≪失くしたものは…、ただここにいる自信≫
普通学級で、担任から見放され、
クラスメートからも孤立させられ、
この子が失くしたものは、
≪自分のありのままで生きること≫
≪自分のままで、ここにいていいんだという自信≫そのものだった。
この子が、「この場所」で失くしたもの。
それは、「この場所にいる自信」。
子どもにとって「この場所」とは、
「子どもなら誰でも当たり前にいられる場所」のことだ。
この場所にいる自信。
それは、普通学級で先生やクラスメートの中に当たり前にいる、
一人の子どもとしての自信。
何かができるとか、できないとか、
そんなこと以前の、存在の問題。
ただ、「いるだけ」の問題なのだ。
何か、苦手なことができないこと、
それでバカにされることや認めてもらえないことで、
失っている「自信」ではないのだ。
でも、本人が、そのことを口にするとしたら、
テストが0点だからとか、
それは、本人が、そう信じるように仕向けられたのだ。
先生やクラスメートだけでなく、
社会の仕組みそのものに仕向けられているのだ。
いじめられた子が、自分が悪いのだと思わされること。
(いじめられる方にも理由があるという意見は根強い)
虐待された子が、自分が悪い子だからと、
親をかばうように。
(子どもがかわいいからこそ、
厳しくしつけるのだという意見は根強い)
また、病気で入院した幼い子どもが、
ちゃんと病気の説明をしても、
時間がたつと、「いい子になるから、家に帰してください」と
お医者さんに頼むように。
この子が、「この教室」で失くしたもの。
それは、「この教室にいる自信」。
子どもにとって「この教室」とは、
「子どもなら誰でも当たり前にいられる場所」のこと。
この場所にいる自信。
その意味を分からないまま、
別の場所で、「その場所にいる自信」を育てることはどういうことか。
それは、失った自信を取り戻すことではなく、
「その場所」にいる自信を新たに作ることでしかない。
「その場所」とは、どういう場所か?
普通の子どもたちは、
誰も知らない場所。
普通の子どもたちは、
誰も行きたいと思わない場所ではなかったか。
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