タオスで彼の本を、特に『海とサルディニア』[1921年、イタリア・サルディニア紀行]、『亀』[1921年詩集]、『鳥、獣、花』[1923年詩集]を読んだとき、こう思ったのを今でもよく憶えている―「ここにこのタオスの土地とインディアンのことを本当に見ることができ、それをあるがままに本のなかに生き生きと描き出せる唯一の人がいる」と。というのも、タオス[ニューメキシコ州のプエブロ・インディアンの住む土地]には世界の夜明けのような、なにか驚嘆すべきものがあったからだ。ロレンスはやってきたとき、それをいつも原始的と呼んでいた。彼のなかの一つのことについて、わたしの直感に狂いはなかった、まさしく彼は見、感じ、驚嘆することができる人だった。
『海とサルディニア』を読んで、わたしはロレンスにタオスにくるようにと書き送った。あの本こそは、紀行のなかでもっとも現実的な本の一つだと思う。なにしろ、あの彼独特の奇妙な書き方で、彼はゆくさきざきの土地の感触と匂いをみごとに伝え、それで土地の実体と本質が読む者のまえに啓かれ、ひとはじかにその土地のなかに足を踏み入れることができるのだから。
「タオスのロレンゾー」メイベル・ドッジ・ルーハン著、野島秀勝訳 法政大学出版局1997年
富翁
『海とサルディニア』を読んで、わたしはロレンスにタオスにくるようにと書き送った。あの本こそは、紀行のなかでもっとも現実的な本の一つだと思う。なにしろ、あの彼独特の奇妙な書き方で、彼はゆくさきざきの土地の感触と匂いをみごとに伝え、それで土地の実体と本質が読む者のまえに啓かれ、ひとはじかにその土地のなかに足を踏み入れることができるのだから。
「タオスのロレンゾー」メイベル・ドッジ・ルーハン著、野島秀勝訳 法政大学出版局1997年
富翁
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます