毎日が山のこと

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夏の苗場山(2014年8月13日~14日)

2024-07-04 08:47:24 | 東北・新潟の山

10年前の8月に山仲間5人で苗場山に登った。

苗場山は新潟と長野の県境にあり、一時期登ってみたい山ナンバーワンに輝いたこともある人気の山だ。

山のサイトを訪問される方ならかなりの方が登っているのではないだろうか。

なんといっても山頂台地の広大な湿原がすばらしい。

この時は、車1台に5人を詰め込み、かぐらスキー場のかぐらゴンドラの山頂駅より手前にある駐車場から出発した。

 

かぐらメインゲレンデの中間にあるレストランの近くが駐車場になっていて、トイレも設置されている。

ここからゴンドラ山頂駅まではゲレンデの中の道を歩くこともできるが、私たちは登山道を使った。

でもゲレンデを歩いたほうがよかったかもしれない。

足元が赤土で湿っているところもあってあまり歩きよくはなかったのだ。

 

なかなかきれいなヤマアジサイが。少しくらいじめついていてもその分きれいな花に出会えるといわけだ。

 

今回はこの5人のメンバー。もちろんカメラマンの私は写っていない。

 

途中にオカトラノオの大群落があって、これまたたくさんのヒョウモンチョウが蜜を吸っていた。

こんな光景は初めて見た。

さっきはゲレンデを歩いた方がいいと書いたが、そうしたらこれはみられなかったかも。

 

出発から30分ほどでゴンドラ山頂駅のそばにある和田小屋に到着。

ゲレンデを見下ろしながら一息いれた。

スキー場は木を伐り開いて自然をこわすものだが、見晴らしがよくなる点は捨てがたい。

 

ここから本格的な山道となり、大きな岩も目立つようになってきた。

このときなんと驚くことに私のすぐ後ろを歩いているメンバーは片足にギブスをはめて杖をつかっていた。

足首をねん挫したそうだ。それでも普通に歩いていたからたいしたもの。

登りはそれほど苦労しなかったようだけど、実は下りはかなり歩きにくそうだった。

 

登山道はスキーゲレンデから離れて山の斜面をななめに登っていく感じ。

立派なブナが姿をあらわした。ブナは幹も葉もなんとなくやわらかく感じるので好きだ。

 

ゆったりと幅の広い尾根筋にでると夏の花が姿を見せ始めた。

かなり雪の多いここでは尾根筋でも湿原みたいに湿っていてキンコウカが咲いていた。

 

標高1682mの下の芝のベンチに到着。

薄曇りで直射日光はないのだけれどもやはり真夏は暑い。

みんな水分補給。ここでお昼にした。

 

さらに標高で約200mあがって中の芝のベンチでまた休憩。

湿原植物とまばらに生えている針葉樹のおりなす気持ちのいい景色の中の木道を歩いて少しづつ高度をあげ、2000mの県境稜線へとむかう。

神楽ヶ峰から小松原湿原へとのびるこれもゆったりした稜線を南に進み神楽ヶ峰(2030m)をこえる。

 

ウツボグサのむらさきの群落がなんだか夢のよう。

 

神楽ヶ峰をすぎるとようやく苗場山の本体が見えてきた。

夏の雲がわきあがり、すっきりとはみえない。

 

いったん苗場山との鞍部へとくだり始めるが、そこに水がこんこんと湧き出していた。

 

雷清水だ。冷たい水でのどをうるおし、一服いれた。

ここで山小屋で使うための水を補給していくといい。

私たちも泊まった苗場山頂ヒュッテは雨水をろ過して飲み水にしている。

私たちは自炊だったのだが、自炊の水も有料だった。

私は泊り客の自炊分くらいはもらえるのかと思っていた。

だからここで2リットルくらいいれておきたいところだが、これから急登があるので重荷はつらいけど・・・

 

鞍部はいろいろな花がたくさん咲いていた。カワラナデシコ。

 

リンドウはつぼみを固く閉じていた。

 

シモツケソウなど。

 

花々でいろどられた斜面の道を苗場山をとりまく急崖へとむかう。

 

いよいよ最後の急登だ。疲れてしまったメンバーを叱咤激励。

いやいや叱咤はなし。やさしく励ましただけ。

 

ようやく山頂台地に抜けた。

 

少しガスっているけど広々とした湿原が広がる。山頂ヒュッテも見えてきた。

 

池塘のあいだに続く木道を山頂へとむかう。

 

ようやく苗場山山頂に到着。山頂といっても広い台地の少し高くなったところ。

標識がないと気が付かないかも。

その日は、すぐそばにある山頂ヒュッテに泊まった。

 

翌日も同じような天気だったけど、5時には一人で外に出て写真を撮った。

 

少しづつ明るくなってきた山頂台地を取り囲むように流れる雲の向こうに山影が見えている。

 

大きく深呼吸。見晴るかす湿原の背の低い針葉樹のあいだに池塘が白く光っていた。

 

朝露を含んでゆれる花々と小さな池塘。

静かに風が流れる中を一人で散歩する。

 

ヒュッテの近くの台地の縁まで行ってみた。

流れる雲の間から、すぐ近くにピラミッドのような三角形の山が見えた。

なかなか荘厳な雰囲気で、北アルプスの剣岳がみえているのかと思ったほどだった。

こんなに間近に見えるはずはないので、たぶん西隣、秋山郷の向こう側にある鳥甲山だと思う。

 

朝食をおえて、みんなで湿原散策に出発。湿原の中央部にある苗場神社まで往復した。

 

南にむかって少しづつ高度を下げながら広がる山頂台地。

朝早くに流れていたガスは消えて見通しはよくなっていた。

広がる湿原の向こうには雲に隠れているけど南にある佐武流山らしき山影がみえている。

 

湿原植物のイワショウブがきれいだった。白く輝く湿原の線香花火。

 

もう8月半ばなので湿原の花を楽しむには少し時期が遅いのかもしれない。

 

文字が彫られた石塔がたくさんあった。

昔々に登った人々が信仰のために担ぎ上げてきたものだろう。

 

そしてそのそばに苗場神社の小さな祠が。

小さな祠は、年とともに古びて壊れ、また地元の人々によって新しくされて受け継がれてきたものだ。

 

イワショウブの群落。

 

こちらはキンコウカの群落。

 

9時半ごろには湿原歩きを終えて登ってきた同じ道を下山開始。

ギブス付きの人もいて下山もかなりゆっくり。

なにせ足首が固定されているのだから、下りの段差は上りよりもずっと歩きづらくなる。

午後4時すぎようやく車に戻ることができた。

 

苗場山、ほんとうにいい山だった。また行ってみたい。


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