【 保護犬:ハッチ日記 】

成犬の保護犬、里親日記

【 羊に名前をつけてしまった少年 】

2018-05-19 | 雑記
先日、師匠に薦められた本を読み終えた。
【 羊に名前をつけてしまった少年 】 樋口かおり

物語の舞台は、主人公のエイジが通う、北海道の農業高校。
二月、羊の誕生から、物語は始まる。

農業高校の羊舎で産まれた、三つ子の羊。
その一番最後に産まれた「№8」という虚弱な羊と
その成長を見守るエイジの話だ。

季節は三月、四月、五月…と、過ぎていく。
虚弱ながらも懸命に生きようとする№8。
エイジの愛情に応えるかのように、甘える№8。

けれど、物語は八月で終わってしまう。
なぜ、八月で終わってしまうのか?

ペットではない羊は、家畜だからだ。
エイジの苦悩と葛藤と、家畜の最期の姿。
家畜は、ペットじゃない…。

この本を読み終えて、自分が食べてきた「食」について、
命を頂いてきたことについて、申し訳ない気持ちにも
なったのだけれど、
でも、やっぱり、これからも他の命を頂いて生きていく…
だから、せめて感謝の気持ちを持って
当たり前のことだと思わない、と、心に決めた。
とても、考えさせられた本だった。

この本は、とても読みやすい文章で、
作者の樋口かおりさんは、高校の国語教師だそうだ。
実際に農業高校に教師として赴任し、
育てた子羊が枝肉になって戻ってくる畜産実習から
この物語の着想を得たそうだ。

【 羊に名前をつけてしまった少年 】読んでみることを薦めます。