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高樹のぶ子のSIAブログ

2009年12月15日 / インドの想い出

結婚式のガスライトマン

これまでのきらびやかな結婚風景に、ガスライトマンの写真を加えます。
前にも書きましたが、このライトは鉄のかたまりで、かなり重そうです。
二十人ほどもいたでしょうか。


白馬の花婿や鼓笛隊を囲むように、彼らが明かりをともして随行します。
結婚式参列者と比べて、小柄で痩せた男性が多く、ライト用にそういう
体格の人を集めたのかと聞きましたら、インド専門家は「いえ、カーストの
下層の人たちですから」とのこと。


あまり多くの説明はされませんでしたが、何世代もの食生活の差があるの
だろうかと思ったものの、本当のところはわたしにも解りません。
花嫁や花婿、その家族を比べると、確かに背も低いし、太ってはいないけれど、
肌の色も褐色が濃くて、引き締まって見えました。
単に民族的な問題かも知れませんが、いきなり「多様なインド」を体験しました。


インド人の80%はヒンドウ教、20%弱がイスラム教、そしてごく少数が
シーク派やゾロアスター教やジャイナ教です(正確な数字ではありません、
ごく大雑把にです)


この結婚式はジャイナ教の一家だと聞きました。


カーストはヒンドウ教の考えが基本に在るようですが、他の教徒もカーストの
考えから抜け出してはいません。これは「考え」ではなくてむしろ「体質」の
ようです。


仏教やキリスト教は、階級差別構造からは比較的自由なようですが、インドの
大地に暮らす以上、なんらかの「階層意識」を受けているように思えます。


この点は、専門家による認識も、統一されてはいないようです。
そもそも、インドの中で都会と地方では異なるし、どんどん変化している部分と、
変わることのできない部分がある。


一応、政府などが様々な数値を発表しているけれど、「誰がどうやって数えたのだ」
と言います。戸籍も整ってはおらず、国政調査も出来ない。国民の数についても、
「誰がどうやって数えたのだ」


カーストという言葉は、日本でも知られていますが、ジャーテイという言葉は
あまり一般的ではありません。ジャーテイは数千もある「職業区分」「職業別の
差別構造」でもあります。併せて「地域や村の区分」でもあります。
カーストとジャーテイの関係も、専門家が様々な議論を交わしているところで、
ここに簡潔に書けるようなものではありません。ふううう・・大変です・・


ともかく細部にわたって、上層下層の意識があるのは確かです。


カーストやジャーテイに関しては、「誰が語るか」でも、様相が違ってきます。


もちろん政府や警察や官僚組織の公的見解は、「差別は違法」です。
法的には、カーストもジャーテイも存在してはいけないものです。


大阪大学の高橋明先生(今回の短編を日本語訳してくださった)の言葉が
蘇ってきます。
・・・カーストはシステム(法)ではない。システムなら法を変えれば変わる
けれど、もっと深い問題です・・


ところで、今週の土曜の午後、以下のようなサイン会を行います。
よかったらお出かけください。一応15時までとなっていますが、早めに
切り上げる可能性もあります。
風邪が流行っています。みなさまお大事に。


高樹のぶ子


***************
(紀伊国屋書店のサイトより)

12月19日(土) 14:00~15:00


■会場 紀伊國屋書店新宿本店 9階特設会場


■参加方法
 ◎紀伊國屋書店新宿本店1階文学カウンターにて、対象書籍のいずれかを
 お買い上げの先着合計30名様に整理券を配布いたします
 (お電話でのご予約もお受けいたします。 イベント当日までに書籍を
 お買い 上げの上、整理券をお受け取りください)。


【サイン会対象書籍】
・『マイマイ新子』(新潮文庫、税込540円)
・『マイマイ新子』(マガジンハウス、税込1,680円)
・『甘苦上海1 夏から秋へ』(日本経済新聞出版社、税込1,050円)
・『甘苦上海2 火から迷へ』(日本経済新聞出版社、税込1,050円)
・『甘苦上海3 夜から魔へ』(日本経済新聞出版社、税込1,050円)
・『甘苦上海4 悲から艶へ』(日本経済新聞出版社、税込1,050円)


■お問合せ 代表|03-3354-0131(10:00~21:00)

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コメント
 
 
 
葡萄酒とアーリア人 ()
2009-12-15 18:14:04
現在のインド基盤を造ったのは紀元前1000年位に、北から侵入した白色人種のアーリア人だったようですね。
アーリア人の概念は人種の特定が不能のようですが、今のイランの発音はアーリアの発音から、ペルシャの国名から変えたのですから、イランとインドの特権階級の白色人種は、兄弟のように近いようです。
しかし幾ら高貴な階級とは云え、武蔵丸関のような体つきは、貧乏性に感じてしまい苦手ですね。

インダス文明を繁栄させた浅黒い人種は支配下に入り、下層階級に組み込まれたようです。

ところで昔、葡萄の語源を調べた時に、ペルシャからインドにかけて住んでいたアーリア人のヒム族(?)が使っていた「budaw」の発音が由来とのこと。
この「budaw」が葡萄か葡萄酒の、どちらを指すのか諸説が有りますが、中国には「ぶどう」の発音で伝わったそうです。

ただあちこちの資料には一様に葡萄の原産地は、イランから今のウズベキスタンとの記述が有りますが、これらは全て間違いで、ある品種系の葡萄の原産地というだけです。

世界の全ての葡萄の原産地は、アフリカ北東中央部であるのは、遺伝子追跡検査で判明しています。
アフリカで葡萄が発生して、鳥類が世界に分布を拡げ、葡萄がその地域に順応進化した歴史です。

インダス文明を繁栄させた有色のインド人は、アフリカから来た可能性も有りますね。

ところでインドとアメリカは時差が12時間の関係で、24時間の情報ビジネスが連続稼動できる、
都合が好い国はインドである、と聴いたことが有りますがこれいかに?



 
 
 
結婚式でもらい泣き (しづ)
2009-12-15 21:44:50
主にコールセンターのアウトソーシングが取り上げられていましたが、英語が話せて、人件費も安いので、アメリカやイギリスの会社がコールセンターをインドに設立している、というテレビ番組を見た記憶があります。

話は変わりますが、学生時代、結婚式場でアルバイトをしていて、感動のあまりもらい泣きしてしまったことがあります。
このお写真のライトマンの方々はそんなことなさそうですね…。
体格の差が、出身部族の違い、食生活の違い、属する階層の違いなど様々な背景を示しているようにも思えます。
根強く残るカースト社会を思います。
 
 
 
強く残る法曹界のカースト制度 (浜田英季)
2009-12-16 06:52:33
インドに限らず、日本の法曹界(特に保守王国・山口)の法曹界は完璧にギルド化され、それの結果「カースト制度」が根強く残っています。特権階級の政治家、弁護士、医師、〇〇商工会議所、〇〇青年会議所、ライオンズクラブ、ロータリークラブの利益が優先されます。法曹界に詳しい高樹先生なら、既にお気づきのはずです。これが、先生がご自身が投げかけられた「2007年6月30日付記事」の答えです。この記事の存在に、もっと早く気がつくべきでした(今からでも遅くない!)

先日、二日に亘って「マイマイ新子と先年の魔法」の片渕監督と、防府のロケ地観光ツアーをやってきました。マニアックなアニメファン、や高樹先生のファンが、全国から70名の人たちが参加しましたよ!その日一日、「怪しい集団」が防府の町を練り歩きました。
 
 
 
カースト (sae)
2009-12-16 09:53:39
やはり、インドを語るのにカーストの存在は無視できませんね。南方系のドラビタ人を北方系のアーリア人が駆逐したことに端を発すると、中学校の歴史の時間に習ったように思います。
カーストを安易にたとえに使うことには強い違和感を覚えます。
インドに進出した企業の駐在員を務めた人が、社員のカーストやジャーティに関する意識を、どこまで払拭し、どこから尊重するかの加減にたいへん苦労したと語っていました。外資系企業だけに門戸は広い。だけど、加減を間違うと企業活動がマヒしかねないのだそうです。まして結婚産業など伝統産業においては…!
続く先生のレポートを楽しみにしております。
 
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