分だ。
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<大滝不動>
登山口は樹徳高校大滝山荘から登ったが、この周辺には駐車場がない。山荘前にりっぱな駐車場はあるが、ここを利用することはできない。何故なら本校以外の方の駐車はご遠慮下さい、という趣旨の看板が建てられているからだ。しかし、心配ご無用だった。所々に路駐出来るスペースがあり、朝、到着してみれば数台が既に停まっていた。そして、身支度終えて、宇都宮から来たという方と那須の山の話しをしながら歩き出す。
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<大滝>
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<初夏を感じながら>
登山口で那須の山の話しをされていた方はカシャカシャっと大滝を写真に収め、大滝不動からサッサと登って行く。その点、こちらは立ち止まって、キョロキョロ、何か目ぼしいものがないか探しながら歩いた。山道は山仕事の道なのだろう、車一台が通行できそうな林道を登って行く。歩き易いその道も次第に細くなり、しまいには沢筋から、石がゴロゴロしたカラ沢に変わる。この頃になれば、辺りは浅い緑に被われ、爽やかな風景に変化した。それまでは植林された杉林の整列された景色を眺めるだけだった。しめ縄が張られた水場を過ぎればカッコソウが咲く場所は近い。
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<エイザンスミレも>
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<肩ノ広場下のカッコソウ群落地>
ひっそりとした場所にカッコソウが咲いていた。群生しているとまでは言えないが、それなりの広さに点在しているようだ。写真で見ていた花なので、はじめて見たという感じはない。周りはロープで囲ってあり、踏み荒らされないように保護されている。人盛りがある場所は花が咲いているようだ。立ち去った後に近づいてみる。
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<肩の広場(雷神岳神社)にて>
ここに来て、山道が二本になった。一方は仁田山岳、もう一方は桐生岳である。さて、どちらへ行こうか、地図にはない山名が表示されている。困った。悩んでもはじまらない、ここは誰かに訪ねるしかない。とは言っても誰もいない。しばらくは、パンでも食べながら待つことにしよう。そうこうしていると駒形登山口から上がって来たであろう方に訪ねた。「地元の方ですか?」、「仁田山岳と桐生岳とありますが、これはどこの山ですか?」と…。「ここははじめてなのでわかりません」が返事だった。三人の方に聞いたが、明確な返事は得られないまま、今度は団体さんがペチャクチャしながら上がって来た。その団体を見送って、団体とは違う仁田山岳の方角へ進んだ。こちらは花も咲いている。それに静かだ、という理由で登って行く。
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<ミツバツツジ>
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<第一展望台より赤城山>
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<ヤマツツジ>
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<仁田山岳>
どうもここは四方八方に道があるような感じだ。踏み跡が至る所にある。ロープが張られ、行き止まりの場所もあったり、頭の中はグルグル回っていた。カッコソウをお目当てに次の群生地へ歩き出すにも、どちらへ行ったらいいのかわからない。確か、記憶では「??峠」であったような気がする。道標には「座間峠」とあるが、こちらでいいのか不安になった。そして、座間峠方向から数人のハイカーが歩いて来たので、おそらくそちらに群生地があるのだろうと、座間峠方向へ向かう。時間もあるので間違ったらまた引き返すことも視野に入れていた。
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<新緑が映えて>
待てよ、どうもスッキリしない。仁田山岳という山頂はあったが、鳴神山がない。まさか、下って峠を登り返して、向うの山が鳴神山にしてはおかしい、下りながらそう考えた。そして、鳴神山は双耳峰だということを思い出した。もしかして、鳴神山を巻いて来てしまったような気がしたのでまた戻ることにした。
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<鳴神山>
やはりそうだ、仁田山岳へ行ってしまったので鳴神山は巻いていた。それに桐生岳なる山はここだ。どうも鳴神山と桐生岳は同じ山だった。これで、納得した。山を歩いていて良くある事だが、地図には記載されていない事がたくさんある。現地へ行ってみなければ色々分からない。
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<桐生市方面>
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<袈裟丸山を>
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<男体山も>
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<いろいろ見えるみたい>
鳴神山の山頂には数人が休憩中だった。季節がら遠望は利かないが、それなりの山が眺められた。なかなか見晴らしの良い山だと思う。今朝は風も強かったが、ポカポカ陽気になり、暖かい。のんびりと早飯でも食べたいが、ここでもペチャクチャうるさいので次のカッコソウ群生地へ歩き出した。
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<ヒメイワカガミ>
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<椚田峠へ下って>
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<次のカッコソウ群落地で>
良かった、さきほどの団体さんがいない。静かな雰囲気で貴重な花が楽しめそうだ。鳴神山愛する会の方だろうか、群生地には保護にあたっている方がいた。この時季になるとたくさんの方とお話しが出来るので、それが嬉しいという。伺えばここ数年、突然これだけ咲き出してきたのだという。以前はそれほど咲かなかったようだ。地元の方だろうか、コツナギ沢から次々にこの花をお目当てに上がって来ている。話によれば、『環境省のレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されているカッコソウが見頃を迎えています』と、NHKで放送されたようだった。
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<ヒトリシズカも>
しばらくは群生地で時間をつぶしていた。だいたい、30~40分位はいたと思う。時計を見れば昼時だ。ここで食べるわけにもいかず、下山してから食べることにした。
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<コツナギ沢を下って>
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<ヤマブキソウ>
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<初夏を感じながら>>
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<庚申塔>
爽やかなコツナギ沢を下って来た。日差しも強く、初夏を感じる季節になってしまった。テクテク舗装道路を戻ったが、路駐されている車がたくさんあった。空いている場所もあったが、小型バスまでもが駐車されていた。この花を一目見ようとやって来たのだろう。そう言えば、ヤマブキソウが咲いていた辺りで、何も持たずに普通の格好して、冥土の土産にカッコソウを見に来たという老女と行き交った。やはりNHKのテレビを観てやって来たらしい。その他にもスニーカーで歩いていた方がいた。以外にも花がたくさん咲いていた鳴神山、カッコソウ意外でも花の多さには驚きだ。帰りは運転しながらおにぎりと柿の種を食べ、コンビニでアイスクリームを食べて、ドライブ気分で帰宅する。そして、家に着けば一仕事する時間があったので良かった。思えば、あのカッコソウを保護している方の「遠くから、ありがとうございます」、という言葉が印象的な一日だった。
金曜日に満開だとNHKで報道しておりました。人手はその影響があるかもです。
私が先月末に鳴神山に行った際、見ごろは5月末とのことでしたが、ちょっと早まったみたいですね。
仁田山のツツジ、まだ残っていますね。もう消えたかと思っていました。意外に強い花ですね。
初めての山域だと、確かに、こう、鳴神の案内がなくて違う名の山の案内板があったりすると面喰いますよね。
それでいながら、あんぱんさんも見るべきものはしっかりと見ていて、さすがですよ。
そうなんです。面食らいましたよ。突然に鳴神山が無くなって、知らない山名の仁田山岳と桐生岳が現れたもんで、キツネにつままれたみたいでした。それにしても、花がたくさん咲いていて、楽しかったです。カッコソウを保護している地元の方のお話し、とても親近感を覚えました。
やはり椚出から東へ下った暗い植林の中の栽培地で念願のカッコソウにお目見えできました。
たまたま地元の保存会のメンバーに出会い話を聞かせてもらいました。
それによるとバイオ種でカッコソウの復元を進めているようで、それでも盗掘の被害があとを絶たないそうです。
さらに深刻なのがナルカミスミレで、これこそ姿を見なくなり、絶滅に瀕しているそうです。
私ももちろん見ることができなかったのですが、今でも事情は好転していないのでしょうか。、
便宜上桐生岳を鳴神山と表示していますが。
別の例で言えば、赤城山は赤城山というピークはありません。山全体を指します。その中にいくつかピークがあり、黒桧山、地蔵岳などがあります。
このようなケースは多いので慌てないでください。
色々な山へ登られているご様子。それになんでもご存じで、驚いています。また、何かありましたら教えて下さい。しかし、盗堀して持ち帰って、家で栽培しているのでしょうかね。自分さえよければいいというお考えの方達なのでしょうか。今の子供達が大きくなったとき、カッコソウが辺り一面に咲いているといいですね。
ありがとうございました。