千三句集（２１７）

金婚式妻抱く力なかりけり
　富翁

千三句集（２１６）

百日紅赤い夕陽がそのままに
　富翁

千三句集（２１５）

移ろいて明日は銀杏の散る日かな
　富翁

読書の冬

涼気から 寒気にいたる 聴こえるは
机に肘立て ページを繰る音
忍れど と書き始めたる そのときに
忍ぶ恋無し 物憂いこそ有り
陽の落ちる 早きこと見る 夕焼けに
忍ぶ思いを 三十一にこそ
安楽

晩秋の朝

朝の陽に映える紅葉の美しさ

はらはらり落ち葉舞い散る朝の道

朝焼けにくっきり浮かぶ筑波山

先輩

千三句集（２１４）

黄金の千両小判銀杏散る
　富翁

初冬、近頃

春思わす 暖気埋まる ベランダに
冬の花 スミレ薔薇など 咲きいそぐ
冬照らす 余後の人生 母笑う
戯れる 浮塵転変 母が見る
後少し まだ少しとは 言えるうち
安楽

千三句集（２１３）

曼珠沙華人を呪わば穴二つ
　富翁

寒い朝

雨戸開け空に輝く月と星

先輩

千三句集（２１２）

昼酒の人を横目の鰻めし
　富翁

千三句集（２１１）

濁り酒独り呑む人清い人
　富翁

コーラス観賞

歌い手の名前でわかるその時代

色の歌色気をみせずさわやかに

友情は年をかさねて強くなり

つねお

千三句集（２１０）

（皆で鯵の押し寿司を買った日）
あの人も押し寿司食うか秋の夜
　富翁

冷え冷え

体操を しながらブルブル やんなっちゃう
真夏には 早めに切り上げ 変わらんな
四十度 落ちて三度の 骨痛む
簡単に 伸縮自在と なりませぬ
安楽

千三句集（２０９）

月明かり土手にすすきの二三本
　富翁