Natural Mystic ~ナチュラルミスティック~

There's a natural mystic blowing through the air

エアバッグ

2009-03-28 23:32:42 | Weblog
数年前、損害保険の研究所で働くバイク仲間である知人にちょっとした用があり職場を訪ねたときのこと。折角なので色々研究所内を案内して貰ったことがある。特殊な機械で自動車を衝突させて衝撃の分析をしたり、またそれで凹んだ車体の傷の程度を調べたりと様々な実験をしていた。

そんななか、エアバッグの爆発実験を見せてくれるという。事故の衝撃から乗員を守るというこの『エアバッグ』、なぜ『爆発』という言葉を使うのか疑問であった。折角なのでエアバッグの仕込まれたハンドルの前に立つと知人は危険なので前に立たない方がいいという。いささか矛盾を感じながら2mほど離れると知人はハンドルにから伸びたコードが繋がるバッテリーのある箇所へ行き、電極棒を持ちながら秒読みを開始した。知人のサービスを大げさに感じながらも眺めていると、

「4!3!2!1!」

バンッ!!

激しい音とともに一気にエアバッグがまさに爆発するように飛び出した。その後焦臭さも漂った。
知人が言うにはエアバッグはSRSと呼ばれているがこれは、Supplemental Restraint Systemの略で、「補助拘束装置」の略称であるとのこと。シートベルトに対する補助拘束の意味で、車が衝撃を感じてから0.02秒までをシートベルトで抑え、0.03秒までに膨れあがるエアバッグで衝撃を吸収するそうだ。さらにサイドエアバッグ等も装着してあれば事故の程度が軽くなる可能性が格段に上がるとのことであった。

知人が言うには不思議なモノで事故にあってエアバッグに助けられた人でこの激しい爆発音を覚えている人は一人もいないそうだ...。

先日、近所のオートバイのパーツ屋へ行った。2年乗っていなかったオートバイは何の問題もなく仕上がったとの連絡をバイク屋から受けたが久々に乗るのでちょっとした小物を買いに行ったのだ。店内をうろついているとジャケットコーナーにエアバッグの文字を見つける。噂には聞いていたがバイク用のエアバッグらしい。店員さんに説明を求めるとジャケットの中にエアバッグが仕込まれていてジャケットから伸びたワイヤーの一部をバイク本体の一部分に引っかけるとのこと。事故等でバイクから放り出された際ジャケット内に仕込まれた炭酸ガスがワイヤーに引っ張られジャケットが一気に膨らむとのことであった。店員さんはデモ用のジャケットを取り出し私に装着を勧めた。言われるがままに羽織ってみると店員さんはおもむろにワイヤーを手に取りこういった。

「いいですか、引きますよ!」

ブシュー...!





爆音はなかったがジャケットの胸と背中が瞬く間に膨らみ、まるでカヌーやカヤックのときに使うライフジャケットを羽織っているような感覚になった。ライフジャケットと違うのは腰椎と頸椎の部分も大きく覆われる点であった。腕の部分の変化はなく、この部分は守られないとのこと。価格は3万円程度。この価格は普通のジャケットと大きくは変わらない。バイクの場合放り出されると後は運のみであるがこれで大きな事故を免れたという報告が多く、そのため需要も増え値段も下がってきたとのこと。現在使っているジャケットが勿体ない旨を伝えるとその上に着こめるベストタイプを勧められた。白バイ隊はこのタイプを使用しているという説明であった。その気はなかったが安全性と決算セールの10%オフに惹かれて購入してしまった。

まあ、あくまで保険と言ったところであろうか...。

余談だが、ワイヤーをバイクにつけたままバイクを離れようとした場合、エアバッグが拡がることはなく自分の体が引っ張られるため気づくとのこと。小型のスクーター程度の物であれば逆にバイクが倒れるそうだ。ある程度以上のスピードで放り出されない限り拡がることはないように出来ているらしい。