アルバニトハルネ紀年図書館

アルバニトハルネ紀年図書館は、漫画を無限に所蔵できる夢の図書館です。司書のWrlzは切手収集が趣味です。

「赤マルジャンプ」2009WINTER(少年ジャンプ特別編集増刊)

2009-01-14 | 読書
 
秋本治『KAKIMARU』目当てに「赤マルジャンプ」買いました。
ただ、『かきまる』が載ってるのは雑誌の一番後ろ。私は雑誌は必ず最初から順番に読むので時間がかかるんだな。新人の作品がやたら沢山載ってて余計読むのに時間かかります。

巻頭カラー麻生周一『三上少年探偵ファイル』
これうけた(笑)
何この当たり前のように進行する理不尽な探偵物(笑)
このギャグセンスは貴重ですよ。

青戸成『WATER DRIVE』
作者が平成3年生まれ。という事はこれ描いた時まだ17歳か18歳。
ちょっとビックリしました。上手いです。枚数はやや多いけど「WR(ウォーターレース)」という架空の競技の設定をすごく自然に無理なく作品の中で説明できてます。
勢いがあります。少し乱暴な点が目立つのと、女の子があまり可愛くないのは気になりましたが。出てくる女の子キャラは実質的にアヤ姉一人だけなんですが、ヒロイン的扱いなのでもう少し可愛ければとは思いました。

鷹嶋大輔『幻想妖怪譚ハオリセンコウ』
49枚使用して描いてるのは「人間と妖怪の絆」だけ。妖怪の姿が見えて、ケンカして、友達になり…という展開を楽しめれば良いんですが、私はなんか読後に残る物があまりありませんでした。
展開もやや雑です。

田中靖規『鍵人(カギジン)』
初めて読む作家さん。絵が綺麗。
鳥の燕に憧れる主人公・ツバメ、奴隷の少女・チルダ、彼女を追う帝国。
鍵人であるツバメの冷酷さと優しさが良かったです。
「ノド渇いたっ!」と嬉し泣きするラストのチルダが可愛らしい。

おいかわ昇太郎『アグリ』
受賞2年後に描かれたデビュー作。「2年後」に描いたのか「2年かけて」描いたのかは分かりませんがとにかく時間をかけて丁寧に描いてるのが伝わってきます。
センスがいい。テンポがいい。作者プロフィールに鳥山明作品が好きとあったけど良い意味で影響を受けてるのを感じます。
旬の「偽装(食品の)」を軸に大企業の不正を絡め、読んでいて清々しい気持ちになれる作品に仕上がってます。
「この雑誌買って良かった」と思いましたよ。

沖田修治『GRAND SLAM』
小学生の時に相手チームの四番打者にデッドボールを喰らわせ再起不能にしてしまったのがトラウマになっている主人公が、廃部に追い込まれている野球部の存続をかけて戦うスポーツ物。
49枚で「野球が好きか」どうかを中心に据えて巧くまとまってます。
一回限りの読み切りでスポーツ漫画というのは案外難しいと私は思うんですが、その意味でも面白かったです。

肥田野健太郎『惑星オートマトン』
なかなか密度の濃いSFです。程良く描き込まれた背景と愉快な空気で読みやすいです。
人造人間に兵器ではなく「人間として生きて欲しい」という願いを未来に託すというありがちなパターンですが、少年漫画の正道でしょう。
絵は上手いです。

根田啓史『死にかけ戦士!! 痩身マン』
超虚弱体質なヒーローのギャグです。作者1983年生まれ。
担当の編集さんが「どんなにボツを出しても」とコメントしてますが、19枚のギャグを何度も描き直して完成させたんでしょうね。細部まで練って仕上げたという印象です。
かなり笑えます。ただしギャグ漫画で読み手に「一所懸命描いた」というのが伝わってしまうのはマイナスです。漫画家が一所懸命描くのは当たり前、でも一所懸命に描いた作品かどうかという事は読者には関係ないと思うのです。

ワイトアール『罪を知れ!!』
法律オタクの中学生が、特異体質の女の子が夢に見た殺人事件を暴くお話です。
個性的ですごくいい。『アグリ』と甲乙つけがたいです。
絵、題材、謎解から最後のどんでん返しまで文句の付けようがない。
キャラクターの表情や背景にも魅力があり、49ページという枚数を意識させられずに一気に読めました。展開がすごく上手い。

古館春一『アソビバ。』
一冊の本=物語の綴り手になるというお話。クリエイターが居る本は無法地帯ではない。
"おしまい"が嫌いな主人公はラストに「つづく」と綴る。「パターン」としてどこかありがちではないでしょうか。

藤木優『SACRIFICE』
これは漫画賞受賞後に描かれたデビュー作ではなく、入選した投稿作がそのまま掲載されてます。
植物が姿を消し、酸素が「つくられている」近未来のSF。
絵は上手いと思います。トーンなしでここまでの画が創れるのならいっそ徹底して、スクリーントーンの使用をゼロにしてしまっても良いかもしれません。
お話の方は…結局生きるためには何かを「犠牲」にしなくてはならないのかというもので、中途半端に描くとちょっと陳腐に見えがちなのが残念です。

しんがりが秋本治『KAKIMARU』
扉カラーの31P時代劇。
んー…微妙(笑)
父を亡くし幼くして城主となった泰平の若君。
「『こち亀』の作者」という先入観がどうしてもあるので「なぜ秋本先生はこれを描きたかったの?」というのが私にはよく分かりません。
絵のタッチも劇画風にして、背後のその他大勢のキャラクターもアシスタントではなく秋本先生が自分でペン入れしてるのでとにかく描きたかったお話なんでしょうが…。
「強く生きろ」「周りに惑わされるな」
そういうお話で、幼い城主・光将も可愛らしいし漫画として申し分のない面白さです。
でも何故「恐竜」なんだ?
5回くらい読んでも分からん(笑)
秋本先生はコメントに「以前より描きたいと思っていた異色時代劇」と書いてるけど…うーん、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』と『Mr.Clice』しか読んだ事ない私の先入観でしょうか。
ベテラン作家が新境地を拓くのは大変だ(笑)

袋とじの中は『ぬらりひょんの孫』『トリコ』『PSYREN』『SKET DANCE』『ToLoveる』の番外編です。

まあ買って損はないです。


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2 コメント

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Unknown (Jing*3)
2009-01-14 20:12:24
へえ、時代劇なんですか、秋本先生のは。
自分でモブまで描いてるって、かなり気合が入った作品なんですね。
何かに収録されるといいのですが…。
返信する
でも「恐竜」(笑) (Wrlz)
2009-01-14 20:33:06
>Jing*3様

ベタ等の単純作業や背景のお城以外、かなりの部分を秋本先生が自分で描いてますよ。
「以前より描きたいと思っていた異色時代劇の読切です。」とのことです。
でも何故「恐竜」が出てくるのか分かりません(笑)

それはそうと、『こち亀』の総集編みたいな雑誌も売っていて、そっちは買わなかったんですが読んだことない話が一作載っていたのでそれだけ立ち読みしてきました。
部長がレコード針を買いに秋葉原に行き「萌え」る話です(笑)
第150巻の一覧で見つからなかったので第151巻~第162巻の間だと思います。
今度探してみます。
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