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ワニなつノート

「ダウン症児入学拒否」としての「定員内不合格」根絶を求める要望書

昨日、県教育委員会に提出した要望書です。

私たちは「障害の種類や程度」で子どもを分けないことを求めてきました。

この要望書で「ダウン症」という言葉を前面に出すことに迷いがありましたが、目に見えてつづく差別を止めるには、こうした訴えが必要ではないかと考えました。ただ一晩で書いたものなので、言葉遣い、表現に自信がありません。ここでの「ダウン症」という言葉の使い方に疑問のある方はぜひ教えてください。

※(なお一部、イニシャルに変更してあります。)

               □

2024年3月12日

千葉県教育委員会教育長 冨塚昌子様

千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会 

 

「ダウン症児入学拒否」としての「定員内不合格」根絶を求める要望書

 

貴職におかれましては、県立高等学校入学者選抜において「定員の遵守」の姿勢を明確に示し、「学ぶ意欲のある生徒の学びの場を確保する観点から、学ぶ意欲があると判断できる受検者を定員内不合格とすること」のないインクルーシブ教育の推進への御尽力に心より敬意を表します。

しかしながら県立高等学校の一部では、県教育委員会発出の通知を理解できない校長による「説明責任を伴わない不適切な定員内不合格」が繰り返されています。

2024年3月4日、Yさんが千葉県立船橋法典高等学校を「定員内不合格」にされました。Yさんにはダウン症という障害があり、受検に際しては「特別配慮申請書」「自己申告書」を提出し、理解を求める手立てを尽くしています。しかし船橋法典高等学校・田口英彦校長は明確な説明責任を果たせず、受検生・保護者の「障害を理由にした定員内での入学拒否でないか」という疑問にも答えられませんでした。240人募集で受検者202人のところ、ダウン症児1名のみを「定員内不合格」と自ら判断しておきながら、『定員内不合格とする場合は、その理由について明確に説明できるようにすること』についてはまったく理解できていません。『「総合的に判断した」のみの理由では、説明責任が十分に果たされているとは言えないことに留意すること』の意味も理解できていません。したがって、私たちは「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」が今年も繰り返されたと判断せざるを得ません。

 

昨年(2023年)も、当会のHさんが、「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」という差別判定を3度繰り返されました。一般入試では、180人募集で140人受検、定員40人空きで不合格(泉高等学校・新國校長)。二次募集では、42人募集で9人受検、定員33人空きで、一人だけ不合格(泉高等学校・新國校長)。追加募集では、76人募集で5人が受検、定員71人空きで、一人だけ不合格(船橋高校定時制・酒匂校長)。新国校長も、酒匂校長も、定員内不合格の理由を明確に説明できませんでした。

2020年にも当会のSさんが、県立九十九里高等学校において、3度も「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」の被害にあっています。前期試験では、72人募集で受検生46人のところ、「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」。後期試験では、77人募集、受検生12人のところ、「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」。二次募集では、69人募集で、受検生3人。「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」。「どうして定員内で不合格なのか?」と問うても、校長は説明せず、代わりに教頭が「校長の総合的判断です」と繰り返し、「在校生に手がかかるんです。限界なんです」と回答。

 

遡れば、「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」は、1995年千葉県立行徳高等学校長が、定員内不合格の理由として、「コミュニケーションができない」と本人・保護者に説明したところから始まっています。2000年から2004年の間に6回の「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」の被害にあったAさんは5年浪人の後、東葛飾高校定時制に合格し、4年後に卒業しています。

 

同じ高校でも、校長が変わることで判断が変わります。2008年に、県立長生高等学校定時制において、Tさんが「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」にされました。遠藤校長は説明責任を果たすことなく、ダウン症のある生徒の前で「本人に理解できますか?」と言い放ちました。こうしたダウン症のある生徒に対する偏見のある校長は、結果として定員内不合格を出します。

同じ長生高校でも、2005年の福島校長は、2次募集前に見学に訪れたダウン症のある生徒と保護者に、次のように説明しました。「どうぞおかけ下さい。大変な努力をされましたね。…定員が割れている場合、点数だけでは合否を決めないですよ。Nさんが今まで生きてきたことと、努力してきた心を、我々は見ていくのです」。二次募集の結果は合格でした。【※資料1・2】

 

これまで、一部の高校で「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」とされた多くの生徒が、他の高校では入学し、卒業してきました。上記の2020年に3度「定員内不合格」とされたSさんは、先日船橋高等学校定時制を卒業しました。2023年に3度「定員内不合格」とされたHさんはいま生浜高等学校で学んでいます。これまでの30年余りの経験から私たちは、校長の「定員内不合格」の判断に、校長個人の障害への差別・偏見が含まれていると考えています。

 

令和2年2月18日の衆議院予算委員会で萩生田文部科学大臣は、重度知的障害者の普通高校入学について、「障害を理由に入学を拒否されることは絶対にあってはならない」と述べました。令和4年4月には末松信介前文部科学大臣が、「障害のみを理由に入学を認めないということはあってはならない。高等学校への入学後も、一人一人の障害などの状態に応じた適切な指導が提供されることが重要」、「高等学校への進学率が約99%に達している。高校には様々な背景を持つ生徒が在籍していることから、生徒の様々な能力、適性、興味、関心に応じた学びを実現することが必要」「定員内不合格を出す場合にはその理由について十分に説明をし、理解を得るべきもの」と答弁しています。さらに令和5年2月14日永岡桂子文科相は2月14日、閣議後会見で、「文科省としては、仮に障害のみを理由として入学を認めなかったということがあった場合には、これはあってはならないと考えている」と明言しました。

 

 私たちは、公立高等学校において、学ぶ意欲のある子どもたちの「学ぶ機会」が、校長個人の判断に左右されないこと、その校長判断に障害への偏見・差別が入りこむ余地のない仕組みを確立すること、そして「ダウン症児入学拒否」による「定員内不合格」の根絶を求めます。

                  記

1・二次募集において「ダウン症差別による定員内不合格」を繰り返すことなく、Yさんの学ぶ意欲と希望を尊重し高校進学を実現させて下さい。

2・令和5年12月20日 『令和6年度千葉県県立高等学校入学許可候補者の決定について(通知) 』および、令和6年3月8日 『令和6年度千葉県県立高等学校入学者選抜における定員の確保につい 』の主旨を全校長に徹底し、「ダウン症差別による定員内不合格」を根絶して下さい。

以上

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