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高樹のぶ子のSIAブログ

2008年08月28日 / 最近の出来事

泣いたひと

 ずいぶん昔のことです。けれどそんなに昔ではありません。
イスタンブールの空港だったと記憶しています。
トルコ航空のラウンジで出発を待っていました。
トイレに入ると、洗面台横の壁に向かって、ただ立っている若い女性がいました。
トイレを済ませて出てきても、同じ姿勢で立っています。
妙だな、と思って、手を洗いながら横目で様子を見ていると、泣いているのです。


 口をゆがめて、涙を流していますが、顔をふくこともせず、いまの状況に必至で耐えている様子です。
そのまま立ち去ろうと思ったものの、私もお節介で「Are you ok?」と声をかけました。すると突然、彼女が私に抱きついてきたのです。
私はちょっとたじろぎながらも、背中をなでてあげました。
体がひくひくと波打っていました。
しばらくして、彼女はサンキューと言って去っていきました。
そのあとラウンジ内を眼で探しても見つからなかったので、たぶんそのまま飛行機に乗ったのでしょう。
ブロンドヘヤーのきれいな人だったように記憶しています。
失恋でしょうか、家を出てどこかに行く途中だったのか、あるいは離婚や子供と別れての旅立ちだったか・・
誰かとの別れであったに違いないと思います。


 日本へ向かう機内で、私も人と別れて悲しいとき、あんなふうに見知らぬ人に声をかけられたら、抱きついてしまうだろうか、と考えました。私にはできないな・・と。できたらいいだろうと。
いくつかの別れを経験しても来ましたが、泣くというかたちで感情を放出できればいいのに、わたしには無理ですね。


 彼女が泣いた理由はわかりませんが、思いがけない一瞬でした。
思いがけないことだったので、よく覚えています。
ときどき、なにかの拍子に、思い出してしまいます。


                                             高樹のぶ子

コメント ( 11 ) | Trackback ( 0 )

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コメント
 
 
 
心に残る (まるこの父ヒロシ)
2008-08-28 09:05:34
こんにちは。とても、心に残る経験ですね。その方、よほど辛いことがあったのでしょう。お葬式の行きか帰りかも?
 
 
 
同様の経験・・・ (ビー玉)
2008-08-28 10:29:12
を私もしたことがあります。
泣かれたこともありましたし、泣いたこともありました。

泣かれたーのは新幹線のホームで。若い日本人の女性に。
遠距離恋愛の恋人と、しばしのお別れをした直後のことのようでした。
泣いたーのは、新幹線のなかで、ひとり寂しく。
やさしい車掌さんは、なにも言わず、検札もせずに立ち去ってくれました。なんで泣いたのかは覚えているけど内緒です。39歳の時のことでした。

でも、新幹線の駅より、空港の方が絵になりますね。まるで小説のような話だなぁと思いつつ読まさせて頂きました。

あっ、京都のバーで、ふいに泣いてしまったこともある!おかげで、それをきっかけにして隣に座っていた女性と、とても仲良くなりました。これも理由は内緒です。

私も泣くことを恥ずかしいと思うタイプですが、耐え切れず、人前でふいに涙を流してしまうことはあります・・・。
 
 
 
 (崖 之萩)
2008-08-28 16:22:49
先日の披露宴では僕もほんの少し涙が溢れましたね。
確か先方の母親ナニの挨拶の、日本語約のナレーション中だったと思いますが、内容は覚えていませんね。
自分の挨拶が控えているので、堪えてましたから、ハンカチも素早く隠しました。(笑)
そういえば僕達の披露宴の時には、亡き義父はハンカチも当てず、ただただ涙が溢れ放しにしてました。
確か僕の両親は涙はなかったです。
亡き義父は二十歳を過ぎた若い頃に、恋人の両親にお嫁さんに戴けないか、と訪ねたら、とんでもない、お前の所なんかに内の娘をやれるか!と罵倒され諦めた経験が有りました。
当時は皆さん未だ貧しく商家とはいえ、義父の場合は長男で兄弟姉妹は9人、末の弟は二、三歳だったでしょう。
断られても仕方ない環境。
そんな事をバネにして、何くそと東北の古い町で、商売と工場経営に励んだようです。
椿山荘での娘の晴れやかな披露宴は、未だ四十後半の彼の人生の感慨の涙だったのでしょうか。
親子の別れの涙はドラマが余りないのかな・・・でも重いのかも。
経験では全体重をかけた男女の別れの涙は、意外とお互いあっさりとしたものでしたが、これは若さと次の愛に生きることが、既に始まっているからでしょうか。(苦笑)

人前では泣けないけれど、高樹さんだって泣くことはあるのでしょう?
マイマイ新子ではお風呂の焚き口?なのか、土間の洗い場の水廻り?の隅なのか、怒られてめそめそ強情に固まってふて腐れてる、光景が印象に残っています。
高樹さんはそんな悲しみの分散や解消の習性なんでしょうか?
いえ、これは分散や解消には成りそうもありません・・時間が過ぎるのをただ待つスタンスでしょうね。(笑)

お話しの若い女性の涙は昨年三月でしたか、行きつけのカフェに寄ってカウンターに座ったら、いつもはその店の週三位バイトをしてる筈の、30歳位の女性が客として隣りで飲んでいて、いきなりしくしく泣き始め、貴方もママもライオンよ、などと繰り返し涙が止まりません。
しばらくして、◯◯さん今日は飲む資格ないから帰った方がいい、と別の客も来店したりで、ママが慌て何処かに連絡してる間に帰しました。
彼女が帰った後、あの子は今日で辞めるの?答えはNO。
じゃぁ、ママがさっき何かのことで虐めたの?答えはNO。
そしてママさんは、女はそういうことがあるのよ?私もそんなことがあったわ、と宣うのでした。
高樹さんのように、どうかしたの?大丈夫?と聴いたら、抱き着かれそうな雰囲気でしたが、本当に残念なことをしました!(爆笑)
多々鈍感にもなっております。
もちろん彼女はあの涙を残して店を辞め、折角の仲の好い美人が、また一人僕の周りから消えました。(苦笑)
その後は彼女について聴いてないので、今もって僕には全く不思議な涙でした。
ママの独り言では、彼女はお嬢様だったようです。
しかしライオンとは、抵抗が有ります。ネコ科は!(笑)


 
 
 
私の想い出 (Eno)
2008-08-29 23:29:08
 私も想い出しました。何年も前のことですが、夏のある日、ヘルシンキからサヴォンリンナに向かう列車に乗りました。ふっと気がつくと、通路をはさんだ反対側の席に中東系の若い女性がいて、シクシクと泣いています。隣の白人の中年男性がなぐさめていますが、いっこうに効き目がありません。いつまでも女性は泣き続け、男性はバツの悪そうな様子でした。
 あれは一体どういうドラマだんたんでしょう。
 
 
 
想像 (高樹のぶ子)
2008-08-30 15:45:45
この体験は確かに私に起きたことですが、なぜ彼女が泣いたのか・・は、想像する人によって違ってきますね。恋愛体質の人は、まず自分の体験から恋人との別れを考えます。私はこの体質なので、涙は恋ゆえのものだと、まず想像します。けれど、まったく違う創造をする人もいますよね。親子関係もあるでしょうし、なにかの大事な勝負に負けたとか。自分が悔しくて悔しくて・・という涙も・・でも男の人は、ひたすら泣いている女を見ると、私のように声をかけるのではなく、おもわず引いてしまうかも知れません。泣いているのが、若い美人なら別でしょうが・・どうですか?
 
 
 
Unknown (乃阿)
2008-08-30 16:06:37
男女間の愛するひととの別れの場合、表情に出ますよね。
声をかけるかどうかは状況によります。若い美人であるかどうかも。対象が若い美人であっても、同様に若い男の場合、わたしなら、声をかけないでそっとしておいてやりたい。立ち去りますね。
 
 
 
さて‥ (Eno)
2008-08-30 16:09:45
どうですかと言われても‥。でも、ぼくは、だらしないので、まちがいなく引いてしまうと思います。若い美人なら、なおさらです。
 
 
 
錯覚 (崖 之萩)
2008-08-31 08:18:29
そうだったな。
僕の泣く人のケースでは若いと云っても、三十路は越えてるので、先ず引いて仕舞いました。
ただ、僕に語ってることは誰かに、多分彼氏か仕事場の上司に侮辱された、と想像される内容でした。
自分を軽く見られ侮辱を受けたと・・・でも私はそんな女じゃない、悔しいわ、でした。
おいおい、と僕は黙って聴いてるだけでしたから、しくしく泣きでは、止まらないわけで・・(笑)
どうかしたの?と聴いてワァーと泣かせた方が、彼女にとっても良かったのかも知れませんが・・・。
余りに突然の事で、春の病気かな?と引いてました。

この話題をここで出したので、昨夜その店のママに、彼女について聴いてみました。(笑)
時効と言える時間も経ち、◯◯ちゃんは何故泣いて、何故辞めたの?と、折角、若い美人と仲良しになってたのに・・・残念だと。(苦笑)
そうしたら、ママからは意外な答えでした。
なんと!彼女は貴方との深い関係で泣き辞めたのでは?、と思っていたのだけれど?と宣うのでした。
馬鹿馬鹿しい認識、あの時ママは心配して、彼女を紹介された人に慌てて連絡していた、と僕は思っていたのに、そうではなかったのです。
つまり来店した僕に直ぐ泣きつく彼女は、僕に甘えている光景に見え、深層心理として恋愛体質のママは、若い彼女の男性に対する涙に反応、自分が信頼していた男に、全く別件の事で連絡をしていたのでした。(笑)
ママも当事者能力なしでケシカラない!(苦笑)

この様に現代の男女の関係と云うものは、錯覚や誤解が周りに派生したり影響したりして、人の心と行動は動いているのかも知れませんね。(笑)

昔々、二十歳の頃に高二の妹の女友達が、我が家に家出して来て、僕の部屋に入り込み朝3時過ぎまで、父親を泣きながら非難し、ただア然として相槌して数時間も話を聞いてるだけでした。
内心はそのエネルギーに、たじたじとして引いてました。
未だ彼女は高二でしたがエレクトーンを弾いて、夜バイトをしているしっかり者の女の子でした。
あれから33年後、英文学専攻の娘を連れて個展の会場に現れ再会、彼女は葡萄の絵をポンと買って帰りました。
あの家出は遠い青春の想い出だったのでしょうね。
強くなった女性の涙には、ホッとしたりもしますが、気をつけないと・・・。
いえいえ、凝りもせず頑張りましょう!(爆笑)

 
 
 
忘れえられない体験! (P.R.)
2008-08-31 10:18:42
すこし長くなりますが、僕にとっては、人生またとない貴重な体険を聞いて下さい。
それは、在来線に乗り換えるために、岡山駅で新幹線ののぞみ号を下車するときのことです。以前に居眠りして、岡山駅を通り過ぎて新神戸まで行く羽目になったことがあったし、それにこのたびは荷物も多かったので、20分以上前から昇降口の近くに立っていたのでした。そこは偶然にも望み号の普通車両の一番後ろで、グリーン車との境目になっていたのです。トイレの次に、乗務員室もあるので、かなり広い空間あってがらんとしています。女子高生が一人、一方の昇降口(岡山での降り口とは反対でした)にたって、盛んに携帯で通話を試みていましたが、なかなかつながらないようです。やがて、携帯がつながって、後6分で岡山に着くから、といっているのが聞こえました。そのとき一人の男が、グリーン車の車両から、ぶらりと現れて、あたりを少しばかりうろつくとまたグリーン車両の中に消えたのです(あとでかんがえると、降りようとする客がどれくらいいるか、偵察に来たようです)。するとまもなく、ぞろぞろと、数人の人がグリーン車から出てきて、一人の女性を中に、その周りを取り囲むようにして入り口付近(女子高生と反対の側)にたったのです。取り囲んでいた人のうちで、一番昇降口に近い人が、どうやら岡山で降りるらしいのです。そのほかの人は、単なる見送りだと思われます。僕は、少しはなれて、その真ん中の女性と向かい合うようにしてたっていたのです。僕はその女性を見たとき、一瞬にして、ひらめきました。あっ、あの女性歌手だ、と。そのとき、その歌手のヒット曲のメロディーも頭に浮かんだのですが名前は思い出せません。顎にほくろがあるのがその歌手の大きな特徴です。背丈は、自分と同じくらいで、盲人のような濃い色のサングラスをかけていましたが、顔の小皺はかくしようもなく、すでに中年の域は超えかかっているように見えました。しかし、美人で、かわいらしい印象は、強烈でした。周囲の人は、雑談を盛んに交わしていましたが、その女性歌手だけは、なぜか沈黙しがちで、声を出せない事情でもあるのか、と思ったくらいです。やがて、列車が止まって、その男の人の姿が見えなくなった瞬間、その女性歌手は、サングラスをはずすと、壁にへばりつくようにして、激しく慟哭(どうこく)されたのです。しかも、まるで無声映画を見るように、微塵も声を発することなく。僕はそれを目撃して、大いに感動しながら、外に出たのでした。

その歌手の名前は、後で調べたところ中村晃子と判明しました。そしてヒット曲は『虹色の湖』です。
 
 
 
中村晃子 (いちい)
2008-08-31 12:59:31
中村晃子なら、ずっと以前、YOKOHAMA高島屋の屋上でも歌っていた事があります。見学者は、10人位で私もすぐ側で聴いていましたが。歌手より役者の方が向いているかな、何て思います。
 
 
 
研覈する事項への讐答 (.)
2008-08-31 23:09:54
研覈する事項への讐答  哲学板
http://c.2ch.net/test/-/philo/1205753726/i

よろしければ御覧下さい
 
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